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ねえケイタ
美術室、油絵の具と木の匂い、
西に落ちるのが遅くなった日差し、1人さっさとこの部屋でキャンバスに向かう男
君は何に怯えているの、なんで隠そうとするんだい
「おはようケイタ」 「業務中は敬語でお願いしますマーク先生」 「ハハ、ごめんごめん」
チャイムが鳴る、「ケイタ先生、何か言ってからにしてよね」 何を言っているかわからない、と言いたそうなケイタを残し
僕の(自称)自室へ向かう、
理科室の札がかかったドアへ手を掛け、生徒を見渡した
終了の合図と共に授業を終わらせてどうせ次授業がある事を忘れているであろうケイタに声をかけようと美術室へ向かう
なぜだろう、ケイタを見てると悲しくなってしまう、いつも何かに怯えて、失うのが怖くて、でも自分はどうでもよくて
悲しみなのだろうか、もっと自分を大切にして欲しいという怒りも沸々と煮えてくる、
抱きしめたい、繋ぎ止めたい、いなくならないで欲しい、
美術室の絵の具が薄らかについているドアに手を伸ばし「ケイタ」と呟いた
後ろからもケイタ、と呼ぶ声がして振り向いた、恋仲間のジュンジとユーダイだった、
3人からほぼ同時に呼ばれて驚きながら絵の具とクレヨンの匂いを纏いながら近づいてくる、
「…わがってらばって、こねぐていいって」 「あ、訛った」ジュンジが揶揄うと困りながら笑う、
「あんましちょすな、わ、…なんでもね」まただ、と思いながらユーダイに目をやると悔しげな顔で喋り始めた「今日、皆俺の家で飯食べようぜ!、僕料理出来ないからまたジュンジとケイタで作ったなんかオレンジの豚のやつ食べたい!」ユーダイは明らかに取り繕った顔だった、「…敬語。…わかった」
チャイムが鳴るからさっさと行けと追い返され、3人で顔を見合わせた後、ジュンジが言った「ケイタ、なんかあるよね」
多分ユーダイも同じ事を考えていたのだろう、うつむきながらゆっくり頷いた。