〘 🍵seed 〙
📢さんと夜遅く帰ってきて義兄弟のみんなを心配させてしまったが、俺の心には、嬉しさが残っていた。
でもまぁ、📢さんに虐めの件がバレてしまったのは本当にやらかした、。
その後、無論🌸さんが学校に明日早く連絡し、2人の虐めの件を解決する。そう言い切ってくれた。
何故か少し安心する気持ちになりながら、大学の受験勉強に取り掛かろうとした時、俺のシャーペンを持つ手は止まった。
ただ俺には1つ。暖かい心の中に懸念が残っていた。
そう。それは🌸さんのあの時の顔。
まるで、自分は無能だ。無力だ。そう思い込み、諦めきっているかのような表情が、玄関で見た時からずっと脳裏に焼き付いて離れない。
いつも進むはずのシャーペンは今日は進まず、何か嫌な予感が心に灯った。
そのため、俺はもう早く眠りについた。
机に広げてある参考書やノートをそのままにして。
次の日。🌸さんは昨日の宣言通り、朝早くに学校に連絡し、俺ら2人の虐めの件に取り掛かっていた。
話し合った結果。俺らを虐めた子達は出席停止。俺のクラスの担任の先生は退学になり、職を失った。
俺と📢さんは、クラスを替えてもらい、新たなクラスで授業を受けることになった。
そこのクラスは双方とても良い場所で、みんなが暖かくて笑顔で溢れていた。
これで安心して、学校生活を送れるってわけだ。
それがあってか、📢さんは兄弟にバイトをしていたことを暴露。
ただ、兄弟達は夜遊びじゃないってことぐらい何となく勘づいていたらしい。
まっ。これも今日の絆ってやつなのかな。
そして数週間経つと、📢さんの笑顔はどんどん増え、兄弟と絡む時間も明らかに前より増えたと思う。
けど、やはり親からの虐待は続いているみたいだけどね。
そんなこんなで、もう本当の兄弟にみたいに過ごしていた俺達。
だが、俺らは知らない。
この後こそが、
最悪な事態になることを___
〘 🌸seed 〙
今日は土曜日。久しぶりに業務のタスクがなく、ゆっくり出来る休日なので、兄弟達を連れてショッピングへ向かっていた。
🍵は«遠慮しとく»。と家に残った。きっと勉強でもするのかな。なんて思ったが為に、無理やり連れて行くのは諦めた。
ただ、そんな日に限って雨というのは来る。
☂️は喜んでいたが、🎮📢は気分があまり乗らないようだった。
けど、☂️や👑の姿を見ていると、雨なんて気にしていなさそうにも見えた。
本当に、末っ子や4男はすごいよな~。なんて関心しながら 少しどんよりとした雲の下を歩いた。
みんなで楽しくお喋りをしていると、いつの間にかショッピングモールについていた。
なるべく単独行動にならないように、みんなで固まって動き、好きなところを好きなだけ回った。
俺は久しぶりのショッピングモールに時間なんて気にせずはしゃぎまくった。
1日の大半が過ぎた頃。俺らは遊び疲れたし、帰りたい。という意見もあってか、帰ることにした。
朝よりも雨は勢いを増し、傘に強く当たりつけた。
歩く度に足元がピシャピシャと鳴っている。
☂️と繋いでいる手がとても暖かった。
今日でのこともあってか、📢と🍵の虐めの件の時に落ち込んでいた自分もいつの間にかとても明るく元気になった。
最高にいい気分でみんなと和気あいあいと楽しんでいたその時。
遠くから悲鳴が聞こえた。
騒めく周りと声。雑音かのように耳が痛い。
俺らは何が起こっているのかも状況の理解が追いつかず、唯唖然と棒立ちしているだけだった。
八ッ、と我に返ったときにはもう遅かった。
血に塗れた衣服を着て、血と雨で滲んだナイフを振り上げた男がすぐ目の前に立っていた。
その男の顔は狂っていて怖い。
俺はそんなものを目の前にすると、体が強ばった。動けなかった。
それでも、隣にいる☂️だけは助けたい。その一心で、俺は固まる身体を無理やり動かし、☂️を俺の体で包んだ。
男に刺される覚悟もした。
男が背面ながらにナイフを振り下ろしてくるのが分かる。
目を強く瞑った────
*ドスッ*
強くナイフが何かに刺さる音がした。
それなのに、それなのに不思議と痛みはなかった。
不思議に思う中、ゆっくりと目を開ける。
そこには横たわった🍵の姿があった__。
息を飲んだ。まるでその時、その瞬間だけが一瞬時が止まった。
流れ落ちてくる雨も、宙に浮き、雫の形を作っているようにも思えた。
───また時が動き始めた。
雨が強く俺の体に打付ける。俺は膝から崩れ落ちる。
ドクドクと🍵の体から出てきて広がっていく赤い水。
🍵の顔は見えなくて、表情が見えない。
輪郭がぼやけていく。
🌸「ッはッ、はッッ─── 」
息が荒くなっていく。周りの声が聞こえなくて、俺の息の声だけが脳内を駆け巡る。
息がしづらい。胸元の服を強く引っ張る。
引っ張ても、息は入ってこなくて、どんどん辛くなっていく。
それと同時に、赤い水はどんどん歩道、道路に広がり、侵食する。
そんな状況の中、たった一つ分かったことがあった。
俺は今____
🌸「泣いッ…ッてるッッ、??」(泣
顔に血がつき、服も赤く染まりながらも雨に打たれ濡れていく。
俺は、横に倒れた。手足が上手く動かないし、酸素が上手く血管に渡らない。
どんどん弱くなる呼吸音と共に聞こえ、見えたのは───
おかしくなったかのように嘲笑う殺人鬼と兄弟の声。
そして目を閉じ、血を流して、微かに呼吸をする🍵の姿が俺の瞳に映った。
そして俺は、意識を手放した。
*ポチャンッ*
透き通る程に綺麗な水面に、1つの雫が落ち、波紋を創る。
だんだんと拡がっていくき、次第に消えるその様は、まるで人のようだった。
🌸「ぁれ……ここは……、、」
微かに、耳には誰かの声が聞こえた。
そんな声を無視するかのように、俺は辺り一面が水と化した風景を見つめていた。
俺はその風景に、いつの間にか見惚れていた。
何分、何時間過ぎたのかも分からない。
けど不思議と心は焦らない。虚無に居るような感覚で、リアルよりずっと、ずーっと楽。
俺がただそんな空間に寝転がっていると、後ろから謎で、懐かしい声がした。
???「🌸。守ってあげてッ、みんなを、ッ」
俺は目を見開く。焦りながらも後ろを向く。
そこには───
今。🍵の母ではなく、俺の、俺らの母が立っていた。
🌸「母さんッ……、?母さんッッ!!!」
すぐに立ち上がり、1歩前に歩もうとしたその時───
俺は、前に進めなかった。
🌸「なんでッッ………なんでッッ……」(泣
どれだけ手を伸ばしても母には届かないし、母も手を伸ばしてはくれなかった。
辛く、嫌な気持ちが俺を襲う。
けど___
🌸母「🌸。よく聞いて。」
🌸母「今、リアルで、🌸が居なくて、弟達が苦しんで、辛い思いをしているわ。」
🌸「えッ………?」
正直、母から聞いた言葉は意外だった。
弟達が、俺が居なくて辛い思いをしている?
それが、今の俺にはどうしても信じれなくて、反抗した。
🌸「そんな訳ないでしょッ、?」(微笑
🌸「だって、弟達には🍵が居たろッ?」
🌸母「………」
声が弱く、掠れていく。自信のなくなっていくそれは、母にはどう醜く映っただろう。
けど母は決して、俺を怒るのでもなく、侮辱するのではなく、言葉で示した。
🌸母「🍵という子が、気を失っている中」
🌸母「貴方だけが頼りなのよ。」
🌸母「🌸。」
🌸「ッ!!」
🌸母「しっかりしなさい🌸。」
🌸母「弟達を守るって“約束”したでしょうッ、?」
🌸「ッッッ!!!」(泣
-回想-
俺らの家族は元々、母が居た。
母は優しくて明るくて、みんなに頼られる存在だった。
そんな母に惹かれたのが、今のクソ親父だ。
クソ親父は、母と一線を越え、俺や📢達を産んだ。
母が居る頃、俺らは最高に幸せな家庭で、普通の家庭とも呼べた。
ただ、母はとある事故に巻き込まれて死んでしまう___。
俺らが公園に遊びに行った日。
公園は大賑わいで、沢山の子連れで溢れかえっていた。
そんな中沢山遊び、夕方になった頃、俺らは帰ろうとした。
その時だった。母が1人の子供を助ける為に道路に飛び出していったのは。
結局その後、その事故は、この町でも最悪とも言われる程に、悲惨な事故となった。
ただ、死者は3名。
どこかの両親と…………そして俺らの母。
そう。母は子供を庇った為に、車に轢かれて死亡した。
その時からだった。俺らの家庭が狂い始めたのは───
父はとにかく母と面影が似ている人を探し、結婚しては離婚を繰り返した。
その為、俺らにも義兄弟という存在がよく出来た。
そいつらは本当に散々で、俺らに暴力を振るうわ、性行為をしようとするわ。で弟たちを守るのに精一杯だった。
無論、クソ親父も性行為をしてきたし、暴力も振るわれた。
そんな毎日の中、母の部屋から1つの手紙を見つけた。
それを開き、見た時。俺は心に決めた。
母の手紙は遺書で、俺には───
───兄弟を守って欲しい。
そう書かれ、託されていた。
俺はこの時、心の奥底から決めた。
何がなんでも、兄弟を〝守り抜く〟と。
-回想終了-
🌸母「守ってッ、守ってあげてッ、🌸ッ。」
🌸母「今頼れるのはッ、、🌸しかいないのよッッ」(泣
🌸「………」
🌸「分かった、いいよ」(ニコっ
🌸母「ほんとっ!?」
🌸母「ありがとッ、ありがとう🌸ッ。」
🌸「ううんッ。全然ッ」(笑 浮
俺が、俺が我慢しとけば………みんなは幸せになれるんでしょ、?
なら俺が頑張らないと……。
〝弟たちを守るんだ〟
母と再会できて、嬉しいはずの気持ちは、何故か暗くて辛い。
少し重い空気が漂う中、言葉を切り出したの俺だった。
🌸「じゃあ俺。行ってくる、。」
🌸母「えぇ、行ってらっしゃい。」
俺は母を背に、母の居る反対の方向を歩き始めた。
前に差し出す足が妙に重い。
それを母に悟られないように無理矢理歩く。
視界が一転する。
母とお別れだと分かった時、俺の顔は不意に母に向いていた。
🌸母「……🌸。弱音を吐きなさい。」
🌸「……!」
母が耳からさげている桜色したイヤリングがキラリと光る。
俺の気持ちは既に、母には悟られていた。
けど現実に………弱音を吐ける人なんて、どこにも居ないよ、。母さん。
弱音を吐けるのは…貴方。
ただ1人だったの───
───母親が別れ際には見せた笑顔は不思議と、彼奴に似ていた気がした。
目に映っていた物は霧のような白い息に掻き消され、俺の体はどんどん下へと沈む感覚があった。
目を閉じた。
目を開けた時に広がっていたのは、白い天井だった。
21話 決意 _ 𝐟𝐢𝐧𝐢𝐬𝐡
コメント
14件
思ってたよりすごい笑 2人とも倒れるなんて! 🍵くんは刺されたんだよね😖💦 無事であってくれ!てかなんで 殺人鬼はなにしてんだよ( '-' ) てか2人が倒れた後は弟達 どうなったのかな、、 殺人鬼逃亡???? 🌸くんはめちゃ抱え込んでる〜 お母さんの再会がああ! 🌸くんもだけど気になること たくさんありすぎるっ😆︎💕︎ 続き楽しみっっ!!!

好き、まじで最高!すっちーが庇ってくれた??続き楽しみです!
続き待っています