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そうだよね〜佳・颯兄弟は鍵をいつも心配してるよね!自転車扱ってるから?違うね😅 2人のドキドキがこちらにまで伝わってくるよ💓 颯ちゃんの言葉の使い方言い方が好き。強めの口調だけど心地いい。支配しあってるなんていいなぁ。
女将さんとご主人に丁重に礼を言い店を出ると、すぐに見えてくる駅で颯ちゃんを見送るつもりだったのだが
「何言ってんの?部屋まで送るに決まってるだろ?」
と、彼は指を絡め手を繋ぐ。
「明日お店あるでしょ?今から帰っても遅くなるよ」
「終電に乗れればいい」
「そんなの日付が変わっちゃうでしょ?」
「ふっ…昨日もそんな感じだったな」
「…ごめんなさい……」
「俺は嬉しかったけど?送る。家まで歩ける距離だろ?」
二人で部屋に向かって歩きながら、颯ちゃんはこの辺りは不便でないか、いろいろと聞いてくる。
そして部屋へ着くと
「部屋が見たいという訳ではないが…見たいけど……それよりベランダあるだろ?そこだけ見せて」
そう言った颯ちゃんは、部屋を横切りベランダに出てぐるりと見渡し、窓の鍵をチェックして玄関に戻った。
「ここ賃貸だろ?」
「もちろん」
「じゃあ、今度どこにも傷つけないような窓の補助錠を探して持ってくるわ」
「…うん……」
間宮兄弟は、どうしても私の住まいの鍵事情が気になるようだ。
「颯ちゃん、連日寝不足にさせてごめんね。気をつけて帰って」
チュッ?
……ぅん?
チュッ……?
目を見開いたまま固まる私に
「リョウ?大丈夫か?」
颯ちゃんは、私の目の前で手をひらひらさせる。
「そ…ちゃん…キ…スしたの?」
「したした。わからないくらいだったか?」
彼は片手で私の頬を包み、親指で頬を撫でながら
「顔…ちっちぇっ」
そう言って微笑んだ。
「もう一度いいか?」
私は慌てて首を横に振る。
「全力の否定は傷ついた、俺」
「ぁ…」
「嫌だった?」
「…わからな…い……けど…」
「うん?けど?」
「…全身が…脈打つ感じ…で変……」
息苦しさも感じた私は、自分のセーターの胸元をぎゅうっと握りしめた。
「リョウ」
颯ちゃんは、自分の胸にそっと私の頭を引き寄せ
「俺もすげぇドキドキしてる…好きな相手に触れているから」
そう言い優しく私の髪を撫でる。
彼のドクドクを聞きながら
‘好きな相手に触れているから’
颯ちゃんの言葉を頭の中で繰り返す。
そして心の中で繰り返す。
「颯ちゃん…嫌ではなかった…かも……しれない」
「ぷっ…かもしれないかぁ……いつも可愛いよな、リョウ」
「……ぃえ…それほどでも…」
何が可笑しいのか、颯ちゃんはクスクスと肩を揺らし始める。
抗議しようと頭を上げそうになった私の髪を撫でたまま再び胸に引き寄せ、もう片方の手で背中を撫でる彼が
「リョウが一番可愛い。ずっと前から思ってた。顔だけじゃなく性格も、話す言葉も全部可愛い。他の女はどうなってるんだろうな…何でかリョウだけが可愛い」
そう言うと私の頭が重くなる。
彼の顔が乗っているようだ。
「全部可愛い中で一番を決めるとすれば‘颯ちゃん’だな…リョウの‘颯ちゃん’を聞くと…リョウのことしか考えられなくなる……リョウが、俺の心も体も全てを支配するんだ」
彼に包まれ、二人の距離がゼロの告白こそが私を支配していると思うのに、颯ちゃんは私が颯ちゃんを支配すると言うの?