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ーーーなんでこんなに嫌われるんだろうーーー
記憶がはっきりしてきたのは自分が1歳の頃だったと思う。
周りの人達がこっちを見て、口々に同じ言葉を言い放っていた気がする。でも、何を言っていたかは定かじゃなかった。
次に覚えているのは3歳頃。
記憶が途切れ途切れだけど、四六時中全身が痛かったことは間違いなかった。同時に誰かが自分を見ながら「キュウビ」と言っていたことを覚えている。キュウビの意味はまだ分からなかった。
5歳になってすぐ、自分の置かれた環境について、3代目火影のじいちゃんが簡単に教えてくれた。
自分の体内に『バケモノ』が入っていて、それのせいで自分は村人から冷遇されてることや、これからは3代目含め「暗部」から1日5人ずつ用意し教養を育んでいくこととか。急な話で戸惑いしかなかったが、これまでじいちゃんが本部の一室で直々に世話してくれたり、村民からの体罰から守ってくれたりだったから、特に憤りも不安も無く受け入れてた気がする。
暗部の人、改め教師達が教えてくれたのは、木の葉の歴史や社会、地理を中心に、忍術、幻術、体術を最低限に絞った2時間交代制の授業内容だった。最初こそいろんな言葉が乱雑に聞こえて大変だったが、意外にも1週間すればすぐに聴き慣れていった。中休みも特に必要無かった。他にやることもなかったし、なぜか頭も体も特に疲れはしなかった。それ以外にも、実技で受けた傷の痛みがすぐに引いたり、チャクラを知ってから自分の中に燃え盛るものを感じれるようになったりした。感知部の人もチャクラを練る度に慄いていた。
これが「キュウビ」の力なんだ…
授業を受け始めて1年、周りを見る目が変わった。前はわけが分からずにビビるばかりだったけど、力もつけば次第と俯瞰してみれるようになってくる。村人はただただ恐れるばかり…いや、まだ石やモノを投げてくる厄介者が少なからずいた。ただ前とは違い、それらを手で受け流しいなし続けてたらついに誰も近づけなくなっていた。
加えて、自分の中で一つ、心に刻んだことがあった。それは、
「復讐は絶対にしないこと」
授業のなかで『戦争』について学ぶ際、あまりにも深い憎しみが人を支配していると、幼心にもなんとなく伝わっていた。暗部の人達も同期の死を話す度に悼んでいた。
人はなぜ争うんだろう。憎しみは消えないのかな。教師陣に聞いても口ごもるばかり。自分も、考えても考えても答えは見つからない。でも、良くないことだってのは十二分に分かってる。なら、自分は絶対にしないようにしよう。そう、簡単な自分ルールを胸中で決めて。
数か月後、教師の殆どが出張ということで、久しぶりに外に出た。といっても、本部の屋上から街を眺める程度だけど。その日は曇っていた。
光が差さない分見にくいが、実技で鍛えた観察眼と聴覚のおかげか、村人の様子はよく見えた。
立ち並ぶ商店街道では人々が交差し、談笑を繰り返している。その日は桜が新緑へと移り変わった季節、あうんの門では複数の商人が輸出入の交渉を行っているんだろう。ふと、「九尾」と、声が聞こえた。本部周辺に住む夫婦がこちらを見てなにか言っている。
「あいつ、噂の九尾じゃないか?」 「えぇ、きっとそうよ」
「バケモノを飼ってる自覚が無いのか?堂々と外にでやがって…」
「ホンットにね、ウチの娘に悪影響を与えないで欲しいわね」
陰口が聴こえても、もう動じなくなった。いや、もしかしたら聞き飽きてたのかもしれない。ため息をしたのち、戻ろうとすると、突然、
「ーーーあのこ、だあれ?」
はきはきとした声に振り返ると、一瞬目を疑った。桜の花…?
いや、ピンク髪の子が先の夫婦の後ろから出てきた。両手に団子がある。
「こら、見ちゃダメでしょ!」
「でも、さみしそう」
「アイツはサクラとは違う。絶対に関わってはいけないんだ。ほらいくぞ」
親に手を引かれていってしまった。どうやら同い年っぽかったな。
…ちょっと、話してみたいと思った。
コメント
3件
読み終わりました!まず、1歳から記憶があるって時点で「あ、これは特殊な子だな」と感じましたね。そして「キュウビ」という単語がぽつんと出てくる――これだけで彼が背負っている重さがじんわり伝わってきます。3代目火影が守ってくれている温かさと、村人の冷たさの落差が切ないです。それでも「復讐はしない」と自分に言い聞かせる姿に、幼いながらも強い意志を感じました。最後のピンク髪の子との出会いが、この先どんな変化をもたらすのか気になります。