リア と結ばれてから数日後の夜………
1人の少年が路地裏に入る
「何だぁ?気にくわねぇ顔だなぁ」
チンピラが少年に絡む
「…」
少年はチンピラを睨む
その目は、どこまでも冷たく、残忍だった
「くっ…」
チンピラが怯む
少年はその隙を見逃さない
手をチンピラの顔に触れさせる
「ッ!?」
刹那、チンピラは肉片になる
少年の周りには、血の海ができる
「…悪いな、道をあけてくれて」
血を踏みながら少年は歩く
暗い路上を
「ハクト様♪起きてください」
朝、リアに起こされながらゆっくり起き上がる
「おはよぉ…」
寝起きの頭であまりまわらない思考回路をまわし、答える
「ハクト様♪朝ごはんできてますよ?一緒に食べましょう♪」
リアの作る料理は絶品だ
優しい味わいのなかに、上品さもあり、食べると心が温かくなる…そんな味
「いや~、リアの作るお味噌汁は美味しいな~!毎日飲みたいくらい!」
お世辞抜きの、本音である
「そ、そんな//ハクト様///今すぐ結婚だなんて////まだはやいですよぉ///」
「違うよ!?普通にお味噌汁美味しいなってことよ!?」
そんな茶番をしつつ、朝食を食べる
「そういえば、最近路地裏で身元不明の遺体がいくつも見つかってるようですよ…」
僕も近所のお婆さんから聞いて、知っている
遺体といっても、肉片しか残っていない…残酷な殺し方だ
「ハクト様も、路地裏にはいかないでくださいね?」
心配そうに問いかけてくるリア
「うん、路地裏には行かないよ」
優しくリアを抱きしめる
「…うん」
1人、町中を歩く
そんな中、1人歩いている女の子を見つける
「どうしたの?迷子かな?」
腰を低くし、目線をあわせる
「ママがね?あそこ行ってから帰ってこないの」
その子が指差すのは、路地裏…
「(まさか、例の事件と関係が…)」
女の子を見る、とても不安そうだ…
「わかった!僕が君のママを探すよ!もう少しだけ、ここで待てるかな?」
「うん!」
路地裏に入る
「………お前…」
目と目があう
「(見つかっちゃったーー↑↑)」
そう、路地裏に入り、ちょっと歩いたら居たのだ
どこまでも冷たく、冷酷な目をした少年が
「あの女には逃げられたから、次はお前だなぁ!」
少年の手が、ハクトに伸び…触れる
しかし、何も起きなかった
「ッッ!?」
少年が戸惑う、その隙に離れる
「っ…何だよ!いきなり!」
「俺の能力は、【魔王伝】その効果は、魔王ができるようなこと、それを俺もできるようになるものだ…」
突然の能力の開示
ハクトにとって、相手が何を考えているのかわからない
「今は、【魔王のような一撃必殺】これを想像し、実行した…だがお前には効かなかった…教えろ、お前の能力」
能力…【英雄譚】のことか?でも、そうすると…
【英雄譚】そのものに、【魔王伝】に対抗する特性があるということだ
「誰が教えるとでも?」
教えるわけにはいかない
戦いにおいて、情報は大切だ
「なら、実力行使だなぁ!」
少年がオーラのような禍々しいものを纏う
直後………………
「………は?」
路地裏の壁に体を打ち付けていた
「グボァ!?」
瞬間、激しく吐血する
でも…
「…痛くない」
そう、痛くないのだ
これなら、病気で苦しんでいたときのほうが辛かった
「ッ!?…あれを受けて立つのか」
来る…
魔王が…
心臓の鼓動がはやくなる
「…使ってやる!僕の能力!!」
直後、頭の中に声が響く
『英雄様、どのような物語《のうりょく》を綴りますか?』
魔王伝…超パワー
『綴れる物語はこちらのみです』
「なら、その能力を得る」
迷ってる暇ではない
今は、とにかく、戦える力が欲しい
瞬間………
体に力が湧き上がる
「うあぁぁぁぁ!!!!」
少年の顔をおもいっきり殴る
少年の体が勢いよいよく吹き飛ぶ
「ガハァ!?」
瓦礫に埋もれる少年
「はぁ…はぁ…」
「(腕が半壊!?くそ…付け焼き刃の能力じゃ…体が追いつかないんだ!)」
少年が起き上がる…
「…………リロ 」
「は?」
「俺の名前だ…今日は引く、だが覚えてろ………次に会ったら、必ず殺すから」
目の前から、少年…リロが消えた
勝った…というより、見逃された
あの子の母も、きっと逃げたのだろう
「よかった…あの子の母が死ななくて…」
緊張が解け、その場に座り込む
何時間過ぎたのだろう?
気づけば夜になっている
「………ハクト様」
「リア!?」
立ち上がり、リアの元へ駆け寄る
「…ハクト様、ごめんなさい」
「ッ!?」
瞬間、僕はリアに頬を叩かれていた
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