TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ランキング

コンテスト

出版・メディアミックス作品

SSまとめ(不定期更新)

一覧ページ

「SSまとめ(不定期更新)」のメインビジュアル

SSまとめ(不定期更新)

第18話 - 🖤💚　得意な料理

261

2025年08月04日

#BL

#ショートショート

kino

シェアする

この作品はいかがでしたか？

261

kino

プロフィール

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール

テラーノベルのスクリーンショット

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

ホーム

検索

通知

本棚

俺の彼氏は、控えめに言っても、恋人を喜ばせるための努力は惜しまないタイプだと思う。

そんな彼にとったら、得意料理のレパートリーを増やすなんて呼吸するくらい自然なことに違いなかった。

「はい、お待たせ」

「え、なにこれすごい！　いい匂い！」

「出汁もあるから、味変で揚げ浸しでも食べれるよ」

「うわっ、それやばい！　最高すぎる！　めめ、すごい！」

俺が何度もすごいすごいと言いながら手を叩いて喜んでいると、まだ食べてないのに、と言いながら目黒も頬をピカピカさせて嬉しそうに笑った。

その日、目黒が作ってくれたメニューは、唐揚げだった。衣に黒ゴマが入ってるのが、俺を思って作ってくれたからこそだと思うと、とても愛しくてたまらなくなる。

ご飯、味噌汁、漬け物とサラダ、そしてメインの唐揚げ(出汁付)。どこからどう見ても俺の大好きな、立派な定食メニューだ。

「もう本当にうまそう。写真撮っちゃお」

俺はスマホを取り出して思わず食卓の写真を撮った。

「我ながら、うまく出来たと思う」

「超うまいよぉ、お店みたい！」

「もういいから、早く食べよう？」

口ではそんな風に言うけれど、目黒は褒められるのが大好きなのだ。今だって照れくさそうにしてるけれど、もしも尻尾があったらブンブン千切れるほど振ってそうなくらい喜んでると思う。

「いただきまぁす」

「いただきます」

「んーっ、うまあっ！」

両手を合わせた後すぐ、俺は唐揚げに齧りついた。衣がカリカリで香ばしくて、鶏肉はふっくらジューシーで、お世辞抜きで美味しい。

「うん、うまい」

向かいに座った目黒も、唐揚げを頬張って納得したように頷いた。

合間にご飯を食べ、味噌汁を飲みながら、あっという間に二つほど唐揚げを食べてしまった。箸が止まらなくなりそうだったけど、揚げ浸しもやりたかったから調整する。

目黒は俺がそんなことを考えている間に俺の倍は食事を進めていた。

「一緒に食べると、おいしいね？」

「うん」

恋人と一緒に囲む、和やかな食卓。

こういう些細なことが、とても幸せだなと感じる。

「めめさぁ、今度もしインタビューで得意料理聞かれたら、唐揚げって言うと良いよ！　そのくらいうまい！」

「何それ、聞かれることあるかな」

「絶対答えて！　もう、まじでうまいから！」

「わかったって」

興奮気味な俺と、相変わらずピカピカの目黒の笑顔。

「あー、揚げ浸しもやばっ」

「いっぱいあるから、たくさん食べてね」

そうして目黒のご飯を目一杯堪能して胸もお腹いっぱいになると、俺たちは一緒に後片付けをして、一緒にお風呂に入った。

お風呂では、目黒がいつものように頭を洗ってくれる。

美味しいご飯を作ってくれて、頭まで洗ってくれて、こんなに至れり尽くせりって、なんて素敵な彼氏なんだろ　う。

お揃いのパジャマを着て、髪を乾かして、一緒にベッドに潜り込む。

ここからは俺のターン…って言えたら良いけど、たいてい途中からはぐずぐずになって、いつも記憶が定かじゃない。でも、俺がたくさん喜ばせてもらってるみたいに、目黒にも喜んで欲しいと思って、この時ばかりは俺も頑張るのだ。

「そんなこと、気にしなくて良いのに。でもエッチな阿部ちゃんは好きだから、好きなだけエッチになってくれていいよ」

「…俺だって、男だよ？」

「うはっ、どこかで聞いたセリフ」

「もー、笑うなよ」

それでも、目黒のそこを掴んで舌を使うと、頭の上から甘い吐息が降ってきたので、とりあえずはよしとする。

夢中でそこを愛して、一度口で目黒の熱を受け止めた。

俺が触られていたわけでも、俺が射精したわけでもないのに、気が付いたらもう思考がどろどろになっている。

「めめ、めめ…」

譫言のように恋人の名前を呼び、その両腕にしがみつきながら、ゆっくりと目黒を受け入れていく。

目黒の手のひらやそれで中や外の敏感な部分をたくさん擦られるとたまらなくて、わけがわからなくなった。お腹の中が苦しくて熱くて、奥を突かれる度、身体が震えるほど気持ち良かった。

「や、もう、俺…っ」

「一緒にいこう？」

「あ、あ…！」

果てた後、ぐったりしながら呼吸を整えていると、頬や瞼、額、色んなところに優しいキスが降ってくる。

唇にも触れるだけのキスを何度か交わした後、ぎゅっと抱きしめ合う。

ティッシュで後始末をしてから、目黒が脱ぎ散らかしてあったパジャマを集めて着せてくれた。

「ねえ、めめ」

「なに？」

「また、唐揚げ作ってね」

「そんなに気に入ってくれて嬉しい」

俺たちは顔を見合わせて笑った。それからおやすみのキスをして、並んでベッドに横たわる。

こんな毎日がずうっと続いていくと良いなと思いながら、俺は目黒の腕に抱かれたままそっと目を閉じた。