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足りなかったもの
谷内「右京決めろ!」
目の前にはキーパー一人。
右からはCBがスライディングで迫っていた。
左にボールを持ち変え、
右京はシュートを放った。
と思っていたが…
「スカッ」
ボールはコロコロと移動した。
「ドカン!」
ボールはクリアされた。
「ピ…ピ…ピィー!」
試合の終わり告げるホイッスルが鳴り響く。
「あぁ…」
膝が落ちていく。
「これで終わりか」
「っぐ…うっ…」
声にならない悲しみが、溢れ出る。
「自分のせいで…」
「おまえじゃねぇよ…」
自分にはわかっている。
この試合は俺があそこで決めていれば
苦手な左足なんかで打たなければ
絶対に勝てた。
試合後のロッカールームで
俺を責めるやつは一人もいなかった。
優しさだろうが、俺には逆効果だった。
「何してんだ!」
「おまえのせいや!」
と責めてくれればすんなりと、受け入れれる。
だが誰も責めない。
そこで俺は決めた。
苦手な左足を使わなくても、右で決めきる!
右を徹底的に極める!
そこから高校に入学するまで、
毎日右足が動かなくなるまで練習した。
過酷な練習に時々足から
何か切れる音や、弾ける音がした。
それでも右足を鍛え続けた。
すると歩き方がおかしくなってきた。
つまづいたように歩くように。
でもあんな思いはしたくないと、
必死に練習した。
そして今自分は
地元の高校“青空高校”に入学した。
決して有名ではない高校だが
どこでやるかではない、何をやるかだ。
早速部室のドアを叩いた。
「コンコン」
??「なんですかー?」
右京「失礼します!
入部届を出しに来ました!」
??「あぁ新入生か」
??「久しぶりだなぁ」
??「そこに置いといてー」
右京「失礼しました!」
わかっていた。
承知の上だったが、これまでもか…。
先輩たちからサッカーのやる気を感じなかった
しかも部室なのにまるで
遊び部屋のように散らかっている。
右京の高校サッカーは
ため息から始まった…