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俺はこの日、ショッピングモールで友人と買い物をしに来た。俺の名前は前田蓮(まえだれん)26歳、いつもは図書館で働いている。友人は高校からの仲で俺の唯一の友人と言ってもいいくらいだ。
「これ可愛い!買っていい?」
この娘みたいな態度の人は柳川葵(やながわあおい)。俺と同い年のコンビニアルバイト店員。
「俺も!この靴かっけな〜」
こいつは梶原虹輝(かじわらこうき)。俺と葵より一つ上の先輩。売れない漫画家だ。まあその理由も何となく分かる。こいつの漫画は内容がぶっ飛びすぎてる。だからだろうと俺は思っている。
「お前らまじで躊躇(ちゅうちょ)しないな。おごりとは言ったけど」
「だって好きなもん買っていいとか言うからだろ?お前が。俺らは気遣いとか知らないよ?だからバンバン買ってくから言葉遣いには気をつけな」
「カッコつけて言うもんじゃねえだろそれ」
先輩とはいえどそんなことは気にせずみんなは接している。年齢の壁とやらはない。
「映画とか観たくね?」と虹輝。
「確かに〜!観たいかも!」それに賛同する葵。
「あのさ〜さすがに俺の財布も尽きるぞ?バカなのか?」もちろん俺は反対する。
「ほれあそこ見てみ」虹輝はそう俺に巨大のぼりを指差す。そこに書かれていたのは「毎週水曜日はシアターデイ!料金いつもの半額!」
「はあ〜…わかったよ。映画観たら帰るぞ?」
「よっしゃ!ありがとさん。蓮」
「やった〜!やっぱ頼りになるね蓮は」
なぜかここで褒められても嬉しくない。というか俺は反対してたんだからな!
俺達は上映場所まで歩いていく。その間に二人はもちろん店を見て回る。買いたいと言っても俺は拒否する。それが当たり前になっていた。だが俺はその光景を見ていて楽しかった。この時までは。
虹輝「はあ〜遠いな映画館」
葵「ね〜。疲れてきた〜」
蓮「自販機はないからな〜外出ないと」
虹輝「まじか〜じゃああそこは?」
虹輝が指差したところにはスター珈琲とかかれた店があった。
葵「いいじゃん!ナイス虹輝!」
俺は仕方なくその珈琲店に入ることにした。すると、「グチャ」虹輝の足元から何かを踏んだのか変な音が聞こえた。
「あ?俺、なんか踏んだ?」
そう言い、虹輝が自分の靴を見てみる。するとそこについていたのは……。
「肉…?」そう。なにかぐちゃぐちゃとした緑色の肉のようなものだった。
虹輝「きったね〜!」
蓮「洗う?」
葵「それこそ外出ないとじゃない?」
蓮「汚いの踏んだんだからしょうがないだろ」
虹輝「だな。…んあ?何だあれ」
虹輝は俺達の右側を向いていた。俺達は虹輝の向いている方を見る。そこにいたのは…「ゾンビ…!?」思わず俺が叫んだ。そこにいたのは緑色の体をし腐敗の進んだ全身。「グアああ」と叫びながら近くにいる人を襲っている。噛みついたり引っ掻いたり。「きゃあ!」被害にあった人はそう叫ぶ。すると、虹輝がなにか分かったかのように口を開いた。
「これってゾンビの体の一部だったりして…」
自分の靴の裏を見ながらそう言う。言われてみればそうなのかも知れない。彼の靴の裏についているものはゾンビの体の一部。俺は不意に虹輝の左を見た。するとそこには緑色の体をした人の形をしたものがいた。
「あぶない!」
俺は肩を虹輝を押し、そのゾンビから遠ざけた。しかし、そのゾンビは俺めがけて飛んでくる。
「ぐっ…」
俺は右肩をゾンビに引っ掻かれた。俺は必死の思いで足でゾンビを蹴飛ばした。その御蔭でゾンビは倒れ動かなくなっている。きっと体は脆(もろ)いのだ。俺は引っ掻かれた部分を左手でおさえる。
「おい!蓮!元気か?すまねえ俺のせいでこんなことになって!」申し訳なさそうに言う虹輝。
「いいいい。あの薬局で包帯もらってきてくれ」俺は目の前にある「フジイ薬局」とかかれた薬局を指差した。
「そうだ!そこに入って鍵かけてもらいましょうよ!」と葵が提案する。
「いやいや。俺達だけ生き残ってどーすんだよ!」
「だとしても!」
「とりあえず行こう。あのゾンビも死んだわけじゃないみたいだし。生きてる可能性もある」
俺がそう言うと二人は薬局に向かって進みだした。
「はっ…?」その時だった。俺はなにかの気配を感じ取ったのか後ろを見る。まさかとは思った。
「あぶない!走れ!」
ゾンビがまた襲いに来たのだ。
「は?は?」
「なに?」
二人は驚いた様子だった。「走れ!」目の前にある薬局に俺達は走った。
「うわっ!」すると、虹輝が転んでしまった。もしかすると、さっき踏んだ緑のもので滑ったのかも知れない。俺は助けようとしたが「だめだ!こっちへ来るな!先へ行け!」虹輝は俺がこっちへ来るのを止めた。俺は虹輝の言った通り薬局へ飛び込んだ。
「すいません。扉閉めてもらっていいですか?」葵は薬局にいた方にそういった。するとその方は外の気配を感じたのか慌てて鍵をかけた。薬局の壁は半透明のガラスのため薄っすらと外の事が見えた。ゾンビが虹輝を襲い、虹輝はそれに抵抗している。が、負けているように見えた。
「はい。包帯!」そんなことを見ていると葵が包帯を持ってきてくれた。
「ああ。ありがとう」俺は包帯を引っ掻かれた部分に巻く。
俺は包帯を巻く手を止め音の聞こえた方を見る。するとそこはガラスが割れ2体のゾンビが入ってきていた。一番近くにいた薬剤師さんが最初にやられその次にその薬剤師さんを庇った人がやられた。もうこの店内では俺と葵しかいなかった。
「きゃあ!」
一体のゾンビに葵は左腕を引っ掻かれた。もうだめだ。俺は覚悟した。扉は開かないし唯一の出口はゾンビたちが割ったガラス。しかしそこにはゾンビがいる。狭い店内ではすぐに追いつかれ死んでしまうだろう。もう……俺は目を瞑った。すると、「おい!目を覚ませ!」とどこからか聞こえてきた。俺が目を開けるとそこにいいたのは…………。