コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕は、君より自分のことに詳しくなった。君に話したから、自分が分かるようになった。一方君は、僕と距離をまだ置いているようで、僕は少し残念な気持ちだった。仲良くなったはずなのに、1歩も君に近ずけて居ないようで、寂しかった。それでも君は、僕に微笑んでくれている。笑って、人を幸せにするような雰囲気を振りまいている。いや、するようなではなく、実際に幸せにする。例えるなら幸福の笑顔と言うところだろうか、僕は君と居れるならそれでいいんだ。これ以上は望まないし、望めない。だからもういいんだと、諦めていた。
ある夏の事だった。その時は夏休みで、君と2人で海に来ていた。夜9時をすぎていたせいなのか、僕は以外に人は見当たらなかった。浜辺を歩きながら、いつものような雑談をしていた。君がテストの話を持ちかけるから、点数を素直に言ったんだ。そしたら「ばか!」って言いながら、君に水をかけられた。少し髪が濡れたぐらい。やり返したら君は「ひどーい、いじわる」と少し煽るような口調で、それでいても笑顔で、僕に言った。その時、僕は何を思ったのか、君に「そういえば時間は?お母さんとか大丈夫なの?」と聞いてしまった。いつだって、君は家族の話を避けていた。家族構成すら知らなかった。君の顔からはさっきまでの笑顔とは程遠い、作り物の上辺だけの暗い笑顔があった。そのまま君は「大丈夫だよ、だって親は家にいないから。」と言った。「そうなんだ」と返すしか無かった。そのまま会話が続く雰囲気でも無いので仕方がないだろう。「さて、もう遅いし帰ろうか」と君は言った。
気まずい空気の中、僕らは電車に乗った。会話は弾まなかった。ただ、どんよりとしたような、まるで曇り空のような雰囲気が流れた。君を家まで送ったあと、僕は家に帰った。
食事と、風呂、諸々済ませ後、僕はベットに入った。その日は君のことを考えたまま寝ることが出来なかった。やっぱり僕は君について何も知らない。知りたいけど知ることを望めない。どれだけ考えても答えが出ないまま朝になってしまった。僕は君に、おはようのメッセージすら、打つのを忘れていた。