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カタカタと鳴り続ける輪転機の音を切り裂き
黒いボロ布を纏った「守護者」たちが音もなく襲いかかってきた。
彼らの動きは人間離れしており、関節が無視されたような角度から鋭い鉤爪状の刃が俺の喉元を掠める。
「……っ、こいつら、痛覚がねえのか!」
山城が金属棒で一人を吹き飛ばすが
その守護者は首が不自然に折れ曲がったまま、即座に立ち上がって再び飛びかかってくる。
「和貴、機械だ!奴ら、この輪転機の振動で動いてやがる!」
源蔵の叫び声に、俺は輪転機の中央へと視線を走らせた。
巨大な機械群の心臓部には、液体に満たされた円筒形のタンクがあり
その中で脳の一部のような組織が、無数の電極に繋がれて脈動していた。
「……あれが『予言』の正体か」
俺は守護者の攻撃を紙一重でかわし、脇差を逆手に構えて輪転機の動力ベルトへと肉薄した。
「お前らが決めた100日後の未来なんて、俺が今ここで破り捨ててやるよ」
だが、守護者の一人が俺の足を掴み、力任せに引き倒した。
冷たい石の床に叩きつけられ、脇差が手から滑り落ちる。
絶体絶命の瞬間
地底の空洞に「電子のノイズ」が走り、守護者たちの動きがピタリと止まった。
『……黒嵜、聞こえるか!ったく…無茶しやがって!』
途絶えていた志摩の通信が、激しいノイズと共に復活した。
『地上の監視網にウイルスを流して、一瞬だけバイパスを作った! 今その機械のメイン基板に、俺が送る「エラーコード」を読み込ませろ!』
「メイン基板?どこだ!」
『タンクの真下だ! そこにスマホを押し当てろ!』
俺は山城に守護者たちの足止めを頼み、這うようにしてタンクの根元へと駆け寄った。
そこには古臭い真鍮のレバーの横に、不釣り合いなほど最新のインターフェースが口を開けていた。
俺は志摩と繋がった端末を、その接続口へ叩き込んだ。
ガガガガガッ!!
輪転機が激しい火花を散らし、逆回転を始める。
吐き出されていた「真っ黒な紙」が、真っ白なまま空中へと舞い上がった。
「……未来が、消えた…?」
山城が呆然と呟く。
守護者たちは糸が切れた人形のように崩れ落ち、地底に不気味な静寂が戻った。
だが、安堵したのも束の間、地上の志摩から悲鳴のような通信が飛ぶ。
『……黒嵜、まずいぞ! 予言システムが停止したことで、組織の「自動排除プログラム」が暴走を始めた!100日待たずき今から一時間後に、新宿全域への「気化爆弾」による強制焼却が開始される!』
「……なんだと!?」
残された時間は、わずか「60分」。
地底の真実を暴いた代償は、あまりにも重いものだった。