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あの人とは違う匂いがして、目を覚ます。傍らではサイチが突っ伏して眠っている。
彼の前髪を撫でると。
「良かったー、このまま目覚めないかと思った。」
そう言って安堵のため息を漏らした。
「サイチ、私…。」
「夜中に急に苦しみだして。キクタさんに診て貰おうと呼んできたら、いきなりキクタさんに襲いかかるからオレ、本気で床に押さえつけちゃって…ごめんよ、怖い思いさせて。 」
「あぁ…大丈夫だよ。もうなんともない。」
宵闇に見えたあの姿はサイチだった。
「目覚ましたら呼んでくるよう言われてたんだ、ちょっとキクタさん呼んでくるね。」
「うん。」
そして。
「気分はどうだ。」
「キクタ!!その怪我!!」
「向う傷と言ってやりたいが、随分派手に暴れてくれたもんでな。」
「ごめんなさいあの時、キクタがキクタじゃない人に見えて…。」
「ペスペラって言ってたな。他にも呼んでたぞ、宵闇と黄昏とあと1人…。」
「オルストロ。」
「そいつら一体何者なんだ。」
「彼らは先の戦争の捕虜で、人体実験により1つの感情しかもちあわせていないヒューマノイド。明けの明星は喜怒哀楽の喜、ペスペラーは喜怒哀楽の楽、宵闇は喜怒哀楽の怒、黄昏は喜怒哀楽の哀。私は社会実験でその4人と共同生活していたの。 」
「そんな酷い実験…共同生活は上手く行ってたの??」
「上手くいくわけねぇよな。」
「代わる代わる皆、私を犯すようになって、その中で実験前の記憶が蘇ることがあって4人は苦しんでた。前の記憶が蘇る度記憶改変されて、また人が変わったように私を犯すの。」
「胸糞悪い話だな。その実験を提案した奴の名前は。」
「ハセガワさん。」
「キクタさん知ってるの??」
キクタが目を見開いて驚いてるのを見て、サイチは言った。
「知らないも何も…ちょっと情報処理が追いつかねぇ。4人の男はさることながら、お前に確認したいことがある。答えてくれるな??」
「うん。」
「まず、お前ヒトじゃないな。」
「そう。私はヒトからヒューマノイドになることに成功したプロトタイプ。痛覚を持ってない。」
衝撃のあまり唖然とするサイチと。
「やっぱりな…。」
キクタは煙草に火をつけ、長いため息と共に煙りを吐き出した。
「あとお前をヒューマノイドにしたのはハセガワだな。」
「そうよ。 私をベッドに連れていってくれた時でしょ、気づいたの。」
「ああ。人の身体はイヤと言うほど触ってきたからな。」
「何で実験体にならなくちゃいけなかったんだ。」
「何でかな。幼少の頃からずっと実験実験で、成功してからは戦争で兵器扱い。こんなんだから考えるの止めちゃった。」
かける言葉が見つからず、サイチは唇を噛んだ。
「逃げ出した理由は。」
「私のクローンを造るのを止めるため。それが完成したらまた、戦争の火蓋が切られる。私が戦争を止めないと…。」
「ついにこの時が来たか。 」
キクタの言葉に私の頭にもサイチの頭にも?マークが浮かぶ。
「カチコミ時だ、さっそく仲間を集めるぞ。」
とキクタは得意げに笑った。