「り、璃空ちゃん、そ、そのペンって……!」
「え?」
「描かれたもの(人)の命を吸い取るペンなんだよ……!!」
……え?
……あれ……?
……ってことは……?
つまり……?
「そこに僕の絵と木を描いてるでしょ?
だから、僕は……」
「……信じたくないんだけど、そんなの」
わたしがさっきから力出ないのはホントに単なる疲れであって、
実際にペンの影響があるのは拓斗くんの方なのだ……。
拓斗くんの命と引き換えに、木は鮮やかさを取り戻していく。
この絵に描いている人が、拓斗くんじゃなくてわたしだったらよかった……!!
後悔しても、もう、遅かった。
拓斗くんは荒い呼吸をして、壁にもたれ掛かっていた。
そしてそのまま、フラッとバランスを崩して、倒れた。
その体をわたしが支えた。
「拓斗くん……!!お願いだから、お願い、死んじゃわないで……!!」
わたしは泣きながら叫ぶ。心臓は恐怖と驚きと不安と絶望から、バクバクと鳴っては止まらない。
「璃空ちゃん……」
「なぁに……?」
「最期に……これだけ言わせて……」
「僕の本当の…名前……
拓海っていうんだ……」
……拓斗くん、じゃなくて拓海くんは、そのまま、意識を失った。
続く
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