第11話、もうすぐ終わりそうな予感がする。
シトシトと、静かな雨音が聞こえる。
ほか、他は……、
(なにも、聞こえない……。)
ゆっくりと重い体を起こした。
どうしようもないくらいに全身が痛い、身体中が気怠い。
皮肉なことに、今はこの感覚だけが唯一の救いだよ。
この身体に、この手に残る感触だけが、君を感じられる。たったそれだけ。
それでもしだいに、ふわっとした優しい空気が俺の手元から消えていくような気がした。
震える指をそっと、自分の頬に当ててみる。
「……、」
「、、……情けないな、俺。」
君のいない朝は、こんなにも静かなんだね。
「なんて顔してるんですか。」
「……、」
少し困ったような、呆れた表情でため息混じりに言われた。
こんな土砂降りの朝でも、変わらず起こしにきてくれる刀也くんには本当に感謝している。
だけど今は、愛想良く返すことすらできる気がしない。
「目元、隈も酷いし髪もボサボサ。おまけになんです、その涙の跡。」
「徹夜でドラマでも観てたんですか?まったく、大学生は不健康なんだから……、」
これでも彼なりに、心配してくれているのだろう、
「……、おーい、聞いてます?」
「まだ夢でも見てるんですか、もう……。」
夢、か。
確かに、ずっと夢を見ていたのかも知れない。
そう考えた方が、確証のない現実を追うよりもずっとずっと幸せだ。……と、思う。
「……そ、だね。」
「多分まだ寝ぼけてるわ、顔洗ってくるね。」
「あ、ちょっと……、!」
ぱたん
「ほんとひっどい顔……。」
よくこんな顔で、人前に出れたな。
どうでも良いことばかり頭に浮かぶ。
ふと洗面台に目を落とす、
いつものように、仲良く並んだ二つの歯ブラシを見て、俺は笑った。
全部夢であってくれたら、どんなに楽だろうか。
君の声が聞こえない。
この世界は、あまりに寂しすぎる。
to be continue…
コメント
9件
にじさんじってこんないいんだなぁ…主さんの作品まじでよすぎですわ…おっと扉を開いてしまいそうだ
はぁっはぁっっ(発作)好きです😢
うわぁぁぁぁぁぁとか叫びながら見てました!もっ、ほんっっと最高すぎて…っ!!ありがとうございます🙇♀️🙇♀️🙇♀️🙇♀️🙇♀️🙇♀️🙇♀️