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宇津Q
2,015
#いじめ
るあ🩵🦊🌙
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6月の下旬、台風が関東地方に接近し、晶子とカンナの住む地域にも大雨注意報が出た。
晶子が通っている塾では急遽午後5時以降の講義が中止になり、生徒全員にただちに帰宅するよう指示が出た。
晶子が傘を広げて表へ出ると、滝のような雨と強い風が吹いていた。傘が裏返りそうな風をなんとかやり過ごして駅へたどり着く。
しかし駅の入り口に人だかりが出来ているのに気づいた晶子は、近くのビルの陰で風を避けながらスマホで電車の運行状況を確かめる。晶子が青くなってつぶやく。
「わあ、もう電車止まってるの? 困ったな、どうやって帰ろう?」
家までタクシーに乗れるほどのお金は持ち合わせていない。それ以前に、駅前のタクシー乗り場には既に長蛇の列が出来ている。
両親はまだ会社から家に戻っている時間ではないので、迎えに来てもらう事も期待できない。途方に暮れている晶子の目の前に、キィーと鋭いブレーキ音を立てて乗用車が停まった。
さらに短くクラクションが鳴り、運転している若い男が助手席の窓ガラス越しに晶子にひらひらと手を降る。晶子は顔をしかめてつぶやいた。
「何? こんな時にナンパ? 気持ち悪いな」
走ってその場から逃げ去りたいところだが、傘も役に立たない雨風の中に戻るのもためらわれた。すると後部座席のドアが開き、思いがけない声が聞こえて来た。
「おおい! 晶子、あたいだ。乗りな!」
ドアの隙間から顔をのぞかせているのはカンナだった。晶子は傘を半分開いた状態にして必死に風で飛ばされないように構え、その車のドアに近づいた。
「電車止まってるだろ? 家まで送ってやるから乗れ、早く」
言われるままに傘を畳んで車の後部座席に乗り込む。制服のスカートの裾はもう雨でびしょ濡れだった。後部座席にカンナと並んで座り晶子がシートベルトを付けたところで、カンナが運転席の若い男に言う。
「いいぜ、良太(りょうた)。出してくれ」
「おう! しっかりつかまってろよ」
良太と呼ばれた若い男は、車を発進させた。やや急発進だったので、晶子たちの体がくっと前のめりになった。カンナが早速毒づく。
「こら! あたいの大事な親友乗せてんだから、もっと安全運転しろよ」
良太は半分笑いながら言い返した。
「しょうがねえだろ、まだ免許取って2か月ちょいなんだからよ。それにこんなひでえ天気の中を走らせんのは初めてだからよ」
晶子は良太の姿を後ろからそっと観察する。金色に染めた短髪、耳には複数のピアス。少しワルを気取った格好だが、ミラーに映る顔はまだ少年の面影を残している。
晶子は小声でカンナに訊く。
「ええと、カンナの知り合いの人?」
カンナは以前からの癖で、両手を頭の後ろで組んで事も無げに答えた。
「ああ、こいつは良太。あたいのカレシな」
コメント
1件
晶子が台風の中、駅で立ち往生してるところにカンナが現れる展開、すごく良かったです。「こんな時にナンパ?」って警戒した直後に、まさか親友が乗ってくるとは——意外性と同時に、二人の距離感が一気に伝わってきました。 そしてカンナの彼氏・良太!免許取りたてで金髪ピアス、ちょっとワルっぽいけど少年っぽさも残っていて、カンナとはいいバランスのカップルに見えますね。これからどう絡んでくるのか、とても楽しみです。