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紛れもない、今まさに自殺を試みようとしてたのは御影先生だった。
虚な目はしばらくすると焦点を合わせ始め、ゆっくりと気怠げに体を起こした。
「…凪?」
俺のことをじっと見つめ、御影先生は呟いた。
「えっとまぁ、…はい」
「どうしてこんな、遅くに学校にいるんだ…?」
まだ意識がちゃんと戻っていないのだろうか。
たどたどしい。
「俺は放課後屋上で寝てて…そしたら先生がフェンスよじ登ってたから、」
「……っ、!?」
途端に御影先生は目を見開き震え出した。
「お、おれ、俺っ、」
「お、落ち着いてクダサイ…」
人のことなんて看病したことないけど…背中さすってみた。
しばらくすると、御影先生は冷静さを取り戻して一息ついた。
「…凪、このあと時間はあるか?」
「んぇ…あります、ケド」
「悪かったな、驚かせたろ。ちゃんと話したい」
そうして連れてこられたのは、公園。
白宝高校から御影先生の車で十数分のところにあった。
途中ス◯バで何故か新作を奢ってもらい…今に至る。
(…今回の新作、あたり)
「えーとまぁ、まずは驚かせて悪かった!」
御影先生は俺の前で頭を下げた。
「見ての通り…まぁ自殺しようとしてた」
…ですよね〜。
新作をちまちまと飲んでた俺はストローから唇を離して尋ねた。
「…どうして?」
御影先生といえば、御影コーポレーションの御曹司でボンボンなことは学校中で有名な話だ。
容姿端麗で何をやっても完璧、白宝生時代の頃につけられたあだ名は器用大富豪らしい。
資産も容姿も才能もある、そんな御影先生が何を思って自殺しようとしてたのか。
こういうのに好奇心を持つのは良くないけれど、純粋に気になってしまった。
「まぁ、俺は…いわばこの世の全てを手に入れることが出来る」
うわ、言っちゃったよこの人…。
「でもなぁ、なんだろう…いつどこでも、手に入れることが出来るのがすごく退屈で面白くない。味気ない日々に飽きちまってな。ふと終わらせてみようかなって思ってフェンスよじ登ってみたけれど…冷静になったら恐ろしいことしてたんだなって自覚してパニックになった。生徒に見られ挙げ句の果てには介抱してもらう…恥ずかしいったらありゃしねえ、笑」
正直御影先生の気持ちは分からなかった。
だけど、みんなの前ではあんなに王子様のような振る舞いをしている御影先生の裏がこんなにも歪んでいるとは思わなくて。
「ただまぁ、こんなのが学校にも生徒にもバレたら色々とマズいからさ…何でもする、この話は2人だけの内緒事にしてくんないかな」
俺は少し興味を持ったのかもしれない。
「いいよ、じゃあさ先生。俺に今度________てよ」