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図書館を出て暫くするとポツポツと、雨が降り始めた。
家に着くまでこの感じだといいんだけど。
最悪何処かで雨宿りかもしれない。
月陽は少し歩みを早め帰ることにした。
その後ろ姿はまるで何かから逃げるようで、雨足は強くなる。
こんな時に限って折り畳み傘は忘れるし、どんどん雨は強くなる。
もう全身ずぶ濡れだった。
何もかもがどうでもいい。
天を仰いで立ち尽くす。
今にも叫んでしまいたい。それすら飲み込んでまた下を向く。
1歩1歩が重い。ただ、何も考えず歩く。
「あんたさ、何やってんの」
月陽の真ん前から声が聞こえる。その不機嫌そうな声の主に顔を合わせれば、髪はぐっちゃぐちゃで、息も絶え絶えな夜桜が居た。