【お前が死ぬまであと98日 】
俺は雷の音で目が覚めた。雨が降っていて、朝だというのに暗かった。その日、お前からはメールが届かなかった。少し寂しかった。気を紛らわすために、傘を差して家を出た。すると、お前は傘も持たずに公園のブランコに座っていた。俺は近づいて声をかけた。
「こんなとこで何してんの?」
するとばっと顔を上げて驚いた表情をしたお前。初めて見る顔だった。それは雨のせいか、泣いているように見えた。
「実はさ…」
お前は震える声で語りだした。
「家から追い出されたんだよね、でも元からあの家は嫌いだったし、どうせ出るつもりだったからいいんだけどね」
苦笑するお前は辛そうだった。無理をしてつくった表情が、俺を見つめた。
「雨の日って、私、めっちゃ好きなんだよね、なんかテリトリーみたいな感じ」
なんだよそれ、意味わからねぇよ。ツッコミたくなったがそれを我慢した。それは彼女が泣いていたから。気づいているのか、気づいていないのかは知らないが。その後、晴れてから虹が出て解散した。あの涙の意味を俺は知りたかった。でも知るのが怖かった。勇気がなかった。俺はスマホを布団に投げた。