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翌日から晶子は逆に勉強に身が入らなくなった。勉強が嫌になったという訳ではないのだけれど、カンナ「進学は投資」というあの言葉が気になって苦手科目に集中できないでいた。
大学では日本史を専攻したいと漠然とながらも考えている晶子は、では今自分がやっている理系科目の勉強は本当に意味があるのだろうか? ついそう考えてしまう。
晶子は文系の科目はそれなりに成績も良く、授業も楽しかったが、数学と理科は苦手だった。苦手と言っても、塾の講師からは偏差値では平均より上と言われていたが、晶子の通う名門私立では下から数えた方が早い成績順位でしかなかった。
晶子は悩んでいた。カンナの家庭の事情と、カンナの頑張りを見続けて来た晶子は、両親にお金の負担をかけたくないという気持ちが何となく芽生えて来ていた。
そのためには学費が安い国立大学へ行きたかった。ただ、国立大学の入試では、まず一月に行われる、当時は「センター試験」と呼ばれていた一次試験を突破しなければならなかった。
そして国立文系を受験するには、センター試験で五教科七科目の受験が必須。国語と英語は晶子の得意科目なので問題なし。外国語も英語なら何とかなる。社会科では、一つは日本史を選ぶつもりだった。日本史は晶子の望むところ。
社会科のもう一科目は、世界史、現代社会、倫理、政治・経済、倫理・政治・経済からの選択になるが、どれも晶子にとっては苦手という物ではない。ここまでは何とかなりそう。
問題は数学と理科の二科目だった。数学では数学IAとIIBは必須。国立文系志望だとここに選択の余地はない。理科は物理、化学、生物、地学から二つ選択しなければならない。これは四つとも晶子が不得手とする物ばかりだった。
私立大学文系なら国語、英語、社会科二科目だけ取ればいいケースが大半だったから、晶子にとっては苦手な科目を全てスルー出来る。
以前の自分なら迷わず私立大学を選んだだろうが、晶子は何となく「それでいいのか?」と思い始めていた。大学どころか高校さえ、普通の全日制に通えないカンナの事を思い出すと、何か自分がとんでもない贅沢をしている気がして、以前ほど気軽に進学の事を考えられなくなっていた。
一日中悶々とそういう事を考えているせいで、晶子は夕食の席でも上の空になっていた。晶子の様子に気づいた母親は、晶子が入浴している間にこっそり電話をかけた。
「もしもし、山室さんのお宅ですか? 篠崎と申します。はい、晶子の母です。夜分に突然申し訳ありません。カンナちゃんはご在宅ですか?……はい、代わってください」
コメント
1件
第79話、読みました……晶子の迷い、すごくリアルで胸がぎゅっとなった。カンナの「進学は投資」って言葉が、余計に晶子を苦しくさせてるんだね。偏差値平均以上なのに「下から数えた方が早い」っていう名門私立の空気、めっちゃわかる気がする。国立行きたいけど理系科目がネック、でも私立は楽だけどなんか違う…って、贅沢なんかじゃないよ、ちゃんと考えてる証拠だよ。最後の母の電話、カンナに繋がるのかな…気になる展開😢
#青春恋愛(多分)
もな
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