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第38話 〚予知の雨音〛
朝。
海翔は、ベッドの上で天井を見つめていた。
頭が重い。
胃が、気持ち悪い。
起き上がろうとすると、
ぐらりと視界が揺れる。
「……無理だ」
体調不良――
でも、それだけじゃない。
胸の奥が、
ざわざわして落ち着かない。
嫌な予感が、
ずっと消えなかった。
海翔は震える手でスマホを取る。
【今日は体調悪くて、学校行けそうにない】
【ごめん】
送信。
その数秒後――
澪のスマホが震えた。
画面を見る前に、
頭に“ぎーん”とした激痛が走る。
「……っ」
視界が歪み、
世界が遠のく。
――妄想(予知)。
雨の日。
灰色の空。
傘を差して、
澪は一人で登校している。
校門の近く。
「白雪」
呼ばれて、
足が止まる。
恒一が、立っている。
距離が、
少しずつ縮まる。
(海翔……)
でも、
海翔はいない。
助けに来ない。
胸が締めつけられる。
――でも。
恒一は、
何もしない。
ただ、
横に並んで歩くだけ。
帰り道。
また、
「一緒に帰ろう」と言われる。
断れず、
歩き出しかけた、その時。
「澪ー!」
声。
振り向くと――
えま、しおり、みさと。
三人が、
笑いながら駆け寄ってくる。
「一緒に帰ろ」
「今日、雨だしさ」
「ほら、行こ!」
四人で、
並んで歩く。
恒一は、
少し離れた場所で立ち止まり、
それ以上近づいてこない。
――そこで、
映像は途切れた。
「……はぁ……」
澪は、
大きく息を吐いた。
胸に残る、
重たい感覚。
(襲われない……)
(でも……)
不安は、
消えなかった。
学校。
雨の中、
澪は予知どおり一人で登校した。
教室で、
えま・しおり・みさとと合流する。
「海翔、休みなんだって?」
「……うん」
「そっか……」
三人は、
自然に澪のそばにいた。
放課後。
「一緒に帰ろ」
えまの一言で、
澪は救われた気がした。
四人で、
傘を差しながら歩く。
その後ろで――
恒一が、
じっと見ていた。
予知と同じ光景。
でも、
違うのは。
恒一の目が、
前よりずっと暗かったこと。
遠くの空で、
雷が鳴る。
雨音が、
強くなる。
澪は、
胸を押さえた。
(……次は)
(もっと、近い)
そんな予感だけが、
静かに残っていた。