〈さぁーもん視点〉
な、何こいつ…
俺の弾丸を、こんなに容易く弾くなんて…!?
俺は足元におにぎりを投げる。
おどろくって人は勢いを止められず、爆発に巻き込まれる。
三角錐の小型爆弾。
近接特化の能力を持つ俺としては、こう言う投げることが出来る爆弾が必要不可欠だ。
俺は膝をついて、息を整える。
顔を上げた俺は、信じられない光景が目に入った。
「え…?」
おどろくはほとんど無傷だった。
そこで俺は思い出した。
獣人
獣人はその種族によって能力がほとんど決まる。
例えば蝙蝠とかは血を吸うことで身体強化の能力だったり、熊なら攻撃力に全振りしたような能力。
…そして、狼
狼も身体強化の能力、その中でも体の一部を変化させるのは極珍しい。
俺は、狼に食べられる鮭だった。
「…!」
狼の爪が迫って来て、俺は反射的に目を瞑る。
…けど、俺の体に痛みは無かった。
恐る恐る目を開けると、優しい顔の二人が俺を見てた。
「おどろくちゃんやり過ぎ。」
「えへへ…つい楽しくなっちゃったのだ。」
「…俺のこと、捕まえようとしてたんじゃないの…?」
俺は唖然とする。
「当たり前だろ。政府じゃないんだし。」
「私達、政府をやっつける為に君をスカウトしに来たのだ!」
スカウト…
今まで人なんて信じられなかった。
ずっと孤独で、皆俺のこと怖がって…
…けど、この二人なら信じられる。
差し伸べられた手に、俺は手を伸ば…
ガンッ!
「………え?」
背中に激痛が走る。
目の前の二人の顔が歪む。
この攻撃の仕方…覚えがある。
慌てて能力を使おうとする。けど間に合わずまた一発喰らった。
二人の腕を掴んで、俺は慌てて後ろに引く、
そこには俺そっくりな、ローラーを持った奴がいた。
違うのは、真っ赤な瞳。
「…こんにちは。また会ったね。」
そいつは俺を煽るような笑みを浮かべていた。
「俺はかぁーぼんこと影露來人!そこのさぁーもんの偽物!」
「…こいつがかぁーぼん…!」
かぁーぼんは俺の弱点を突く奴だ。
俺は能力の関係上遠距離能力の相手には弱い。
けど近距離に強い俺でも弱点はある…
こいつはローラーを生成する能力。
そのローラーは軽く、振り速度が速い。
俺が不意打ちしても、直ぐに振り返られて返り討ち、良くて相討ちだ。
こいつは俺の天敵。
逃げないと…!
そう思ったとき、おどろくさんが俺の一歩前に立った。
「…凸さんはさもさんのこと守ってて」
「ああ」
「獲物は私が、仕留める。」
コメント
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さいこうです。ありがとうございますもうお腹いっぱいです
かぁっこいい!!あのおどろくさんの登場の仕方とか急に優しくなるとことかすごい好きです!