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第5章影の同盟 ― 地下覚醒
「通常個体じゃない!これ…増殖型だ!」
てんの声が通信に響く。
地下通路の壁から剥がれた影は、すいの一撃で裂けたはずなのに、二つ、三つと増えていく。
「増えてんじゃねぇかよ…!」
あくが高周波装置を最大出力に上げる。
振動波が通路に響き、影が揺れる。
だが消えない。
「物理も効きにくい、増える…最悪のタイプだな」
蓮が銃を構えながら冷静に言う。
影は床を這い、天井を走り、ゆっくりと包囲を狭めてくる。
すいが鉄パイプを構え直した。
「なら――まとめて斬る」
刃が展開する。
その瞬間。
鉄パイプの刃に、あの微かな光が走った。
「……まただ」
蓮が横で気づく。
すい自身も驚いていた。
さっきより、光が強い。
「勝手に反応してやがる…」
影が一斉に襲いかかる。
すいは一歩踏み出した。
「邪魔だ」
一閃。
刃が影を切り裂く。
次の瞬間――
影が、
燃えるように消えた。
「……は?」
あくが固まる。
影は再生しない。
消滅していた。
すいも驚く。
「今の……」
刃が淡く光る。
まるで、
影を拒絶するように。
蓮が小さく呟く。
「港の戦いの影響だ」
「光のエネルギーが武器に残ってる」
すいは鉄パイプを軽く回した。
「つまり」
ニヤっと笑う。
「影に効くってことか」
あくが笑う。
「最強じゃねぇか!」
だが、
てんの声がすぐに遮る。
「油断するな」
モニターの波形が変わる。
「地下の奥から…巨大な反応」
沈黙。
蓮が低く言う。
「ボスの予想通りか」
影の同盟。
ただの影ではない。
何かを作っている。
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地下最深部
チームはさらに奥へ進む。
旧地下鉄のトンネル。
線路は錆び、壁は崩れ、
そして――
影が増えている。
床、天井、壁。
黒い染みが広がっている。
キララの声が通信に入る。
「地下のエネルギー濃度が上がってる」
「この奥に中心がある」
リリが続ける。
「つまりボスがいるってこと」
すいは鉄パイプを肩に担ぐ。
「ちょうどいい」
蓮が小さくため息。
「お前はほんと戦闘狂だな」
そのとき。
通路の奥。
影がゆっくり動いた。
人の形。
一人。
いや――
小さい。
「あの映像の……」
リリが息を呑む。
紋様の子供。
全身に黒い模様。
目だけが白い。
ゆっくり口を開く。
「……ダークナイト」
声は幼い。
だが、
複数の声が重なっている。
「あの戦いの光」
「解析完了」
空気が冷える。
子供が一歩進む。
影が周囲から集まり始める。
「影の同盟は進化する」
「次は」
「あなたたち」
「排除対象」
影が爆発的に広がる。
地下通路が
闇で埋まる。
あくが叫ぶ。
「数ヤバい!!」
てんが即座に指示。
「撤退ライン確保!」
蓮が銃を構える。
すいは――
笑った。
「いいね」
鉄パイプの刃が
強く光る。
「影ごと全部」
構える。
「ぶっ壊してやる」
そして――
すいが踏み込んだ。
第6章
最後の影
地下通路の奥。
影が蠢く中心に、あの子供の姿が立っていた。
体中に黒い紋様。白く光る目。
「……影の同盟」
その声は幼いのに、どこか機械のようだった。
影が周囲に広がり、床も天井も黒く染まっていく。
てんが通信で叫ぶ。
「数が多すぎる!全員で戦うのは危険だ!」
れいの声が冷静に響く。
「退避だ」
リリ、キララ、ナイト、しょう、あく、てん。
全員が後ろへ下がる。
「リビングに戻る。つとむと合流する」
キララがすいを見る。
「無茶しないでよ」
すいは鉄パイプを肩に担ぎながら言った。
「大丈夫」
蓮も銃を構える。
「すぐ終わらせる」
二人だけが残る。
地下通路は静まり返った。
子供がゆっくり首を傾ける。
「二人」
「戦力不足」
すいがため息をついた。
「うるさい」
鉄パイプを構える。
「影は嫌いなんだよ」
次の瞬間。
影が一斉に襲いかかった。
床から、壁から、天井から。
黒い腕が伸びる。
蓮が銃を撃つ。
「右!」
すいが跳ぶ。
鉄パイプが光る。
一撃。
影が真っ二つに裂けた。
だがすぐに再生する。
「しつこい!」
すいは回転しながら連続で振るう。
光の刃が影を切り裂く。
蓮が影を撃ち抜きながら言う。
「中心を倒す!」
「了解!」
二人は同時に走った。
影の子供が手を上げる。
地下全体の影が集まり、
巨大な黒い怪物の形を作る。
すいが笑った。
「デカいな」
蓮が呟く。
「まとめて終わらせる」
二人は同時に飛び込む。
影の腕が振り下ろされる。
蓮が撃つ。
すいが跳ぶ。
鉄パイプが光を放つ。
「終わりだ!」
全力の一撃。
光の刃が怪物を縦に切り裂いた。
黒い影が崩れる。
中心にいた子供の体も、
光に包まれ、
静かに消えた。
地下通路に静寂が戻る。
すいは鉄パイプを見た。
さっきまでの光が、
ゆっくり消えていく。
「……あれ?」
もう光らない。
蓮も気づく。
「力が消えた」
鉄パイプはただの鉄に戻っていた。
すいは肩をすくめた。
「まぁいいか」
軽く振る。
「普通でも十分」
蓮は小さく笑う。
「だな」
二人は歩き出す。
地下通路を戻り、
基地へ向かう。
リビングでは
つとむとれいが待っている。
誰も知らない。
地下で起きた戦いも、
鉄パイプの力も。
それは
すいと蓮だけの話だった。
そして――
静かな日常が
また始まる。
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