はーい2025一発目の小説でーす。
え?ヤバい家族どうしたって?待ってくださいね今3割まで来ました。
それで今回krr先生×emさんとか言う未開拓地に足を踏み入れた訳なんですが、思ってた数倍書くの楽しかったです。
なにぶん書くの初めてなんで違和感あると思うので、心の広い方のみ読んで行ってください。
では、どうぞ……
krem【問題です】
「ひとつ、ゲームをしましょうか。エーミールさん?」
「…珍しい事もあるものですね。2人きりでのゲームなんて」
薄暗い部屋の中央に鎮座する大きな長テーブルの真向かいに、二人の男が姿勢正しく座っていた。
テーブルはかなり大きく、横になら軽く5人は座れるであろう程だが、1番遠い距離に1人づつしか人の姿は無い。
1人は狐の面に跳ねた茶髪で、白衣を纏い妖しげに微笑む。
もう1人はモノクルに亜麻色と紫の特徴的な髪で、ロングコートを着こなし仏頂面を携える。
「…どんなゲームなんです?」
「エーミールさんなら乗ってくれると思ってましたよ」
狐面の男は機嫌良さげに大きな口に弧を描く
「ルールは簡単!貴方には謎解きをしてもらいます。YESかNOで答えられる質問ならば、何度しても構いません」
「いつものスープでは無いんですね」
「さして変わりませんよ。ただいつもよりずっと単純ですから、エーミールさんならすぐ答えに辿り着くでしょう」
モノクルの男はゆるりと目を細める
「では、問題です!」
「とある閉鎖された部屋に、8体の動物の変死体があります。彼等は皆、同一の人物に殺されてしまいました。しかし殺し方は様々、銃殺、刺殺、絞殺、撲殺、毒殺、感電、出血多量、頭部破損……などなど」
「さて、動物達を殺した人物は、一体何が目的だったのでしょうか」
やけに暗い部屋の中で、狐面の奥で毒々しいシェーレグリーンだけがギラギラと輝いた。
「…犯人は、彼等に怨みがありましたか?」
「部分的にはそうですね!」
「犯人は、『わざと』様々な方法で殺害を行いましたか?」
「YESです」
「犯人は彼等と親しい間柄でしたか?」
「はい」
「彼等…いや、その中の一人でも、犯人に殺される事を予測出来ていましたか?」
「これは恐らくNOですね」
「彼等は動物ではなく、人間ですか?」
「なんかちょこちょこ怪しいの居ますけど…まぁYESです。」
「…とある閉鎖された部屋とは、この場所の事ですか?」
「…はい。」
「殺された人達は皆、貴方や私の友ですか?」
「YES」
「心臓を撃たれたのはトントンさんですか?」
「はい」
「腹を刺されたのはロボロさんですか?」
「はい」
「首を絞められたのはチーノくんですか?」
「はい」
「頭を殴られたのはショッピくんですか?」
「はい」
「毒を飲まされたのはゾムさんですか?」
「はい」
「電流を流されたのはコネシマさんですか?」
「はい」
「両手を切り落とされたのはツナっちくんですか?」
「はい」
「頭部を潰されたのは…鬱さんですか?」
「…はい」
「……くられ先生」
「貴方が殺したのですか?」
「…とても良い質問だね」
「YES」
薄暗かった部屋の明かりが、パッと灯る。
長テーブルには、向かい合って4つずつ、計8つの椅子が設置されていた。
そしてその椅子には一脚に一体ずつ、様々な死因の亡骸が座らされていた。
ある者は机に突っ伏す様に
ある者は椅子にもたれ掛かる様に
モノクルの男はゆっくりと息を吐く。
「…何故、こんな事を?」
「それがこの問題の答えですよ、エーミールさん。今聴いては面白くないでしょう?」
「……」
「…問題を続けましょう」
無機質で、しかし強い意志を感じるタンザナイトに仄かな闘志が灯る。
「皆さんを殺したのは、実験の為ですか?」
「いいえ」
「では、好奇心または知的好奇心からですか?」
「…ん〜、どうでしょう。半分YESかな?」
「その好奇心は彼等の死に対してですか?」
「NOです」
「…私に対してですか?」
「はい」
「皆さんを殺された私の反応が見たかったのですか?」
「…そうなんでしょうね。YES」
「……満足しましたか?」
「いいえ?」
「…事前に計画を練っていましたか?」
「はい」
「私が残された事に何か理由があるのですか?」
「大いにありますね。貴方が死んでは意味が無い」
「……」
モノクルの男は顎に手を当て、変わらぬ仏頂面のまま思考を巡らせる。
彼は他人の『感情』に疎いのだ。
「…ひとつ、ヒントをあげましょうか」
「…お願いします」
「私が彼等を殺したのは、私もビックリしているんだよね。だって、科学一筋だった私がここまで『感情』なんてモノに振り回されるなんて、思ってもみなかったもの。」
「…『感情』」
今まで少しも変わらなかった表情が、ほんの少しだけ歪んだ。
「…その『感情』は、私に向けられたモノですか?」
「部分的にはい」
「貴方は今まで、その『感情』を抱いた事はありますか?」
「まぁ、YES…かな?」
「それは7つの大罪の中に存在しますか?」
「はい」
「複数個ありますか?」
「YESですね」
「傲慢ですか?」
「そうなのかもね」
「強欲ですか?」
「そうだろうね」
「憤怒ですか?」
「ちょっと解らないかなぁ…」
「怠惰ですか?」
「それはNOかな」
「暴食ですか?」
「いいえだね」
「色欲ですか?」
「無くはないねぇ」
「…嫉妬ですか?」
「…はい」
「傲慢、強欲、色欲、嫉妬……」
「そろそろ答えに近付いて来ましたね」
「…貴方は、『何か』を得たかったのですか?」
「はい」
「友人やお気に入りのモルモットを殺してまでも?」
「はい」
「貴方は、『何か』に好意を抱いていたのですか?」
「はい。とても強くね」
「貴方は、その『何か』に嫉妬していたのですか?」
「それはNOです」
「…では、彼等に嫉妬していたのですか?」
「…はい」
「……その、『何か』とは今」
「貴方の目の前に居ますか?」
「…ものすごく、良い質問だね」
「YES」
ニィ…と、口角のつり上がった口から、ギザギザとして尖った歯が覗く。
シェーレグリーンを宿したその目は上弦に歪み、面をしていても分かる程愉悦に浸っている。
反対にモノクルの男は、心底理解出来ないと言わんばかりに眉を顰め、タンザナイトを鈍く光らせた。
「…ここまで来れば、後は簡単ですよね」
「……」
「では、エーミールさん。解答をどうぞ」
モノクルの男は、またひとつ息を吐いた。
…貴方は、以前…恐らくかなり前から、私に対して好意を持っていた。しかし、その感情を伝える事は無く、私が察する事も無く、時間だけが過ぎた。
その感情は治まるどころか、日に日に大きく、強くなって行った。
そして次第に、貴方は私の周りに居る人間を…特に仲の良かった彼等を煩わしく思うようになり、彼等に嫉妬した。
そして貴方は、『彼等を殺せば、私がどんな反応をするか』…そう考える様になった。
だから、彼等を殺した。
わざと残忍で、一人一人違う殺し方で。
彼等は皆優秀ですから、普通に殺そうとしても大抵は返り討ちにされてしまう。
しかし態々、皆それぞれ違う方法で殺した。
自身の持つ『感情』を少しでも抑える為に
自身に湧き出た『未知』を知る為に
手に入れる為に
「これが、私の推論です」
「…相変わらず鋭いですねぇ、エーミールさん」
「大正解です」
パチ、パチ…と、1人分の拍手が響く。
狐面の男は大層満足そうな顔で
モノクルの男は苦渋を飲む様な顔で
「…何故貴方の様な方が、私などに好意を向けるのですか?」
「さあ?どうしてなんでしょう。今の私にとっては、貴方はまさに毒の様だ」
「自身の身を滅ぼすのでは?」
「それでも構わないと思ってしまうから不思議なのですよ」
狐面の男は席を立ち、足音を鳴らしながらゆっくりとモノクルの男に近付く。
「科学と感情は、元来深く関係するモノですが、時に科学の為に感情を捨て去る者も居ます。」
「私もその一人なのでしょう。今まで何人も犠牲にしてきました。科学と己の知的好奇心の為に」
「けれど今回は違う。科学でも知的好奇心でも無く、一人の人間を手に入れる為に友を殺めた」
するり
細長い指が白磁器の様な肌を撫でた。
「エーミールさん。貴方に教えて欲しいのです」
「この『感情』を」
ただ何処までも凪いだタンザナイトは、真っ直ぐにシェーレグリーンを見つめる。
「……最後に、一つだけ質問を」
「どうぞ」
「…彼等は、苦しみましたか?」
「……いいえ?…ちゃんと強力な睡眠剤を飲んでもらいましたから」
「……そうですか」
なら、良かった
そう言いモノクルの男は瞼を閉じる。
ゆっくりと落とされた口付けに、彼は少しも抵抗しなかった。
はい、お疲れ様です。いかがでしたでしょうか?
空白ばっかで読みづらかったかなと今更ながら思っております…
今回初挑戦cpって事で、是非感想等頂ければ幸いです。
それでは、また次の作品で……
コメント
3件
初めて見るcpだったけど最高すぎた! krr×emは考えた事なかったなぁ、、 2025年一発目の投稿がこんな最高なお話とか凄すぎます!! 2025年も沢山小説を読ませて頂きます!
うっわぁ……✨✨ これは…素晴らしいお話です…すごすぎる…… 物語の筋とか、謎解きとかが本家みたいで色々考えてしまいました。 krr×emというシチュも新鮮で、楽しめました!! 素敵なお話、ありがとうございます!疲れも吹っ飛ぶ物語でした!!