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──あれから2週間後
再度行った病院がいい所だったからか、2週間も経てば声が出せるようになっていた
勿論いきなり大声を出したりするとむせてしまう事は多々あるが…
『色々本当にお世話になりました〜!AZさん、これ良かったらどうぞっ』
「わざわざ私にまでありがとう、シオン」
そういって予め買っておいた有名所のクッキーを渡し、セイカ達にもそれぞれプレゼントを渡していく
苦労人のデウロにはお守りの意味も込めてミサンガと好きなカフェのマフィン
ピューロには限定コラボのカナリィのアクスタ、バトル好きなセイカにはミアレガレットとキズぐすりのまとめ売りBOX
バトル好きのセイカの性格を考えれば、きっと可愛いものよりも実用性のある物の方が喜ばれるだろう
「ありがとう、シオン!ミサンガ大切にするねっ!!」
『喜んで貰えたみたいでよかった〜』
そういって笑うとシオンはガイの方へ駆け寄り、ガイにもキズぐすりのまとめ売りBOXとガイの瞳の色に似たカフスボタンを渡す
「こんないいものいいのか?」
『うん、あまり使う時ないかもだけど…やっぱ好きな人には特別なものあげたいじゃない?』
「えっ?」
その瞬間、ガイがピタッと止まったかと思うと一気に顔を赤くする
『へへっ、カフスボタンあげた意味暇があったら調べてみてね』
そういって、笑うシオンに対し戸惑うガイ
そんなふたりのやり取りを見て驚きの声をあげるセイカやデウロ
「シオンって草食系だと思ってたけど案外肉食系なんだ…」
『なにそれ!でも好きな人にはやっぱ少しくらい意識されたいでしょ?可能性がゼロじゃない限りグイグイ行かなきゃ!』
「にしても急すぎてびっくりするよ〜」
いたずらっ子のように笑うシオンにつられて笑うセイカ
そこから3人で少し女子トークをした後、ドアの方へ手をかける
『改めて、本当にお世話になりました。またちょくちょく顔出すね』
そういって笑うシオン
「お、おう…また来いよ」
『うん!それじゃお世話になりました』
笑いながら手を振ったあと、長く滞在していたホテルZを出る
『……ほ、本当に私ここに住んでたの?正気?』
リザードン達に案内されるまま、ついて行くとだとり着いたのは少しくたびれた洞窟だった
しかし奥に入るとかなり広くなっている
奥に入ると寝室スペースっぽい小さなテントが1つある
『ひゃ〜…凄いな私…』
少し気が引けるが、マンションに住めるお金が溜まるまでの辛抱!と思い、頬を叩いたあと洞窟の中をポケモン達と一緒に掃除した
──22:00
『こんな時間になっちゃった…』
〖ばきゅあ!〗
色々していたら気づけば夜になっていた
『わ…綺麗……』
洞窟を少し出ると、上には綺麗な星空が咲き誇り、ミアレシティの方を見るとミアレシティの高いビルや綺麗な夜景が広がっていた
『…昔の私がここを好んだ理由もわかるかも』
自由その言葉が似合うような場所
きっと昔の自分も何にも囚われていないこの場所に見惚れて住むことを決めたのだろう
そう思いながら、横に座っていたリザードンを撫でながら夜空を見ていた時だった
『いっ…!』
───ズキッ、と頭が痛む
『貴方怪我してるの…?』
〖グルル…!〗
『大丈夫、貴方に危害は加えないよ、それより怪我を見せて?』
目の前にいるのは、リザードンの進化前だろうか傷まみれの小さなドラゴンポケモン
『……よし!完成!!しばらくは安静にだよ〜?』
〖…クル…〗
『ん?どうしたの?』
〖……ギュァ!〗
『え?これ…くれるの?』
そのポケモンは地面に隠していた木の実を掘り返し、シオンに渡す
『わー!凄い綺麗な木の実!!ありがとう!』
〖ギュギュア!〗
嬉しそうに笑うシオンを見て、また嬉しそうに笑うポケモン
──嗚呼、これはこの子と出会った時の記憶
〖クルル…!!〗
〖バァウ!!〗
〖チャモ!チャモー!!〗
「ん…あれ、私……」
〖チャモー!!〗
『きゃっ!?あれ…私……倒れたの?』
涙をボロボロ流しているアチャモの様子を見て察しリザードン達に問うと首を縦に振るリザードン達
『ごめんね、心配かけたね…』
リザードン達の頭を撫で安心させる
『リザードン、少しだけど思い出したことがあるの。初めて会った時、木の実くれてありがとうね』
そう言うとリザードンは嬉しそうに飛び跳ね、洞窟の外に出て飛び回った