カタカタと親指の爪をかみ、長い前髪で目を隠した。
「 空鷺 、? 」
そんな俺を覗き込む翔の水色の目がまたいつもと違っていた 。
「 … どうした ?笑」
親指をそっと離し、にこりと表情変え、彼に話しかけるが、
彼の腕の中へと導かれた。生暖かい感触で、
右耳からは翔の心臓の弟が聞こえる。
酷く安心した 。そして、俺の心拍数は落ち着くどころか、心拍数を上げた。
「 … 翔 ?どした 、?」
翔は何も言わずに俺の後頭部を撫でるばかり。
ガキ扱いされてるみたいでなんか気に触るが、
翔なら全然許せてしまう 。
「 … ごめん 、大人げなかった 、」
ずっと何も言わなかった 。それでも翔の心情が読み取れた 。
《 そんなに怒らないで 。離れないから 》
ちらりと上を見ると翔はどこか分からない方向を見ていた 。
いつものようにまた 、ひたすらに ぼーっと。
でも、その目は綺麗な元を見つめている目ではなかった。
何かを思い出しているような目だ 。
「 あ 、」
弟ノ事カ … ?
俺を弟と思っているのか?
俺は政じゃない。やめてくれ、違う。違う違う違う違う 、
俺ハ 、政じゃない 、翔 、翔ってば 、
自然に涙が出てきた 、俺を見てくれないことに 。
「 … 翔 、」
此奴の過去は酷いものだった 、
俺の過去よりも 、残酷で 、無惨な 。
俺らが初めに会った時 、それは俺がOD に逃げた時だ 。
もう、楽にな方と思って 、気が楽に 。
イラついた時、悲しかった時 、
何かしら気分が悪かった時にODをした 。
いつもトイレの個室で行っていたが、
どうも 、今日は最高に運が悪い 。
どこも空いていなかった。だから校舎裏に行って薬を飲んだ。
これから30分後くらいには聞いてくるはずだ 。
いつも10錠だったが、今日は6錠しかなかった。
「 くそ、」
また買って来なくちゃ、
「 どうしたの 。」
急に人の声がして咄嗟に薬を俺の影の裏に隠した。
「 な、なんだよ、」
「 … それ 。今日は足りなかった ?
それ 、メジ▒ンだよね?いいよね。メジ▒ン
俺の上げる 。今飲んだの6錠でしょ?
4錠あげるよ。君がいつも10錠飲んでたの知ってた。」
ストーカーのような発言をしてきた其奴に気味悪がり、
無視をした 。しかし、4錠欲しかった、
彼は4錠を俺に差し出して「ほら」というように唆した 。
何が狙いなのかわからないが受け取ることにした 。
欲には抗えない 。ぺこりと軽めに頭を下げ 、その場を去った 。
2回目にあったのは俺がいつも通り家を追い出されていた時だ。
別に虐待とかでは無い 。返したくないだけだ。
父親はいないけど、ちゃんと母からは愛を貰っている 。
でも、また今夜も日々違う男を毎晩家に止めて行為をしていた 、
その声が聞きたくなかった 。親の喘ぎ声なんて聞きたくないのは子供としても正気だろ?
また今日も3時になるまで夜道をぶらぶらと歩いた 。
なんとなく公園に向かった時に 、子供のすすり声が聞こえてきて 、なんだろうと思い 、
ブランコの方に目を向けた 。
「 どーした。大丈夫か。」
そう言うと彼は目線を上げ俺を見た 。
あれ、こいつ、昼間の薬くれたやつだ。
「 …どーしたんだよ。お前 。
今12時だし、家帰れや。」
彼はまた、何も言わずに 俺を見つめた 。
気味が悪いやつだ 、
「 … 政 、」誰かもわかりない人の名を呼び俺に手を伸ばした 。
俺はそっと離れることはできず、その手を掴んだ 。
あー 、こいつ、ラリってる 。
ODをして、気が確かじゃない。幻覚を見てるんだ。
幻覚、見てみたい 。そう思った。
彼は嬉しそうな顔をして「政」その男の名を連呼した。
俺は政になりきるしか無かった。
午前3時少し過ぎに彼は正気に戻り始めたのか 、
しっかりと俺を見て「すみません」と謝った。
よくよく見れば 、彼の服はボロボロで、
痣が見た感じ上半身だけで5個以上はあった。
「 それどーしたん、学校の時なかったよな、」
「 … コンシーラーとか 、ファンデーションで隠してる 、」
震えた声が耳に伝わった。その音は周波数が妙に小さい聞き取りにくい声だった。
「 … その痣 。何したんや 。」
また無言に戻る彼に《はよ言えや》と内心思いながらも 、
また15分がたった。その時だった。
「 おい翔 !!!!」
怒鳴るような声が後ろからした。
「 お前何してんだ!!!また殴られてぇのか!!
しかも不良のやつと絡むとは、!!!
若ヶ屋家の恥だ!!!」
父親らしく人物が彼の胸ぐらをつかみ大きく拳を振り上げた。
「 何してだよおっさん!!!」
虐待 … ?
また次の朝 、彼の様子を見に、学校で若ヶ屋という人物を探すことにした。
3年2組の教室が何故か騒がしくて、ちらりと見ると1人の少年だけがびしょびしょに濡れていて、
佇んでいた。その彼は昨日見た彼と同じで、制服に白っぽいだいたい色が染み付いていた。
その教室からは暴言や笑い声しか聞こえず、
とても盛り上がるにいい話ではなかった。
止めに入りたかったが、友人の竜舞に連れ戻された。
コメント
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1コメ!!薬10錠って多?!今日も最高でした! 続き待ってマース!