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打ち粉を手に取り、ぽんぽんと烏融につけていく。烏融はただ静かに俺の手入れを受け入れていた。
「なあ烏融」
俺は手入れを終えた烏融の柄にそっと触れる。
「きっとこれからさ、俺はお前を酷使していくと思うんだ。お前は折れない刀だって言われてる。それでも、もし……俺が無茶させたせいで折れてしまったら……その時は、ごめんな」
無機物に話しかけ、そして謝るなんて正気じゃないと思われるだろうか。だがこいつには意思がある。俺の言葉を理解することができる。
今だってそうだ。
――わかっている
とでも言うように。ただ静かに、そこに在った。
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