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僕の名前は「刻(コク)」、僕に苗字は無い。僕は児童施設に拾われた、所謂捨て子なのだ。この世界では、人々が平和に暮らす、手を取り合って皆平等に、なんて言う綺麗事は戯言として流されるような、人が人を襲い、金品を奪い合う、まぁ俗に言うスラムなのである。国々が戦争をした後、この世界はひとつの国に統一された。元々激しかった経済格差が、戦争によりさらに激しくなったのである。人々は、戦争に勝つために最先端の技術に精力を注ぎ込んだ。その技術というのが、人間の奥底に眠る生の力を具現化するというものだった。簡単に言えば魔法のようなものだといえばわかりやすいだろうが、魔力のような体力と共に回復するものと違い、生のエネルギー、これはその人間の欲求を満たすことで補われるという特性を持つ。この力は長年にわたり各国で研究がされ続けられた。その結果、この国は中央都市を除いて明日食べる食料でさえも確保が難しい、スラムとかしてしまったのだ。そんな世界で僕は幸運なことに、国直属の児童施設に保護してもらうことが出来た。その施設では、この世界の平和をかきあつめたかのように、皆が協力しあって共に明日を生き抜いていた。そして、そんな僕には弟がいる。児童施設で初めて出会った時、僕は確信した。この子が僕の弟なんだって。そう思えるほどに、僕にはその子が愛おしくてたまらなかった。そして、そんな僕ら兄弟は、明日を共に生き抜いていくのである。
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気持ちのいい朝だ。太陽の光がカーテンの隙間から差し込んでいる。そして、僕の隣では弟である「時(トキ)」が寝息を立てている。トキは僕より少し背が高くて、手がゴツゴツしていて冷え性だ。布団から少し出ている手は、とても冷たい。でも、僕はそんなトキの手が好きだ。僕は体温が高めだから、この僕の手でトキを温めることが出来る。トキの手は、そんな僕の額に触れると気持ちいい。少しくすぐったくて、なんだか変な気持ちになる。
なんてことを考えているうちに、隣で寝ていたはずのトキが、むくりと起き上がっていた。
「おはよう、兄さん」
「おはよう、トキ」
そうあいさつを交わしているうちに僕の体はトキに抱き寄せられて、おでこ、頬、そして唇にトキの唇が重なり合った。
「んぅ…、ト…キ、? 」
今日は一段と長い朝の”あいさつ”に、少し動揺しつつもあの変な気持ちに浸っていると、トキが優しく背中に手を回してきて耳元で囁いた。
「兄さん、兄さんは今日も可愛いね。本当に兄さんの弟でよかったなって思うよ。」
トキの声は不思議だ。低くて、優しい。そんな声で囁かれると、体がゾワゾワしてまたあの変な気持ちになる。すると、トキは立ち上がって僕を抱き抱えた。僕をソファーに座らせると、キッチンに行って朝食を作り始めた。この部屋は割と広くて、マンションの一室程はある。二人で暮らすには十分すぎるほどだ。テレビをつけてみると、スラム街で戦い合う人々が映し出される。おそらく、政府の人間とスラム街の国の反乱者だろう。僕らは現在、政府の戦闘部隊に所属している。お世話になった児童施設に恩を返すため、政府のところで働いている。テレビでやっているような人たちを鎮圧するのも僕らの仕事だ。そんなことを考えていると、トキが朝食を持ってソファーに座ってきた。
「兄さん、昨日は大丈夫だった?兄さんはただでさえ貧血なんだから、僕に任せて無理なんてしなくていいんだよ?任務くらい僕が片付けてくるさ。」
トキは心配そうに僕の頬に手を当てる。そんな手が、冷たいけれどどこか温かみを感じる。
「ありがとうトキ。僕は平気だよ、輸血パックだって毎日飲んでるし、昨日はたまたま飲み忘れてただけで、それさえ飲んでれば僕は元気いっぱいだよ」
僕は少し特殊体質で、普通に生活している中ですぐに貧血のような状態になってしまう。でも、血を摂取することで健康を維持している。だから朝ごはんには輸血パックが必須だ。一般人から見たら異様な光景である。
「兄さん、今日は休みだし一緒に好きなことをしよう。どこかに行きたいなら連れて行ってあげるよ。」
「…今日はトキと一緒にいたいな…なんて。」
トキは少し驚いたような顔をして、すぐに顔をほころばせた。
「兄さんがそういうんだったら、そうだね。」
トキは僕の体を抱き寄せて、また僕の唇に自分の唇を重ね合わせた。でもこれはさっきとは全然違う。トキの舌が口の中に入ってくる。トキは僕のことをよく分かっている。口の中を動くトキの舌は、分厚くて熱い。僕の口の中がトキの舌でいっぱいいっぱいになる。僕のイイところをよく分かっている。トキの手が腰に触れると、とめどなく変な感じがする。この感じ、この気持ちはなんなんだろう。呼吸がしずらくて顔が熱くなる。でもずっとこのままでいたい。
「っん、はぁっ…くちゅ、うんぅ…っはぁトキっ、?」
「兄さん、顔がトロトロだね。」
「っなん、か、体っ、変…。自分が、じぶんじゃなくなっ、ちゃいそう…。」
「兄さん、それは気持ちいいってことだね。ほら、僕に身を委ねて…兄さんは何もしなくていいんだよ。」
トキに頭を撫でられると、なんだかすごく嬉しくて、もっとして欲しいと思ってしまう。するとトキは僕の口元に首を近づけた言った。
「兄さん、僕の血を飲んで?」
「っえ?そ、そんなことできないよ。い、痛いでしょ?トキにそんなこと…」
トキはまた僕の頭を撫でて、優しく微笑んだ。
「いいんだよ、兄さん。僕は兄さんのために何か出来るなら、喜んで何でもするよ。それに、これは兄さんのことが大好きで、好きで好きで好きで仕方がないから、兄さんに僕の血を飲んで欲しいんだ。」
トキは再度僕の口に首を近づけた。トキがそれを望むなら、そう思った僕はトキの首元を噛んだ。
「っん、ちゅ、ごくっ、くちゅ、っはぁ、」
トキの血は、正直に言ってしまえば美味しくてたまらない。それでいてやっぱり変な気持ちになる。これがトキの言う気持イイってことなんだと思う。
「兄さん、今日はずっとこうしていよう。兄さんの可愛い顔をもっと見せて?♡」
トキはまた僕の唇と自分の唇を重ね合わせた。そして舌を口の中に入れてくる。熱くて、気持イイ。呼吸がしずらい苦しさですら快楽に変わっていくこの体には、トキの深くて甘いキスは僕の体をトキで満たしていった。