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朱塗りの東廻廊入り口に差し掛かると、「いよいよ厳島神社だ!」という気持ちになって気持ちが引き締まる。


厳島神社は大雑把にMの字に参拝していくコースになり、左下からスタートして東廻廊を通り、真ん中の谷の上の部分に拝殿、本殿がある。


もっと言えばMの谷になっている先端の先に海があり、大鳥居を望める感じなのだ。


そして右手側に抜けると、西廻廊となる。


廻廊の床は細長い横板がズラーッと並んでいるけれど、高潮の対策や波の勢いを弱めるために、板の間の隙間を広くとっていて、それを〝目透し〟と言うらしい。


「尊さん、ピンヒール履いてください」


「やだよ。嫌がらせか」


私たちはそんな会話をしつつ、廻廊を進む。


外側には屋根から灯籠がぶら下がっているけれど、最初は毛利元就が奉納したんだとか。


でも潮風で腐食してしまって、今は青銅製の物に変えられたそうだ。


東廻廊を進んですぐ左手には、国宝のまろうど神社の拝殿、その奥に本殿がある。


廻廊を挟んで向かい側は、祓殿はらいでん――お祓いを受ける場所だ。


客神社は複数の男性の神様を祀っていて、厳島神社のメインの神様ではなく、深い関わりのある神様を祀る摂社せっしゃという神社だ。


大きな神社だと境内に別の小さめのお社が複数あるけれど、摂社の他にも、まったく関係のない神様を祀っている末社まっしゃもある。


「おお……、これが御本社ごほんしゃ……」


厳島神社の御本社は手前に祓殿があり、拝殿――参拝客がお参りする場所があり、その奥に幣殿へいでん――参拝者がお供え物を捧げる場所があり、その奥に本殿がある。


祀っているのは宗像三女神むなかたさんじょしんで、〝道〟の最高神として海上運航、交通安全の御利益があるらしい。


三柱みはしらのうち一柱、市杵島姫命いちきしまひめのみことは弁財天と同視され、金運、美、芸能の御利益もあるそうだ。


〝厳島神社〟と呼ばれる神社は全国に五百社あるけれど、ここが勿論総本社で、昔は伊都岐島神社いつきしまじんじゃと呼ばれていて、市杵島姫命いちきしまひめのみことの名前が変化してそう呼ばれるようになったとか。


「……なんか、圧巻ですね。普通の神社ってここまで〝中〟にいる感覚がないですから」


私は少し控えめの声量で言う。


「確かに、普通の神社は外に拝殿があって、お参りしたら終わりだもんな。でもここは朱塗りの柱に囲まれて、神様の家にお邪魔してる感覚が強い。屋根の下っていうのもあるのかも」


私たちはお参りしたあとに言い、失礼にならないようにちょっと角度をつけた所から写真を撮る。


拝殿の外――屋根の外に出ると高舞台があり、その向こうに大鳥居が見える。


「ここで、駅前にいた蘭陵王の舞楽とかを奉納するんだよ」


「へぇ……」


「最初に、大阪の四天王寺から移ってきたって言っただろ? 日本三舞台ってあって、一つが大阪四天王寺の石舞台、もう一つが大阪住吉大社の石舞台、で、もう一つがここ厳島神社の板舞台の、高舞台と平舞台なんだ」


「凄いですね。ここで見られる舞楽って、めっちゃ貴重そう」


「一月は正月がある事もあって松の内が狙い目みたいだ。他の月はあって月一ぐらいなのかな。詳細は分からんけど」


今、中央部分にいるので、左右を見ると先ほどの客神社や五重塔が見えたり、西廻廊のほうには能舞台も見える。


西廻廊を歩いて行くと、大きな朱塗り――正確には塗りというらしい――の、太鼓橋――反橋そりばしが見える。


日本庭園の中に小さめのやつがあるけど、そんな規模じゃなくて、ミコペディアが言うには約二十四メートルあるそうだ。


もとはこちらのほうが入り口だった西側から出て、私たちはとうとう大鳥居へ向かう。


「思ってたより水がないもんですね」


「だな」


もっとベッチョベチョかと思っていたけれど、地面が出ている所は意外と普通に歩ける。


「くぁー……、すご……、でっか……」


歩いて行くにつれ、六十トンある大鳥居の大きさを思い知り、顔を上げる角度も変わっていく。


「ちょ、まだ鳥居の全貌が見える間に、記念写真撮りましょう」


「おう」


私は自撮り棒を構え、尊さんと二人で大鳥居を背景にピースする。


「凄いですねぇ……。でっかぁ……」


「平清盛の時代に、こんなどでかいもんを、しかも木造で作るんだからすげぇよ」


言ったあと、尊さんはチラッと腕時計を見た。


時刻はいい感じにお昼過ぎになり、満たした小腹がまた空いている。


「よし、あなご飯いくか」


「よっしゃー!」


私たちは大鳥居の周りをぐるっと一周したのち、西側出口の宝物館近くにあるあなごめし屋『ふじたや』さんを目指した。

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