テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
痛い、苦しい、悲しい、辛い、怖い、嫌だ。
そんな後ろ向きな言葉の数々が、俺の心を蝕んでいく。
それでも、『たすけて』という言葉は、どうしても口から零れやしなかった。
この終わりのない暗闇の中、不安なことばかりが頭に浮かんで。もうこれ以上は怖くて仕方がないからやめたくて。それでも頭からは言葉が溢れだして。それを止めることはかなわなかった。
今はただ、鉛のように重い重い身体を必死に動かして、遠くへ見える明かりへと向かう以外方法なんかなかったんだ。
「ねぇあまね」
後ろから不意に話しかけられ、恐怖心からガタガタと身体が震えてくる。それでもその声は何処かで聞いたことがあるような、そんな気がして、ゆっくりと後ろへ振り向いた。
そこには、クリクリとしたまぁるい蜂蜜色の瞳をした、幼い男の子がくまのぬいぐるみを片手に、俺のことを見つめていた。
殆ど同じ顔のはずなのに、どうして俺とお前はこんなにも違うんだろう。
何も考えられなくなるほどに一杯になった頭を振って、声を絞り出した。
「 」
はずだった。
言葉は形へ姿を変えないまま、ボトリと下へ真っ逆さまに落ちた。
それを急いで拾い上げようとしてしゃがみこもうとしたら、男の子に止められてしまう。
「いいよ。別に」
「あまねは、俺のことキライだもんね!」
首を振ろうとしても、突然金縛りにあったように動かなくなった。
言葉を発そうとしても、結局は届かないまま、また下へと落ちた。
そのまま男の子は俺へと可愛らしい笑顔を向けたまま手を振りながら、闇と共に溶け込んだ。