コメント
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最高です…大嫌いというのは好きにさせておいて居なくなってしまったからなのでしょうか、とにかく色々考察できて楽しかったです🥹神作ありがとうございます!!
注意書___。
・初心者の為内容があやふやな場合が御座います。
・全てフィクションです。
・誤字脱字がある場合が御座いますので御了承下さい。
↓其れでも良い方はお進み下さい。
白い壁に白いシーツに布団、遮られる白いカーテン、消毒液の独特な臭い。
寝ても覚めても視界はほぼ変わらない。
家族に先生に医師に友人に…、会う人だって限られている。
けど私は彼等を知らない。
強いて言うのならば思い出せないんだ、言葉ならば記憶喪失だ。
その記憶喪失の件は私以外誰も知らない。
誰にも覚られ無いように。
私が私であると思わせるように。
話せば話す程に私が知らない”出穂杏美(イズホ アズミ)“になって行った。
何時も私を、
「出穂さん」
「杏美」
と呼んでくる。
違和感も捉えず全部消えて親や従兄弟ですら誰もが騙されていた。
記憶を思い出せさえすれば本当の杏美に成れるだろうが、其れまでは杏美を演じなければならないらしい。
まぁ、私も杏美だから演じると言う言い方は間違いかもしれないが。
嗚呼、窮屈だな。
そしていつの間にか微かな風に揺られ、夢の中へと入っていた。
「杏美、次は何処へ行こうか」
見知らぬ男性が名前を呼んでいた、此れは前の記憶だろうか?
「じゃぁ次は、」
その隣には”私”が居た。
嗚呼、此れは前の記憶なのだろうな。
先程迄の疑問が瞬時に確信へと変わった。
他かが記憶に興味は無い、其れでも何か懐かしい様に感じた。
「…ねぇ、君らは」
声を掛けたと同時に地面が崩れ、あの二人の背中は遠く離れて行った。
気付けば何時もの病室にいた。
夢にしては現実味のある夢だった、あの記憶に居た男性は誰だろう。
未だに会った事がない。
知りたい。
そう思い始めたのはあの夢からだ。
目を閉じて夢を見て記憶を見る。
雨の日は私が泣いている夢を、晴れの日は私が笑っている夢を、曇りの日は普通の会話を。
何故かは知らないが、あれからあの男性と私が居る夢しか見なくなった。
記憶に興味はない。
ただ見知らぬ男性には一寸した興味が湧いた。
“杏美”が親しく笑っていたり頼っている相手、そんなの気になる。
簡単に言ってしまえば好奇心が勝った。
其れにしても最近、夢が覚めてから花が置いてあるようになった。
詳しくは花弁が私の隣に落ちている様になって居た。
良く分からないが、風が吹いて此処へ落ちてきたのだろう、そう納得させた。
「杏美、君はどちらを選ぶ?」
嗚呼、あの夢か。
今日はどんな夢だろう。
「、私はどちらも選ばないよ」
「どうして?」
「どうしてだろう、分からないや」
少し違和感があった。
見た事もない様な雰囲気で川辺に座る二人が私の瞳に写っている。
選ぶ、どうして、何かがもやっとした。
嗚呼、そうか。
私が避けていたんだ。
樹(イツキ)さんが”亡くなってから”もう要らない記憶だって奥に閉まっていたんだ。
要らない?
私は何て愚かで馬鹿何だろう。
一番失くしてはならない記憶だったのに。
御免なさい樹さん。
私が起きると彼岸花が置いてあった。
あの夢はもう見なくなった。
杏美が私である為に。
私が杏美である為に。
私は何時だって笑って、冗談を言った。
偽りの自分が嫌いだ。
況してや、私が笑うだけで済ませられる此の世界が憎い。
お願いだから、早く、早く此の鎖を…呪いを解いてくれないか。
嗚呼、あの彼岸花が散っている。
夢も記憶も笑顔も何もかもが嫌いだ。
でも一番に、
私を愛してくれてこんな風にして、もう帰っては来ない貴方が…。
樹さんが…、
世界一大好きで