テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その甘酸っぱい毒に溺れて堕ちる。-第2話-
-カイside-
『俺も好きな匂いだよ。』
『君の匂い』
彼女はスパイスの匂いだった。
俺の好きな匂い。
『あの子、またここに来るのかな』
彼女の匂いが忘れられない。
彼女の仕草ひとつひとつがどこか子供っぽいけどでも大人っぽい。
あー彼女が引き出す 甘酸っぱい毒に溺れそう。
『バーテンダー、あの子がまたここに来たら教えて』
そう言い、俺は店を出た。
(※カイ様side短くてごめんなさい)
-みらside-
家に帰ってもカイくんのことが忘れられない。会いたい。そう思ってしまう。
「カイくん明日いるかな」
いてもいなくてもどっちでもいいや。
あそこはお酒を飲みに行く場所だから。
「明日は何頼もう。」
「ギムレット…」
「…笑 いいや明日の気分で飲も」
そう言った瞬間私は深い眠りへと入った。
朝。私以外誰もいない、静かな部屋で1人ぽつんと朝ごはんを食べる。
「いただきます。」
何も変わらない平凡な日常。いつもの挨拶。交わす相手もいないのに言ってしまう。
「行ってきます。」
仕事が終わり、ふと思った。今日行こうかな
結局行ってしまった。扉を開けて、中へ入ると、
「あっ、昨日の匂い…」
昨日、好きな匂いとつい目で追ってしまったあの匂い。
「カイくん…?」
カウンターにはそう、『カイくん』がいた
『あっ昨日の子だ!』
『今日は1人なんだね』
会いたかった。でもこの感情はバレてはいけない
そしてバーテンダーが口を開く
“今日もシャンディガフですか?”
「いえ、今日はギムレットを」
“ギムレット、ですか?”
「はい。ギムレットで」
『昨日とだいぶ違うお酒だね』
『長いお別れ。誰と?』
「やっぱ知ってるよね。意味。」
「特に誰でもない。強いていえば、カイくん?笑」
『それは悲しいな笑』
ううん。絶対そんなこと思ってない。堕とされて終わり。
「冗談だよ笑」
強いていえばも何も本当は元カレだけど…。
元カレが好きだった香水未だに付けてるし…笑
(今付けてる香水は違う)
未練タラタラだな。私。
ここはなんだか気が楽になる。元カレを早く忘れて次のステップを踏み出したい
『ねぇ』
「ん?」
『俺じゃないでしょ』
『長いお別れ』
「んーカイくんかもよ?」
笑い混じりに言い返す。
『元カレ…とか?』
あー笑 バレちゃった笑
「そう思うならそうでいいんじゃない?」
『元カレとなんかあったの?』
まさかこんなこと聞かれるなんて思わなかった
「んー聞く?」
「後悔しない?」
『そう言われると聞きたくなっちゃう』
『後悔しちゃうかもね』
堕とされてもいいかも…笑
いいやもう。吹っ切れた
利用されちゃお
「………」
「元カレとは長く付き合ってて、でも浮気されて浮気相手とそのまま船で旅行に行ったきり帰ってこなかった。未だに行方不明。」
「最初はバチが当たったんだって感心してた笑」
「でも日が経つにつれて感心じゃなくて悲しくなってきて未練タラタラ」
「生きてるって信じてる。帰ってくるって信じてる」
「そう自分に言い聞かせてる。」
『辛かったね』
『やり直したい?』
「やり直せるならやり直したい。」
あー、カイくんはかけてほしかった言葉をいつもくれる。
「長いお別れ。まさにそうじゃない?」
『………』
『名前は?』
「え?」
話を逸らした?なんで?
「私の名前?」
『そう。』
「……みら。」
『みらちゃん。』
『みらちゃんにぴったりな名前だね』
「お世辞でも嬉しいよ」
『お世辞じゃないよ。ほんとに思ってる。』
「ありがと。」
-カイside-
『あっ、この匂い…』
昨日の子だ…。来てくれた。嬉しい。
もう溺れてるかもな俺…笑
『あっ昨日の子だ!』
『今日は1人なんだね』
彼女が引き出す甘酸っぱい毒に溺れてしまった。
もう引き返せない。後戻りは出来ない。
『名前は?』