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#アルイヴァ
お久しぶりでございます、生きてますよ。
生存報告のついでに小説を書こうと思いまして、今回は少し不穏寄りの作品になりますのでご注意を。
拙い文章しか書けませんし、今書いてる敬語も怪しいですよね。知ってます。
今回の描写は「客観的な描写」から「アルフレッド目線の描写」がぐちゃぐちゃに混ざると思いますが、なんでもいいよという方だけどうぞ。
今回の物語はアルフレッドがとてつもなく可哀想です。マシューは影が薄いですが、その分お利口さんなのでアルフレッドばかり怒られてたら……みたいな。今の所 マシュアルはない予定です。…多分。アルフレッドの独白、又は客観的視点から見た胸糞悪い話みたいなものですね。
ずっとこの前から頭の中をぐるぐると渦巻いていた物語ですので、どこかぼんやりしていたり意味不明な描写があっても暖かい目でご覧下さい。国名表記ありです。人名の「アルフレッド」と国名の「アメリカ」で区別をつけてるような感じですね。
アルフレッドが苦しんでるのは解釈違い、アルフレッドがこんなに苦しむのは地雷だという方は今すぐにお逃げくださいな。
逃げました?それではどうぞ。
とある世界会議の終わり。アルフレッドはひとりで廊下を歩いていた。行き先はひとつ、自室だ。
そう、一人寂しく廊下を歩いていると、甲高いような、甘ったるいような。それでいて毒や棘を仕込んだような不快な声が聞こえた。ひそひそと、隠す気があるのかないのか分からない声量で話している。聞こえているのだから余計に苛立つし、あちらに自覚がないならば尚更タチが悪い。
「アルフレッドって正直…」
「やっぱそうよね、悪い子だもん。」
「あの子の方がよっぽど、ね?」
そんな声が聞こえる。アルフレッドの耳の中で反響して、ずっとまとわりついているかのように消えない。みんな彼の兄弟のことばかりを見ていて、アルフレッドを見たとしてもそれは「個人」ではなく「国として」の問題や改善点でどいつもこいつもアルフレッド自身を見てくれていない。
誰も彼もがおっとりしている、彼と真反対の義兄弟に行くんだ。アルフレッドにとっては苦痛だが、あちらにとっては複雑なことなのだろう。第一、アルフレッドの兄弟であるマシューはお人好しだ。だからこそ、複雑な感情を抱いているのか──────いや、喜んでいるのか?それすら区別がつかないくらい、今のアルフレッドはそれ程悩んでいた。
───ばたん。乱暴にドアが閉まる。ひそひそ話をしていたやや肥満体型の嫌味ばかり言ってきそうなお局みたいな顔をしている女三人が肩を跳ねさせ、そのままのそりのそりと怯えたような足取りでその場を離れていった。自分から愚痴だの悪口だの本人の前で言ってたくせに、いざこういう時に逃げるのは人間の本能というものか。
自室に閉じこもったアルフレッドは、厳重に鍵が掛かった扉に背を預け、ずるずると力を抜いて座り込みそうになっていく。
頭の中でぐるぐるとどす黒い感情の煙が渦巻いて、明るい「笑顔」が消えていき、普段のみんなが求めている「アメリカ」ではなくなっていった。そこにいるのは、ただの十九歳という幼い歳で超大国レベルの批判を受ける青少年の「アルフレッド」だった。
彼の体の中で苦い感情が渦巻く。その感情は彼が好むアメリカンな珈琲よりも、ブラックでビターな味わいのチョコよりも、何よりも苦かった。彼は自分の中でこう思った。
「みんなに好かれていると感じていたのは、俺だけじゃないのか」と。
自信満々で堂々としてる超大国。いつも笑顔で天真爛漫な超大国。偉そうな超大国。
彼は気付いてしまったのだ。みんな自分のことを「国」───「アメリカ」としか見てないということに。
いつも皮肉で「超大国サマ」と言われていた理由はそれだったんだと今更ながら気づいた。「お前は国としてしか重要がない」だとか、そういう意味の。彼が聡明ながらに気づいた事実はどこまでも胸糞が悪く、どこまでも屈辱的で、どこまでも残酷で、そして─────どこまでも覆らなかった。
だって事実なんだもの。そう悪びれもなく国の化身たちは述べるだろう。アルフレッドの内面も知らずに。
アルフレッドの内側はヒーローなんかじゃなくて、どこまでも人間臭くて、どこまでも闇に満ちていて、どこまでも聡明で、どこまでもめんどくさかった。けれど、そこが彼の魅力なのだろう。自身で気づける観察眼と、それを受け入れたい気持ち。彼の中でそれは変わらない。変わらないのだが───
──────認められるかは、また別だった。
マシューが妬ましいとか、そういうんじゃなくて、アルフレッドは純粋に自分を見て欲しいのだ。だが、それを口に出したら「承認欲求」と嘲られ、口に出さなかったら出さなかったで「いつもはお喋りなくせに何を企んでいる」と疑われる。完全なるジレンマだ。どの手を取っても板挟み。どの手を取ってもアルフレッドが悪者。チェスで言うならチェックメイトだ。どう転がってもしんどい憂いが着いてくる。
結局は、どう転がっても「アルフレッドは悪い子」で、「マシューは大人しくできるお利口さん」なのだ。覆らない残酷なレッテル。アーサーも最近、彼に素っ気ない。みんな「マシューとアーサー」───二人だけを望んでいる?
アルフレッドは重荷を背負ったまま、前に進めなくなっていた。胃の底が冷えるような寒気と、背後から指をさされてるような違和感と吐き気と、超大国としての責任と、プレッシャーと、期待と、呆れと。
それらを全て背負って、アルフレッドは生きていると言うのに、結局見られるのは影が薄いなりにみんなと話してる義兄弟のマシューで。アルフレッドがどの努力をしても、「当たり前だろ」と鼻で笑われる。反してマシューが努力をしたら「すごいじゃないか」とたくさんの拍手と賞賛の声が上がる。
同じ顔なのに。同じ髪の色なのに。同じ強大なのに、どうしてこんなにも違うものか。
アルフレッドが居なくなったらみんなは「胡散臭い超大国が居なくなった」と喜んで、マシューがいなくなったら「あんたのせいだ」とアルフレッドが指を突きつけられる。
マシューがこのことを知ってるのか知らないのか、知っていて怒っているのか優越感を感じているのか。いつものおっとりした彼からは読み取れないが、アルフレッドは思い込み始めていた。
「自分は悪い子だ」「仕事をするのは当たり前だ」「ファーストフードは食べちゃダメなんだ」「パンケーキはマシューに譲ってあげないと」「俺が褒められないのは当然だ」
たかが権力も持たない野次馬が植え付けたアルフレッドの自己肯定感。
たかが金も持たない立場だけが一丁前な野次馬が植え付けたトラウマ。
たかが一般人の野次馬が植え付けたアルフレッドの「アメリカとしてのイメージ」。
全てがアルフレッドの足枷になって、アルフレッドは抜け出せなくなって、今静かに、だが確かに力尽きている頃だった。
国が滅亡しない限り不老不死だったとしても、超大国という輝かしい肩書きを持っていても、「自由」という名の素晴らしい愛を掲げていたとしても、心は傷付くのだ。
心には「不老不死」だとかの概念がないもんで、弱い人は弱い人で簡単に崩れてしまう。無駄に美しい硝子のハートが脆く、美しく、簡単に、残酷に亀裂が入る様はアルフレッドを嫌う者から見てどう思っただろう。快感?遊悦?呆れ?諦め?憎悪?嫌悪?
どうだっていいが、今アルフレッドが壊れそうになっているのに変わりはなかった。
177センチという、普段なら堂々としてる長身なはずの体が座り込んでいる。弱々しく、とても脆く、どこか滑稽で、それでいて人間らしくて。
彼の内心は、今どういうものなのだろうか。多分、本人には「つらくて苦しいもの」くらいにしか認識できていない。
アルフレッドは冷たい床に座り込んで、扉に背を預けたまま、静かに頭を抱えた。
コメント
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わあ……一気に心臓を掴まれました。アルフレッドが「アメリカ」としてしか見られず、自分の内面を誰にも認めてもらえない苦しみがひしひしと伝わってきました。特に「みんなに好かれていると感じていたのは、俺だけじゃないのか」の一文に胸が締め付けられました。あの廊下の噂話の冷たさと、自室で崩れ落ちる姿の対比が切なくて……。マシューとの扱いの差に懊む心情もリアルで、続きが気になります。アルフレッドの心の叫びが静かに響く、とてもいい第一話でした。