テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#佐藤勝利
mado
178
「来てくれてありがとう」
私の隣に聡ちゃんが座って、にこっと笑った。
金髪に変えたんだ。似合ってる。
彼の笑顔に心が緩んで
「聡ちゃん……」と言うと、「どうしたどうした!?」と乗ってくれた。
思わず私は
「実は今日……」と
辛かった出来事を話した。
「……ううっ……」
話を聞き終わった聡ちゃんの目が潤んでいる。
えっ、まさか今の話でそんなに震えてくれてるの。
「ごめんね……僕が泣いたって仕方ないのに……。〇〇、そんな辛いのに、よく来てくれたねえ……」
なんて優しいんだろう。
私よりも困った顔をしてる聡ちゃんを見つめていたら、ますます泣けてきた。
聡ちゃんはそれを見て、ああ、これじゃいけないよね、と自分の涙を指で拭った。
そして、
「僕が悩みを取ってあげる……」
と言うと、私の両肩に手を置いた。
何が起こるのか分からず動揺していると、
聡ちゃんはじっとしてて、と呟いて、そっと額を私の額にくっつけた。
まるで、唇が触れそうな距離。真剣な聡ちゃんの眼差しに鼓動が高なる。
聡ちゃんは、目をつぶった。
私も黙って目をつぶる。
周りの人からどう思われているんだろう。
額が熱い。
何秒かの緊張ののち、ふっと離れたのがわかった。
目を開けたら、聡ちゃんが微笑んでいた。
「大丈夫だよ、もう吸い取ったから。嫌なこと考えそうになったら、もう僕に渡したんだって思って……僕は寝て忘れておくから」
さっきまで泣いていた人と同じとは思えないほど力強い物言いに、頭がクラクラした。
もう、悩み事より何より、聡ちゃんで頭がいっぱいだ。
幸せな夜を
ありがとう。
end
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!