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nagi.
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李和
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まだ肌寒い年明けの午後
「やア」
目の前に満面の笑顔が飛び込んでくる
「…」
僕はそれにお構い無しに過ぎ去る
「無視ィ?それはちょっと悲しいネ」
「すみません、今余裕がないもので」
「あラ、それは大変」
「………」
立ち止まって振り返る
「いっそ全部篝さんが──」
「ン?なんか言った?」
「ああいえ、大したことは…」
力なく漏れ出た本音は篝さんに届くことはなく消えてゆく
「じゃア、がんばって」
「はい。」
もうここで止まってはいられない
「お父さん…こんにちは」
父を呼ぶ。お父さんなんて今まで言ったことなかった
「依鈴?」
「はい、僕の目を潰して挙げ句姿を消したあなたの、息子です」
「ここは!?どこなんだ依鈴!」
「屋上ですよ。あなたたちの教団の」
「な、なんで俺はこんなところに…」
「あなたを殺す為です。あ、無駄です。逃げられないよう椅子に縛り付けてるので」
「ねえ、少し話し合いませんか?」
父の目線の高さにあわせてしゃがむ
「…お前と?」
「ええ。僕と」
「…なんで僕の目を傷つけたんですか?あなたが忌み嫌う悪魔と同じ色だから?裏切者と同じ色だから?」
父の反応を待たず続ける
「ああ、そうさ。お前は神に嫌われてるんだ。お前も、それは嫌だろ?」
「ええ、そうかもしれませんね」
否定はしない。父の言葉なんかに左右されたくない
「だろ?なあ、わかってくれるだろ?この縄をほどいてくれ」
すがり付くような目で訴えかける
「残念ながら、神に嫌われているのはあなたの方みたいですよ」
にこり、と笑って椅子を蹴る
地面を見るとそれは立派な、花が咲いていた。紅い紅い、花が
それをみてまた咲う
「さようなら。」
綺麗だ。
それが第一印象だった
色とりどりな花が咲き誇るその花園はまさに楽園だった
ここでミルクティーでも、と言いたいところだがまだそういうワケにはいかないらしい
「失礼します…」
「やア。いらっしゃい」
少し経つとある人物が現れた
「久しぶりやね、依鈴クン」
ひらりと手を振ると依鈴クンも返してくれた
「まあ、どうぞ」
椅子に座るよう促す
白を基調とした小さいテーブルは花園に相応しかった
「ここ、依鈴クンのお父さんが運営してたとこなんやって?」
「はい。僕も父も、自然が好きなので」
「へえ、いいトコやなア」
「ええ…それで話なんですが…」
歯切れの悪い返事を誤魔化すように本題を切り出す
「ああ、そやったな。何かな?」
「僕……父親を殺しました…」
「うん。そやな」
「屋上から…突き落として…」
「うん。そやな」
「そのとき…僕は、笑ってました」
「ふうん。そうなん」
依鈴クンは机の方を凝視して僕の方は見ない
そういえば一回も目が合ったことがない気がする
「……………ホントに、あれは僕なんでしょうか」
「キミやろ」
「…え?」
依鈴クンが少々面食らったような表情をする
僕なんか変なこと言ったかなあ
「キミが覚えてるんなら、キミやろ」
「僕は一生僕で、キミは一生キミ」
「鏡とか、写真以外でキミの顔見たことないやろ?なら、キミや」
「…………………………」
「どう?これでこの話おしまい。」
「そうや、キミに紹介したいお茶があんねん」
初め見たときは驚いた
父も自然が好きだったとは。
実際見てきて、親子なんだと実感した
僕の好みによく似た花達は美しく咲き誇っている
「こんなことしてたんだ」
ふいに漏れた言葉はそれだった
予想外の言葉が返された瞬間はびっくりしたが篝さんらしいと思った
その言葉は篝さんそのものを表しているようにさえ思える
「じゃあ、元気でね」
「ええ、篝さんも」
別れ際言われた言葉に返事したいと思ったのはいつぶりだろうか
どこかくすぐったい響きを感じてまた僕は破顔った
この物語はすべてフィクションです。実際の人物、団体、事件とは一切関係ありません
コメント
13件
細かい設定まで拾われているのがすごく好きです!!! 依鈴がまた新たな一歩を踏み出せそうでよかったです…まさに成長した子を見る母の気持ちになりました
篝さんが優しすぎて禿げそう
「キミが覚えているならキミはキミ」普通に名言やんけ 心に刻みたい