〘 🌸seed 〙
目を開けると、そこは白い天井が広がっていてそれだけで分かった。
病院だって。
🌸「………」
光に満ちた病室が、目に当たると少し痛みを感じる。
📢「…🌸兄、??🌸兄ッ!!?」
🌸「📢……?」
ボーッとした意識の中、📢の声だけが耳に届く。
🌸「ここは、、 」
📢「病院だよ、。」
📢「🌸が急に息が荒くなって意識失って……、」
🌸「……ごめん、。」
📢「謝んなくてもいーよ。」
📢「それより体調はどうなんだ?」
🌸「大丈夫。」(ニコっ
📢「そっか、。」
その後、病院で検査を色々したが、特に異常はなく、普通の退院となった。
そんな中、俺の頭の隅には弟達と🍵がすぐに浮かんできた。
🌸「そーや弟達は、?」
📢「……ずっと、病室で泣いてる、、」
📢「多分今は泣いてる、」
🌸「……そっか。教えくれてありがと。」
📢の頭を撫で、俺は弟達が居る所に向かった。
🍵の病室を開けると、🍵のベットにもたれ掛かりながら寝ている弟達と、ピクリとも動かず呼吸を続けながら白いベットの上で眠る🍵の姿があった。
先生から詳しく話を聞くと、通り魔、殺人鬼が🍵に向かって刺したナイフは🍵の臓器の近くまで迫っていまらしい。
要は、臓器のすぐ側の肉まで割いたって事。
それに加え、通り魔に頭を強く足で押さえ付けられ意識不明の重体。
目を覚ます確率もあまり高くはない。
半々ぐらい。そう言われた。
病室の椅子に腰をかけ、ただひたすら弟達が目覚めるのを待った。
📢も疲れたのか、病室の椅子に座りながら壁にもたれかかり眠っていた。
🎮「ん”ん”………、🌸兄、、?」
🌸「うん。そうだよ。」(微笑
🎮「起きたのッ、!!?」
🌸「うん。そうだよ。」
🌸「🎮。少し声抑えてねw」
🎮「あ……すまん、」
🎮「つーか目覚めて良かったわぁ……」
ヘナヘナと安心したかのように力が抜け、ベットに体重をかける。
🎮「体調はどうなん?」
🌸「大丈夫だよ。」(微笑
👑「ぁれ……🌸兄……、??」
その後、👑にも同じような反応や質問をされ、🎮と同じように答えた。
無論、☂️は俺を見て泣きながら抱きついて俺が目を覚めたのを嬉しいそうにしていた。
そんな兄弟の心遣いに、俺は心が少し暖かくなる。
けど、数時間した後、心配の気持ちは俺ではなく、🍵に向けられ始める。
☂️「ねぇ🌸兄、…🍵兄は…目覚めるかな、」(泣
🌸「……目覚めるよ、。」
👑「けどお医者さんが目覚めにくいってッ! 」(泣
🎮「ッッ……」(泣
🌸「………」
兄弟達はまた、泣き出してしまった。
🍵が目覚めないことが、よっぽど嫌なんだな。そう思った。いや、思えた。
俺に今出来るのは、🍵は必ず目覚めると兄弟達に教えこむことしか出来ない。
🌸「🍵が今までお前らを置いていったことはあるか?」
☂️「ッ…ないっ、」(泣
🌸「だろ?なら、きっと置いていかない。」
🌸「きっと目覚めてくるよ。」
👑「そぅッかなっ、」(泣
🌸「うん。きっとそう。」(ニコっ
🌸「だから、ちゃんと信じて待ってよ?」
🌸「🍵が戻ってくるの。」
🎮「ん、、分かったッ」(泣
必死に涙を拭う弟達。
それに少しだけ、協力する自分。
メンタルをやられている弟達に対して、今自分が出来ることは、これが精一杯のように感じた。
そして、その後に出てくる思考はいつも通り、«🍵ならどうしてるかな»。そんな思考が頭に過ぎった。
俺はただ、あいつが戻ってくるのを待つしか出来なかった。
泣き崩れる兄弟を前に───
その後📢も夢から覚め、最初の心配の矛先は俺、次は兄弟。そして最後には🍵に向いていた。
でもそれは当たり前のこと。
軽傷の俺と、重症の🍵。この2つを比べたら当たり前のように🍵に傾くだろう。
けど、それをどうしても羨んでる自分がいて、その自分がどうも黒く濁っているように思えた。
🍵がはやく目覚めれば、みんなの心配は🍵だけじゃなくて、俺にも向くのかな。なんて考えてしまう自分も腹立たしい。
俺は今にでも、弱音を吐きたい気分だった。
どうも辛かった。苦しかった。
あの時みたいに息が少ししづらくて、詰まる感覚。
今の俺は、その感覚を忘れ去りたくて仕方がなかった。
そんな気持ちを抑え、只々目覚めぬ🍵を前に弟達を慰め続けながら散々溜まった仕事のタスクを急いで終わらせていく。
そのせいか、前みたいに取れていた睡眠も、いつの間にかどんどん削られ、活動時間が睡眠時間より大幅に増えていた。
毎日眠い中朝に起き、朝食やらグズる兄弟を起こし食べさせ学校に行かせた。
📢は分かっているのだろうか。大体俺と同じ時間に起き、朝食を作るのを手伝ったり兄弟を起こしたりなど……。
📢は積極的に行動してくれた。
そんな毎日が続く中、土曜日。兄弟達だけで🍵の病室を訪れた。
🍵が意識を失い始めてから3ヶ月。
🍵の病状は一向に良くはならなかった。
大学の受験までの期間が残り1年と数ヶ月になった🍵。
📢も今は大学の受験で忙しいようだった。
そんな時に、俺らは兄弟みんなで🍵の病室に居た。
白いベットに横たわり、微かに呼吸音を鳴らしながら眠る🍵。
そんな🍵を見ていると、俺の気持ちは只々虚しくなる。
弟達はやはり泣きそうで、🍵の手を握りながらも🍵の名前を連呼していた。
ただそんな言葉にも、🍵は反応しない。応答はしてくれない。
🌸(………)
そんな弟達を見ていると、何故かあの時母が事故にあってしまい、母の病室で泣きながらも母に呼びかけていた自分の姿と重なる。
………幼い頃の俺は、母が死んでも数時間は母の名前を呼び続けていた。帰ってくるはずもない人に対して。
そんな事を思い出していると、自分の心の奥から辛さ。苦しさが湧いてくる。
泣きたい気持ちを堪えて、🍵を見つめる。
俺があの時、🍵の代わりになれていたら……今、弟達は泣かないで済んだだろうか。
声を枯らし、🍵の名前を連呼することはなかっただろうか。
🌸(……馬鹿みたい、)(苦笑
苦笑する。
そんなことを考えている自分が馬鹿らしくて、それと同時に、そうだったらな。なんて思っている自分が居て、なぜか悔しくて痛かった。
胸が誰かに掴まれているような感覚で、息がしづらい。
この病室に漂っている空気感が、俺にとってはどうしても、俺の心を締め付けた。
🌸「………死にたいな、」(小声
放った言葉は、泣き喚く弟達の声でかき消された。
そして、誰にも届かぬ言葉になる___はずだった。
はずだったんだ。そう思って放った……のに。
📢「死にてぇなんて思うなら相談しろよ、」(小声
📢には聞こえていたみたいだった。
俺は口から言葉が出なかった。喉に詰まり、出したい感情を、言葉に表現することが出来なかった。
だから………だから今の俺には、📢の心配を俺じゃなくて、🍵に向けること。
気づいて欲しい気持ちを隠して___
🌸「……聞き間違いだよ、きっと。」(ニコっ
📢に笑顔を向けた。
けど📢は次の返事を返してくれなかった。
何から何まで最低で屑な兄みたいだ───
〘 📢seed 〙
俺はさっき、🌸が確実に「死にたい」確かにそう言った。
けど🌸は誤魔化した。ぎこちない笑顔と共に«聞き間違え»という言葉で。
きっと、心配なんて自分には必要ない。その心配を自分ではなく、🍵に向けよう。とか思ってんだろうな。
📢(相変わらず馬鹿な兄だ事、)
少し目線を正面から上へやる。
病室は白一色で整備されていて、綺麗に掃除されていることが人目見て分かる。
そのせいか、色が映って見えるものが色が映ってなくて見えたものがあった。
それが、🌸だった。
🌸兄で、弟達には濃くはっきりとある色が、🌸は薄くてぼんやりとある色がついていた。
まるで、、まるで、この後死んでしまいそうな勢いな程、色がなく、モノクロにさえも思えた。
強く不安という感情が押し寄せてくる。
大切なもの、手元にあるものを、誰かに弾かれてしまうような。そんな嫌な感じがした。
怖くなる。もし🌸が死んだら?
🍵も目覚めず、一生伏せていたら?
一気に恐怖が積もる。
“長男”という役目がどれだけ苦しくて辛くて、痛いものなのか。想像しただけで俺は恐ろしかった。
俺は、それを耐え抜いてきた🌸兄は改めて本当に凄い兄なんだって。🌸兄じゃなきゃ、俺らはきっとここまで生きていないんだって。
そりゃ勿論🍵のお陰もあるよ?
あるけど………🍵が来るまではずっと🌸兄1人が負担を背負い、頑張ってきた。
だから俺は、🌸を失うのが怖い。 失いたくない。
そんな気持ちが、こんな思考を考え終わる時には大きく膨れ上がっていた。
📢(ぜってぇ🌸兄を死なせたくない__)
📢(この手で、この力で絶対救うッッ!!!)
俺の”思っていた事は”、〝達成する事〟そんな気持ちになっていたように思えた。
22話 兄と弟の思う気持ち _ 𝐟𝐢𝐧𝐢𝐬𝐡
コメント
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続き待っています

うん、もうね、本当に泣く、感動やばい、らんくんが起きてくれたのはガチで嬉しいよ?でも、すちくんが起きてないんだよねぇ… らんくんの気持ちすごく分かる、軽傷と重症だったらみんな重症だよね、だったら自分ももっと大きな傷とかを持ってたらみんなが見てくれるのかな…、見たいなね、うん、 すちくんも早く起きてね、らんくんは死んじゃ駄目だよ

すごく感動?しました!まじで好きです!この作品の続きが出るたびすぐに見てしまうし、暇な時はこの作品が思い浮かびます!すちくんが起きてらんらんをなだめる?みたいになるのかな?どんな展開でも続きが楽しみです!