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「……若井くん、もう朝だよ」
小さな声で呼びかけると、彼は目をうっすら開けた。
「ん……おはよう。……大丈夫?」
優しく抱き寄せられ、改めて昨夜のことを思い出す。
顔が自然と熱くなった。
「……うん。ありがと。」
2人だけの空気。
それだけでよかった。
――はずだった。
「……おーい、若井くん起きてるー? 朝ごはんどうするって……」
ノックもなく、勢いよくドアが開く音。
「キャッッッッ」
「…………あっっっっっ」
開けたのは涼架さんだった。
そして、少し遅れて元貴さんも後ろから顔を覗かせた。
「……うわ、マジか。
若井、やったなあお前……!」
「えっ、えっ、ちょ、ちょっと待って、見るな!!」
慌てて布団を引き寄せる。
でももう、遅かった。
「いや〜これはこれは……大人になったね、若井くん?」
「元貴くん、やめて……」
「あは、あはは」
涼架さんが苦笑いしながらそっとドアを閉める。
「ごめんごめん、朝ごはん自分たちで食べるから、ゆっくりしてねー!」
「ちょっ……ちが……待って、ホントに!!」
若井くんの顔は、真っ赤だった。
その姿に思わず笑ってしまう。
「……最悪……」
「ふふ……でも、いい人たちだね。」
私がそう言うと、彼は少し肩を落としながらも、笑ってうなずいた。
「うん……まぁ、バレたならもう、隠さなくてもいいか。」
「……え?」
彼は私の手を握り、真剣な目で見つめてくる。
「俺、本気で好きだから。
昨日のことも、今日のことも、全部……ちゃんと向き合いたい。」
その言葉が、胸に静かに響いた。
部屋の外からは、2人の声が聞こえてくる。
「で? いつから付き合ってたんですかー?」
「おい元貴、やめろって! 本人たち気まずいでしょ!」
「だって、気になるじゃん! 若井がどんだけ甘々だったかも!」
そんな声に苦笑しながら、
私は彼の手を握り返す。
「……じゃあ、ちゃんと隣にいさせてね。」
「もちろん。」
それが、2人の“始まり”の朝だった。
終わり次は涼ちゃん………かも…?