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色味の鮮やかなフルーツをゼリー寄せにして、その下にカスタードクリームを敷き詰めた丸いタルトを口に運ぶと、ほっぺたが落っこちそうなくらいに美味しかった。
「お店で売ってるのより、ずっと美味しいです」
「ハハ、それは源じいではないが、きっと作った者も喜ぶだろうな」
フォークを手に微笑う彼が、眩しいくらいに素敵に見える。
「……貴仁さんって、王子様みたいで」
ぽぅーっとその端正なルックスに見とれていたら、つい思っていたことが口からこぼれた。
「王子様? 私がか?」と、彼が首を傾げる。
「はい、ここがお城なら、きっと貴仁さんは王子様だろうなって」
口に出しちゃったからにはと、頭の中で膨らませていたイメージを、思い切って彼に明かした。
「そんな風に思ったこともなかったが……、」
と、彼が戸惑うように言葉を切って、
さすがに恥ずかしいことを言っちゃたかなと感じていると、
「……だがもしそうだとすれば、君は、プリンセスだな」
貴仁さんから不意にそう言われて、頬がじんと熱くなった。
「……私にはもったいなくて」
プリンセスだなんて柄でもないしと否定をすると、「いや」と、彼が首を振った。
「私が王子だったら、姫は君しかいないだろ……?」
……そんなことを、ちょっと照れ顔で問われたりしたら、私の方もいよいよ照れ照れになるしかなくて……。
「あっ……えっと、はい……」
熱くなる頰を隠すようにうつむいて、小さく答えると、
「姫と王子は、城でいつまでも幸せに暮らしました──と、いつの日にか言えるようになりたいものだな」
そう告げられて、頰どころか顔全体が言うまでもなく真っ赤になった。