次の日。俺は学校を休んでまで図書館へ行った。そこでこの地域の伝承について読めばなにか分かると思ったからだ。
当然だが学生はほとんどいない。俺はすぐさま歴史の分類のところへ向かった。すぐ目についたのは「白狐伝承」という本だった。俺はその本をすぐに手に取り、椅子に座り読むことにした。しかし、内容は祖母から聞いていたものと同じだった。
グ〜とお腹がなった。俺はそれを聞き時計に目をやる。すでに12時を過ぎていた。俺はどこかコンビニで昼飯を買おうと思い図書館を出た。外はとても暑く、太陽はギラギラに輝いていた。少し歩いただけで汗がたれてくる。
俺は近所のコンビニに入り、おにぎり2つと緑茶を買って外に出た。だが食べれそうなところはわからない。俺はとりあえず近くにあった公園に入り日陰のベンチに座り昼食をとった。約20分ほどで昼食を食べ終え図書館へ戻った。俺は再度歴史の分類の所をくまなく探した。しかし、白狐のことについてのってそうな本はなかった。
諦めかけていたその時。本棚の隙間になにか一枚の紙が挟まっていることに気がついた。俺はそれを抜き取り、その紙に書いてある文章を読むことにした。髪は少し黄ばんでおり、最近のものではない事はわかった。その紙にはこう書かれていた。
「幻は夢なり 夢は幻なり」
その時の俺には意味がわかならなかった。しかし、重要なんだろうと思いひっそり着ているズボンの右ポケットに折りたたんで入れた。
それから少し経った頃だろうか。図書館から出ようとした時。入口から見覚えのある人物が図書館に向かってきているのが見えた。
「やっぱ…ここか坂口」図書館に入るなり彼は俺の名前を呼び肩をぽんと叩いた。
「はは。いや〜ちょっと探しごとをね。竹島」俺はそう返事をした。
「探し事?受験勉強じゃないんだな」
「ああ。じゃあそのことについて話してやるからちょっと座れ」
俺はそう近くにあった椅子に座った。竹島も俺の向かい側に座った。
「そんで、探し事って?」
「ああ。昨日の話なんだが…家にかろうって思った時ふと目線が稲荷神社の方に向いたんだ。そんで思い出に浸ってたらなんだか登りたくなって登ったんだ。そして頂上についた時。社の方に目をやったら着物を着た一人の少女が社に向かって手を合わせてた。そして後ろを向くなり俺の方を見ると微笑み、一瞬白狐になったんだ。すると彼女は姿を消した。そんで俺は祖母から聞いた伝承について調べてた」
「ふ~ん。なるほどね〜。俺から一言。幻覚でも見たんじゃねえの?」
「いいや違う!俺ははっきりと見たさ」
「でもそれを証言するものってのはないだろ?」
「そうだけど」
「だったら幻覚見たのとおんなじ」
「でも…俺は見たんだ!信じてくれよ!親友だろ?」
「はあ〜…信用するにも俺はそういうの信じる派じゃあないんだわ」
「俺だってその伝承信じちゃない。でもそれを見たんだ。そう言うには無理がある」
「はあ〜幻覚ってのは気づかないもん。薬物でもやったか?」
「やったねえって!」
「…証拠がねえと警察が動かない気持ちが何となくわかった気持ちするわ」
「いいや俺は見たって!」
「んだよ…じゃあわかった。20万くれ。そしたら信じてやる」
「はあ!?そんな金あるわけ無いだろ」
「そうかねえ?お前の父親は銀行員で母親は東大で准教授。んなわけないだろ?」
「金でやりくりするような問題じゃない!」
「じゃあ今から行くか?」
「いいけど…」
「はは。お前体力ないからってそうやって言ってさあ…俺はサッカー部のエースだぜ?」
「はいはい。じゃあ行くか」
俺は竹島とともに稲荷神社を登ることになった。
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