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#溺愛
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翌朝、9時。昨日までただの空き地だった場所には、朝日を浴びて輝く白亜の学校と職業訓練所がそびえ立っていた。
校舎からは、教師の指導の下、耳慣れない唱和が響き渡る。
『資産が増えたら借方! 負債が増えたら貸方!』
支給された制服を着た天使のようにかわいい子供たちが、キラキラした瞳で会計用語を口にする光景。
その横では、騎士団が地面に転がっている。そこへ知らせを聞きつけた聖女派の貴族たちが乗り込んできた。
「ソフィア様、あんまりです! 子供たちに卑しいお金の勉強をさせるなんて!なぜ聖女様のように、愛と祈りを与えないのですか!」
私は冷徹な微笑を浮かべた。
「愛? 祈り? ……それでこの子たちのお腹が膨れますの?」
「それは……神の奇跡が……」
「教育もせずにただ生かすことこそ、最大の怠慢ですわ。私は、彼らに一生飢えないための『武器(そろばん)』を授けているのですわ」
「……ソフィア。一体どれだけこの俺を驚かせれば気が済むのだ」
パチ、パチ、という拍手と共に現れたのは、感動で瞳を潤ませつつも、必死に「氷の仮面」を維持しようとしているカイル殿下だった。
「……見事だ。この騎士たちの惨状、普通であれば統治者の不徳。だが、これは違う。あまりに気高い志に当てられ、自ら死力を尽くした証拠ではないか」
背後で倒れていた騎士たちも、心の中で熱い涙を流していた。
《俺たちをこき使ったのは、一秒でも早く子供たちを救いたかったからなんだな……!》
私は心の中で思った。
(これでコンサル料ゲット最短ルート確定ね)