【アテンション‼︎】
・警察学校組生存ifです!
・アニコナたまにしか見ない人が書いてます(アニメは好きなキャラが出るところしか見れてない…!)
・捏造&妄想、ご都合主義のオンパレードです
・衝動的に書き始めたので、キャラの口調迷子
・今回は、安室透の正体が警視庁や毛利探偵事務所の面々にバレてしまう…というお話です。基本松田さんと降谷さんが中心で、他キャラを上手く活かせなかったのが悔やまれます。
・バーボンに所属グループを壊滅に追い込まれたモブが出てきます。
・最近似たようなネタを書いた気がしないでもないですが、このネタ大好きなんです…!
ここまで読んで大丈夫!って人は下へ
レッツゴー!!
「待て!!!」
そう叫んで、この場で一番守られなければいけない年のはずの、メガネの子供が走り出した。
都内某所で起こった殺人事件。毎度お馴染み、毛利探偵の娘からの通報で、松田は捜査一課の刑事として現場に赴いていた。三年前の11月7日、あの日を生き延びてからも、元の所属には戻れていなかったのだ。
到着すると、当たり前のように事件現場に入り込み、度々ヒントになるような発言をするコナンという子供を訝しみながら、松田は3人の容疑者の中から犯人を割り出した。使われたトリックは、その場で考えられたからか、存外簡単な物だった。犯人は被害者と二人、とある犯罪グループの一員だったらしい。しかし、一ヶ月前に何者かの密告により警察に踏み込めれ、壊滅。運良く逃げ出した二人で、密告者への復讐を誓ったが、死を恐れた被害者が自首しようといい出し、警察に全てを話す前に口を封じた…追い詰められた犯人はそう供述した。その組織の話は管轄外だったが、松田も耳にしていた。
しかし、さぁ犯人がわかったら後は逮捕、というところで、
「あいつを…あいつを殺すまで捕まってなるものか…!!」
そう叫んで、どこにそんな力を隠していたのかと聞きたくなるくらいのスピードで、犯人の男は松田たちとは反対側へ走り出したした。
「待て!!!」
そして冒頭に戻るのである。
「あのガキ…!」
自分の立場とそれに伴う危険がイマイチわかっていないコナンにイラつきつつも、その場の誰よりも先に松田は駆け出す。まぁ、所詮は小学一年生のダッシュだ。すぐに追いつき、その首根っこを掴んで拾い上げる。
「毎回言ってるだろうが!事件に子供が首を突っ込むな!人質にでもされたらどうする!死ねかもしれねぇんだぞ」
「ごめんなさぁい」
犯人の姿を捉えながら、腕に抱えたコナンに怒鳴る。事件に駆けつけるたびいつも言っていることだ。子供が殺人事件に関わるなんてあってはならない、犯人を追いかけて捕まえようだなんてもっての外だ。そう言って毛利探偵と二人で何度も追い出すのだが、なぜか毎回入り込み、高木や佐藤から情報を聞き出したいる。大人からすればいつ取り返しのつかないことになるのかヒヤヒヤしてならない。おかげで少し逃げて意識を持たれているらしい。
「ちっとは反省しやがれ!」
子供らしい高い声で紡がれた謝罪が、あまり反省しているようには思えなくて、さらにイラつく。子供は子供らしく守られていればいいのだ。あんな血生臭い光景、見るもんじゃない。
そんなやりとりをしていると、前を走る犯人が左の道に曲がった。あちらは人通りの少ない、コンテナ街だ。隠れる場所も少ない。逃げ切れる自信があるのだろうか。
「松田刑事!」
「わかってる!」
割と逃げ足は早いようで、子供を抱えている分、少し離されてしまっているが、追いつけないこともないだろう。松田は、スーツによる走りにくさを感じながらもスピードを上げ、犯人が曲がった道へ入り込む。
「は?」
しかし、どこか冷たい空気の流れる道に先にいたのは、犯人だけではなかった。ここにいるはずがない、松田もコナンも予想もしていない人物だった。そいつは犯人の男を地面に押さえつけ、後ろ手で拘束している。
「安室さん!?」
安室透。毛利探偵の一番弟子を名乗る私立探偵で、最近よく行く喫茶店の店員だ。地毛らしい金髪に褐色肌に、女が好きそうな甘いマスク。いつも人好きにする笑顔を浮かべていて、物腰も柔らかく、女子高校生たちに大人気らしい。今日は珍しく黒いキャップを被っているが、どちらにせよ、松田の知るあの真面目な男とは真逆の男だ。
「松田刑事にコナンくん…この人は、捕まえてしまって良かったんですよね?突然殴りかかられたので、咄嗟に避けてしまいましたが…」
「っ、あぁ。大丈夫だ」
安室の問いかけに、なんとか松田は反応する。一体なぜこの男がここにいるのか。
「松田くん!」
「コナンくん!」
後ろから佐藤たちがが駆け寄ってきた。この面々も、キャップをかぶっている男が安室だとわかると、驚いたように目を見開く。反応が全く同じで少し面白い。
「安室さん?」
「どうして来んなところに?」
「ちょっと探偵の仕事で…おっと」
「離せ!」
一体どれほどの力で叩きつけられたのか、少しばかり意識を失っていた犯人が目を覚まし、抵抗し始めた。しかし、拘束がびくともしていないところをみると、相変わらず握力ゴリラっぷりは健在らしい。体を左右に捻りながらなんとか逃れようと踠く犯人は、首を捩って己を拘束している男の顔を捉えた。安室の顔を確認したその瞬間、悔しげだった犯人の表情が一瞬にして仇をみるような、憎々しげなものに変わる。
「おまえは…!バーボンっ!」
必死に首を捩る犯人の口から漏れたのは、酒の名前。すると、それを聞いた安室の碧眼がスッと冷たく細められたのが、帽子のつばの隙間からチラリと見えた。前に聞いた所属からなんとなくわかってはいたが、それがきっと誰よりも忙しいはずのこの男がが喫茶店のアルバイトなんかをやっている理由だろう。
「バーボン、ですか?」
「っ」
安室が冷たい空気を纏ったのは一瞬で、次の瞬間には困惑した表情を浮かべて首を傾げていた。あまりにも速いその変わり身と、本来のものより数段あざといその表情に、思わず小さく笑いが漏れる。その方向から一瞬恨めしげな視線を向けられた気がするが、きっと気のせいだろう。
「覚えてないとは言わせねぇぞ!お前のせいで、ボスが、仲間が捕まったんだ!お前が通報でもしていなければ、あの場所がバレるはずがない!!!」
「一体何のことだか…」
「しらばっくれるつもりか!バーボン!」
興奮している様子の犯人は、安室への追求を止めない。対する安室は、人違いだという姿勢を保ち続けていた。どう切り抜けるつもりなんだろうか。
「じゃあ今日もこんな人気のない場所にいる理由はなんだ!調べたから知っているぞ!表での暮らしだってあるくせに!どうせ、幹部連中とあっていたんだろう!?」
「ですから、ただの探偵の仕事だと」
「はっ!何が探偵だ!あの組織に所属している以上、犯罪者だっていうのに…!」
「犯罪者?」
佐藤が眉を顰めながら復唱する。犯人の尋常ではない気迫に安室を疑い始めるのと、知り合いの探偵がまさか…という気持ちが半々といったところか。どうしたものかと松田はバレないようにため息を吐く。
「あぁそうだよ!この男は犯罪組織の幹部!コードネーム持ちだ!情報屋らしいが、取り引き相手を平気で陥れる悪魔のような奴だよ!こんな目立つ顔を覚え間違えるわけないだろう!?」
そんな佐藤の言葉に、犯人は憎々し気にバーボンについて語り出す。捕まってしまう以上、ボスの仇も道連れにするつもりなんだろう。それが、この男が仲間を殺してまで成し遂げたかった復讐なのだから。
「……失礼ですねぇ」
少し間が空いた後、丁寧ながらも底冷えするような声で安室が言った。いつも笑顔だったその顔に、表情はない。
「あ、安室さん?」
高木が困惑しように呼びかける。佐藤よりも安室との交流があった彼の方が、戸惑いは大きいのだろう。思わず、と言った様子で一歩踏み出そうとする高木を松田はひとまず腕で留めた。
「先に契約を違えたのはそちらでしょう?むしろ生かしたまま警察に突き出しただけ感謝してほしいものです。今回の担当がジンだったら、きっと皆殺しでしたよ」
「お前…!」
「まさか二人も逃していたとは、ね…おかげで折角の潜入もできなくなる…まぁ、毛利先生がシロだとわかった以上、続ける必要もなかったんですが…以外と便利な立場だったのに」
「はっ、そりゃお気の毒で…!」
犯人から手を離し、安室…いやバーボンと言った方がいいだろうか、バーボンは黒いキャップを外しながら、冷たい笑みを覗かせた。突然ポアロで働き始めて、毛利探偵の弟子になったのは、監視と調査のためらしい。唖然とする面々の中で、ひとり松田は納得する。犯人は、折角拘束が解かれたというのに動かない、いや動けないと言ったところか。
「おい、安室くん」
「すみません、毛利先生。その男の言う通り、僕の本業は裏社会の探り屋……あなたの弟子になったのなだってその一環だ。でも気をつけてくださいよ。あなたは目立ちすぎて、うちの組織に目をつけられてしまった。今後ともあまり派手に動かないことをお勧めしますよ。僕はあなたに手をかけたくはないので」
厳しい顔をした毛利探偵には、安室のような笑顔を向けて答える。同じような表情のはずなのにそれは、まるで血の通っていない人形、作り物のようだった。それにしても親切なことだ。きっと毛利探偵が関わった事件の中に、この男が潜っている組織に関するものがあったのだろう。それゆえに、監視が向けられた。だから大人しくしていろ、と。
「犯罪者ねぇ」
「おや、松田刑事。なにか?」
「いや、なんでもねぇよ」
何も言うな。そんな圧を感じて、白旗を示すために松田は軽く両手を上げる。ポアロで萩原と二人で鎌をかけまくっていた時にも感じた、もはや懐かしい圧。やはり、この男は…
「……まぁ、残念ながら、僕はここで捕まるわけにはいきません。その男はお好きなように。もうお会いすることはないでしょう……探偵としての生活、割と僕は気に入っていましたよ、先生」
そう言ってバーボンは、お手本のように綺麗なお辞儀をしてみせた。場面や服装が違えば、まるでどこかの貴公子みたいだ。あまりの衝撃に再度呆然としている面々に、もう一度冷たい微笑みを向けてから、バーボンは路地裏へ向かって走り出した。
「くそ」
きっと追いかけない方があいつのためなんだろう。けれど、ここを逃したらしばらくは連絡もつかなくなるのだろう。そうなるんだったら、一言言っておかなければ気が済まなかった。
「松田刑事!?」
悪態をついて走り出した松田に、後ろからコナンの驚いたような声が聞こえた。その言葉に数人大人が追いかけてくる気配がしたけれど、男と松田に追いつける速さではない。
「…逃げなくていいのかよ」
いくつか角を曲がった先に、男は佇んでいた。松田が近づいても逃げる様子はない。それどころか、この雰囲気はまるで…
「だったら追いかけないでくれ」
「そりゃすまないな」
「一ミリも思ってないだろう」
「当たり前だ」
男の口から苦笑が漏れる。ここ最近安室として接してきたからだろうか、この感じがひどく懐かしく感じる。3、4年前以降、なかなか連絡がつきにくくなっていた、幼馴染二人組。萩原の見舞い帰りに遭遇した、とんでもない爆弾犯との攻防の後からはそれが顕著だった。こいつともう一人の悪友の所属は公安だ。きっと安易に連絡できないような案件に関わっているんだろう。そう萩原と伊達と話していたが。
「お前、どんだけ危ねぇとこに首突っ込んでんだよ」
「…」
松田の問いかけに、バーボン…降谷は意味深に微笑むだけで答えてみせた。どうせこの男のことだ。毛利探偵事務所の面々や松田たちを巻き込みたくないのだろう。こちらとしてはいくらでも頼ってくれていいというのに。
「まぁ話せねぇ、か」
「悪いな」
「はん……どうせまた連絡つかなくなるんだろ?」
「そう、だな」
あちらは公安。こっちは捜査一課とはいえただの刑事だ。話せることの方が少ないのだろう。無理に聞くつもりはない。ただ、一つだけ言いたいことがあった。
「だったら…」
突然、松田は降谷の胸ぐらを掴み上げた。抵抗する様子はない。
「これだけは約束しろ」
きっとこの男が本気を出したら、すぐに抜け出せるだろうに。それをしないということは、どんな恨み言だろうと受け入れてやるということだろう。よくわかっている。
「絶対に死ぬなよ、ゼロ」
真剣な面持ちで言い放った松田に、一瞬降谷は虚をつかれたように大きく目を見開いた。そして、言葉の意味を噛み締めるように一拍置いてから、破顔して答えた。
「あぁ、死なないよ」
まるで数年前、諸伏の両親を殺した犯人を捕まえた時に、伊達と萩原と三人で放った言葉のようだ。懐かしさに思わず目を細めながら、松田は己のサングラスを取る。なんとなく、顔を見ておきたかったのだ。
「松田刑事!安室さん!」
「どうやらタイムリミットのようだな」
「あぁ…これもってけ」
道の奥からコナンの声がした。大人の足音も聞こえる。今逃げなければ本当にこいつは捕まってしまうだろう。迫ってくるタイムリミットを感じながら、松田は手にしていたサングラスを降谷に押し付た。
「サングラスって…不審者感が増すだけじゃないか」
「多少の目眩しにはなるって。チンピラみたいだけどな」
「おい…まぁ、ありがたくもらっておこう」
降谷は、ニヤリと悪ガキのような笑みを浮かべた松田に、そう言い終わると同時にスッと足をはらった。予想通りの攻撃に、松田は受け身を取りながら仰向けに倒れ込む。痛みはない。
そんなことより、柄じゃないとわかっていても、想像以上に危険な場所にいる友人の無事を、ただ願った。
「ーーーーーー」
こちらに背を向けた降谷の言葉に、唇の端を持ち上げながら松田は大きく答えた。
「絶対だぞ!」
返事はない。しかしきっとあいつなら約束は果たすだろう。昔から、嫌になるくらい真面目で律儀な男だったのだから。
不意に湧いてきた未来への期待と、視界いっぱいに広がる青空は、なぜか警察学校の卒業式を思い出させた。
完全にコナンたちを巻いた後、降谷…バーボンはコンテナ街の先に停めてあった己の車の窓をノックした。
「お待たせしました」
「遅いわ。こんなにレディを待たせるなんて……あら、サングラスなんて珍しいわね」
「とある人に押し付けられましてね。折角なのでかけてみたんです」
「ふぅん…それで?関係は切れたのかしら?」
「えぇ、キッチリと。あなたの助言通りにね」
「ならよかったわ。もうエンジェルの父親に張り付く必要なんてないもの…あなたのわがままでなあなあにしていたけれど、そろそろ戻ってもらわなきゃ」
「ご協力には、感謝していますよ」
助手席に座る女に答えつつ、バーボンはサングラスを掛け直す。きっと、あの破天荒な友人ほど似合ってはいないだろう。そう自嘲しながら、思い切り車のアクセルを踏み込んだ。
今日も降谷は進み続ける。どんなに辛いことがあろうとも、この日本を守るために。
(絶対に死んでなるものか)
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さすがです。