テラーノベル
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十五年前、この世界は異世界と交わり、半異世界のような世界となった。
その瞬間から、魔物は地上を侵食し、人類の領域は縮み続けた。
そして今、生き残ったのは東京23区のみ。
2000万人が押し込められた都市。
日本人、アジア系、欧米系、混血、異世界由来の特徴を持つ者まで、
あらゆる人種が混ざり合って暮らしている。
僕の名前は神崎凛、十五歳。
十二歳のとき、親に捨てられた。
理由はわからない。
気づいたら、家の鍵は変えられていて、僕の荷物は袋にまとめて外に置かれていた。
頼れる大人なんていない。
だから自分の生活費を稼ぎ、この過酷な世界で生き残るため、防衛省が運営している、ギルドに登録した。
魔物討伐ギルドは、未成年でも登録できる。
むしろ、力があるなら歓迎される世界だ。
僕には、召喚魔法の適性があった。召喚魔法は魔法使いの中でもレアな属性だ。だが15歳、まともに魔法も扱えず、式神すら出せない。だから僕は安い剣で戦いつずけるしかなかった。
それだけが、生きる手段だった。
登録時は最低ランクのF。
三年かけて、ようやくDランクまで上がった。
生活費を稼ぎ、安いマンションの六畳の部屋で、なんとか生きている。
その日、僕はギルドへ向かう途中だった。
雑多な人種が行き交う渋谷のスクランブル。
巨大な広告塔、魔物警戒アラートの電子音、
そして空には、異世界由来の裂け目が薄く揺らめいている。
視線を感じた。
振り返ると、少し離れた場所に銀髪の女の子が立っていた。
僕と同じ色の髪。
淡い青の瞳。
雪みたいに白い肌。
この都市では珍しくないはずなのに、
なぜか“特別”に見えた。
そして胸の奥がざわついた。
”なんだ、この感じ。”
懐かしいような、落ち着かないような、
説明できない感覚。
女の子はゆっくりと歩いてきて、僕の前で立ち止まった。
「ねぇ、あなた……名前は?」
突然の問いに、僕は少し戸惑う。
「凛だけど……君は?」
「私も凛よ」
同じ名前。
同じ銀髪。
同じ“何か”。
偶然にしては、できすぎている。
彼女は僕の顔をじっと見つめたまま、
ふっと微笑んだ。
「……変ね。初めて会ったのに、初めてじゃないみたい。」
僕も同じだった。
理由はわからない。
でも、この子と話すと胸の奥がざわつく。
「ねぇ……よかったら、連絡先、交換しない?」
唐突な提案に、僕は一瞬固まった。
「え、なんで……?」
「理由なんてないわ。
その……あなたと、また話したいと思ったの。」
その言葉に、僕の胸が少しだけ熱くなる。
「……いいよ。」
スマホを取り出し、互いのIDを交換する。
画面に並んだ同じ名前。
同じ髪色。
同じ“何か”。
でも、このときの僕たちはまだ知らない。
自分たちが”同じ存在”だなんて。
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huh...