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般若は鬼を冷徹に見つめた後、静かにその場を離れた。彼女の目は、まるで次なる獲物を狙うかのように鋭く光っている。しばらくの間、空気が静まり返ったが、すぐに港が前に進み出た。
港の目は冷静そのものだ。鬼が倒れたことで、ようやく戦いが本格化したと感じた。彼は、手にした刃を握りしめ、般若を一瞥した。
「般若、ここでお前を止める。」
港の声は低く、しかしその中には確固たる決意が込められている。彼は周囲の空気を鋭く感じ取りながら、般若に目を向けた。彼にとって、この戦いはただの戦闘ではない。般若が持つ力、そしてその冷徹さがもたらす未来を止めなければならない。
「ふふ、あなたも諦めないのね。」
般若はその場に立ったまま、挑発的に笑った。彼女の目はそのまま港に向けられ、完全に冷徹で無感情なものだった。彼女の背後から、鬼の体が動かないことを確かめると、ようやく彼女は戦闘態勢に入る。
「私を止めるのは、あなたたちでは無理よ。」
彼女はそう言って、手を軽く振ると、周囲に暗黒のエネルギーが渦巻き始めた。空気が重く、周囲の温度が急激に下がる。その力を感じた僕は、直感的にこれは危険だと思った。
「準備しろ、僕。」
港が僕にそう告げる。彼の目は真剣で、その言葉には無駄がなかった。僕は無意識に頷き、力を振り絞る。目の前の般若に立ち向かうためには、僕たち二人の連携が必要だと感じていた。
港が前に出ると、般若はその動きを無視するかのように一歩踏み出す。その間合いに入り込むと、港は素早く刃を振るい、一撃を放つ。しかし、般若はその攻撃をひらりと避ける。
「遅い。」
般若の声が、冷たい風のように港の耳元に響く。彼女の動きはまるで瞬間移動をしたかのように素早い。彼女は港の背後に回り込むと、鋭い一撃を放つ。港はそれをギリギリでかわし、素早く反撃の構えを取る。
「くっ…!」
その瞬間、僕は般若の攻撃を見逃さないようにと全神経を集中させた。僕は自分の体に力を込め、彼女が次に放つ一撃を予測しながら、港の動きをサポートするために動く。
「待ってろ!」
港が再び攻撃を仕掛ける。その一撃は、空気を切り裂くように鋭く、般若の体を捉えたかに見えた。しかし、般若はその刃の前に静かに手をかざし、空気が歪む。
「無駄。」
般若の手のひらが輝き、そこから放たれる黒いエネルギーが港の攻撃を弾き飛ばした。港はその衝撃を受けて後退し、体勢を立て直す。
その瞬間、僕は足元が震えるのを感じた。般若の力は、もはや僕たちが対抗できるレベルではない。だが、諦めるわけにはいかない。
「僕の番だ…!」
僕は心の中で叫び、駆け出す。般若に対して、恐れを感じる暇もない。僕の手に握られた力を解き放とうとするが、彼女の鋭い目がその瞬間に僕を捉えた。
「今度はお前か。」
般若は冷静に僕を見つめる。彼女の手から放たれるエネルギーが僕に向かって迫ってくる。僕はそのエネルギーをかわすことなく、真正面から受け止める覚悟を決めた。
「──行くぞ!」
その瞬間、僕は力を爆発させ、般若の攻撃を打ち破るために突進した。しかし、その直後、般若は静かに指を一本上げると、僕の動きを完全に止めてしまった。
「無駄よ、全てが無駄。」
その言葉が、僕の体を凍りつかせた。僕の目の前に立ちふさがる般若の姿は、まさに不死のような存在だった。