「誕生日を祝ってもらったことがないって……」
一体どういうことなんだろうとセシリアは困惑する。
アランは帝国の第一皇子だ。彼の誕生は帝国にとっても特別な日となるはずなのに。
「弟のデリックとは一歳違いで誕生月も同じなんです。だけど、主役はいつもデリックで。気付いた時には誰も……僕のことなんて見ていませんでした」
当時を思い出して語るアランの瞳は、胸が締め付けられるほどの寂しさを宿している。
物心がつく頃には、周りの愛情は全て皇族の血を色濃く受け継ぐデリックに注がれていたのだろう。
そのことに気付いた時のアランのショックは計り知れない。
かける言葉を失っていると、アランが自虐的に微笑んだ。
「デリックが生まれたから、僕は要らなくなったんでしょうね。三歳の頃、母に連れられてこの後宮にやってきました。『迎えにくるから、それまで待っ**************
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