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世界を救わなければならない。
そう信じた正義感の強い若者は、長いあいだ争いの中心に立ち続けてきた。そして今日、ついにその首謀者を追い詰めることができた。
「ようやく、これで世界は落ち着く」
若者は静かにそう言った。
その人物は、強引なやり方で秩序を塗り替え、村を、国を、次々と崩してきた。やがてその手は世界全体へと伸び、そこで“勇者”を名乗る若者と出会い、急所を撃ち抜かれたのだった。
かつて、その人物にも若い日があった。
胸に希望を抱き、まっすぐに世界を良くしようとしていた時代が。
村のために働き、国のために尽くし、やがて世界のために行動するようになった。世界に尽くすことこそが、最も正しい道だと信じて疑わなかった。
しかし、ある日、それは裏切られる。
どれだけ手を差し伸べても、どれだけ自分を削っても、どうしても変わらないものがあった。長い年月の中で絡み合い、深く根を張った「しがらみ」。
それを断ち切るため、彼は強い手段を選んだ。
村を壊し、国を倒し、世界そのものを書き換えようとした。
だが、その途中で、別の誰かに止められる。
もう一つの正しさに。
もう一つの意志に。
首謀者は言う
「ここまでの人生で、悔いがないわけじゃない。それでも――ここまで来た以上、引き返すわけにはいかなかった」
正義感の強い若者は、引き金に指をかけ、ためらうことなく銃声を響かせた。
やがて、世界は静かになった。
けれど世界は、以前と同じ場所に立っていた。
何一つ、変わらないまま。