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バックガール

3 - 第3話 君が月なら俺は泥

2025年07月09日

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昨日の出来事がまるで脳にこびり付いたかのように忘れられなかった。

拳銃の発砲音、流れ出る血、彼女の冷淡な目。

あれがたったの1日で起きた出来事だとは到底思えなかった。

学校の登校中にまた彼女と出会った。

まるで待ち伏せをしていたかのように曲がり角から突如として現れた。

「昨日のこと誰にも言ってないよね?」

「…うん。」

「そう。」

その会話で彼女は俺よりも速く歩きそのうち豆粒程に離れていった。

もう俺は負けっぱなしでいいとあの日以来思う。

負け犬でもなんとでも言われていい。彼女は人間を超越した何かだと思う。

そんな人間じゃない人と競うなんて馬鹿らしい。

そんな気がした。


学校についてからは普段通りに友達と話をしたりして1日が過ぎていった…

気がつけば放課後。

彼女が俺の方に素早く近寄ってきた。

「今日も私の家に来てもらうから。言ったこと忘れてないよね?」

そう。毎日彼女の家に行くという訳の分からないことをしろとの約束だった。

彼女一人で人を殺せるというのに何故俺を連れていくのだろうか。ただの足手まといだというのに。

と彼女に言ってみた。

「理由は着いたら分かる。」

とだけ言い返された。


迷路のような道を進んでいき、またあの豪邸にたどり着いた。

「いつ見てもでけぇな…」

豪邸の中へと入り、彼女の後を着いて行ったら狭い個室の中に辿り着いた。

「なに、ここ?」

「ここの壁にボタンが隠されてるから」

と壁を触っていると急に壁の一部が凹んだ。

そうすると床が動き地下へと向かっていった。

「からくりの屋敷かよ…」

「今から行くのは死体処理。証拠隠滅するための場所。」

その言葉を聞いた途端背筋が凍った。

なぜ俺が毎日ここに呼ばれるのか、その理由が全て分かった。

「理由分かったでしょ?」

「俺に死体処理を任せるってか…」

「共犯者だから断れないよ。」

「お前、まさか仕組んだか?」

あまりにも完璧に出来すぎているがためかつい口にして喋ってしまった。

「そうだよ。」

そんなことないと心の底から願っていたけどもそんな願いは射抜く矢のように体を突き抜けた。

「昨日の出来事もか…?」

「ええ。」

怖い。それだとあまりにも計画が完璧に進んでいるということなのではないだろうか。

でも1つ不思議な点がある。

このことを俺に言えば計画は狂わないのか?

俺が予想外の行動をすれば彼女の計画は全て壊される。

己の身を滅ぼして彼女もろとも警察に通報すればこの狂気は終わる。

俺を犠牲にすれば…

そんなことは出来ない、まだ心の準備が出来ない。

「メイドは知ってるのか?」

「ええ。知らないのは私の親だけ。」

「俺たちが襲われてる時もメイドが誰1人いない原因はそれだったか…」

「よく分かったね。」

綾香が…俺を褒めた..?

完璧な彼女が俺を?

認めた?俺を?

「頭がいい君にだからこそ頼んだ。」

俺を..頼ってくれる?

あの完璧な彼女が俺を認めてくれて、俺と対等という程に見ていてくれた..?

感極まりない喜びが込み上げてきた..けど、彼女のやったことは到底許されない。

あんなことをした人に褒められてももう何も感じない。いや、感じたくないんだ。

嬉しいという感覚はあった。

真面な彼女だったのなら、俺は今でも叫びたい程に嬉しい。

彼女にはいつか罪を償う時が来る。

今警察に言っても彼女のことだから 何か手を打っているだろう。

時が来るまで俺はこの非人道的なことをしなければならない。

己を滅ぼそうとも。



「ここが死体処理場。切り刻んで犬ここにいる犬に食べさせて。骨は庭の肥料にするから。」

「俺が..切り刻む..?人を..?」

「もう死んでるから喚いたりしないし、怖がらなくてもいいよ。」

「切り刻む人手が欲しいなって思っただけ。」

「メイドに頼めばいいんじゃ…」

「メイドは違うことをしてる。口より手を動かして。はい、これ。」

渡されたのは人を切り刻むのに適した鉈のようなものだった。

「おっも…」

この先は思い出したくなかった。

返り血、何かも分からない臓器、目玉。

言葉でどうこう言えるような感じではない程にグロい。それだけだった。

途中で何度も吐いたりした。でも彼女は平然として鉈のようなものを振り下ろし、グシャドシャとする音が早い感覚で鳴り響いた。


やっぱり彼女は人間ではない。

競うなんて馬鹿らしい。

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