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「――で。復讐はどこまでするんです?」


相変わらずのゴミ屋敷っぷりを発揮している部屋で、東雲弦は美蘭に聞いた。美蘭はそれが聞こえなかったのか、別の事を考えていたのか。いや、その事を考えるのに没頭するあまり、聞こえなかったのか。上の空な様子だ。


「先輩! どこまでやるんですか!」


美蘭はようやくこちらに気づいたようで、ごめんごめんと謝りながら微笑む。


「そりゃあ、もちろん。やれると ころまで! 私、結構負けず嫌いなの」

「……了解です。覚悟は出来ているんですね」


「うん! ……美味しいね、コレ」


しのちゃんの淹れるコーヒーを望みこむ。失礼ではあるが、彼女は経済的に余裕はそこまでない。だから、我が家のものと豆の質自体に大差はないはず。

むしろ、我が家のはマスターも認めていた格安豆だから、適当なものよりは良い。それなのに、何が違うのだろう。不思議に思い、台所の方を見ると、中古ショップの値札付きのコーヒーミルがあった。


「へー、コーヒーミル?」


「もー。それ今、関係ない話ですからー」


頬を膨らませて言った。


「……でも、まあ。豆に拘る余裕は無いので……その分、過程を大切にするようにしているんです……。結構、それだけで味が違うというか……。インスタントやコーヒーメーカーよりも、趣があるというか……」


『関係ない話』とは言っておきながらも、しのちゃんは満更でもなさそうだ。ちょっぴり照れているのか、嬉しいのか。赤がかった頰が可愛らしい。


だが、まあ正直。コーヒーミルより、中古で良いから椅子を買ってもらいたいところではある。


「過程ねぇ……確かに! どうせなら、散々な目に合わせる復讐で別れたいかも!」


美蘭はそう言うと共に、銃口を向けるように人差し指を突き出した。東雲弦にはそこから現れた、存在するはずも無い銃弾が見えた。その場が止まったかのように、スローモーションに空気が流れる。


つい先日聞いた、ある人の言葉が重なった。


『私、これでも怒ってるの。どうせなら、散々な目に合わせてやりましょう』

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