テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#このキャラでログインしたい
298
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ん~~楽しかった!」
『お疲れ様でした~小鳥遊さん。スコアの方も、流石としか言いようがないですね』
「一回やられちゃったけどねぇ……悔しいぃぃ!」
私の担当である早乙女さんと通話を繋ぎっぱなしにしながらも、ベッドの上から飛び降りた。
VRゴーグルを外してから、そのままパソコンの前へとすぐさま移動。
さてさて~他の賞金首の皆はどうだったかなぁ~? ユーザー側の反応は~?
なんて、ニヤニヤしながらスコアを確認していけば……ブッ! と思いっ切り吹き出してしまった。
今回の戦闘で1キルもされなかった人、思った以上に居るし。
すっっご! あの状況で!?
前回のお仕事をちゃんと達成した人が少なかったから、今回も結構ボコボコやられちゃうんじゃないかって心配してたけど。
やっばぁ……やっぱ“賞金首”に選ばれるだけあって、皆えげつないくらい強いわぁ。
もしくは前の時はまだ慣れて無かっただけか、私が“煽った”せいで今回ばかりは本気出して来た、みたいな?
うっひゃぁ、すっげぇわぁ~ガチプロ怖ぁ……。
そしてやっぱり、死亡回数0の欄には“シックス”の名前が。
「キャァァッ! やっぱシックス強ぉ! 格好良ぃ~~! しかも中身はあんなに可愛い小っちゃい子とか、ヤバッ! ギャップエグッ!?」
『アハハハ~……いやはや、私も本当に驚いてますよ。白川君の妹さん、ガチで強いです。キャラクターに振り分けた数値も結構なモノですけど、それを全部使いこなしてるんじゃないかって程の動きですよ』
だとしたら、マジで天才。
VRの達人、むしろ電子の妖精とか言えちゃうかも。
格好良ぃぃぃ……超好き!
今回の御褒美で、シックスと連絡取れる様に交渉してもらうって手筈になっているし、これは今後に期待!
などと、テンションが爆上がりしていれば。
『あ、そうそう。ついさっき連絡が来たんですけど、小鳥遊さんと連絡取りたいって言ってる賞金首が――』
「シックス!?」
『残念、ちがいまーす。一旦コッチで中継しますから、このまま繋いじゃって良いですか?』
なんだ、シックスじゃないのか。
とはいえ、今回のイベントで他の賞金首の株がググッと私の中で上がったのも確か。
元々馬鹿にしてたって訳では無いのだが、一回目の仕事だって結果は結果。
だからこそ黒星を上げた人達よりも、すんごい戦闘を繰り広げていた人達に注目してしまうのは仕方ない事だと言えよう。
なぁんて、言葉にしたら何様だって言われてしまいそうだが。
「いいですよー? 賞金首のどちら様ですかー?」
『えと、プレイヤーネームだとクラウン……あぁいえ、そっちは覚えなくて良いです。彼からはキャラの改名を要求されているらしいので』
「え、改名? 賞金首がそんな事しちゃって良いの? リベンジに燃えてるプレイヤーも居るだろうに」
『ま、その辺は公式発表すれば一目瞭然ですし。プレイヤーネームの変更は“ユーザー”なら誰でも可能な権利でもあります、課金アイテムにはなりますけどね?』
あぁ~なるほど。
つまり賞金首も、ちゃんと中身は居ますよーってアピールにも繋がるという訳だ。
これまでにも散々臭わせていたから、未だに激強のNPCだなんて思ってるプレイヤーは居なそうだけど。
そもそも二時間も連続プレイして、こんな激しい戦闘まで繰り返したのに。
誰も彼もNPCを疑われる様な動きや、チート臭い挙動などしなかった筈。
対戦した相手なら、まず間違いなくプレイヤーだと確信するイベントだった事だろう。
そんな訳で、軽い返事をしながら件の人物に繋いでもらうと。
『イベント後、疲れているだろう所にすまない。“ジロウ・アウランド”です』
「あっ! 会議にも来てたムキムキの人! お久し振りで~す、イベント乙でしたー」
どうやら今回私と連絡が取りたがっていたのは、前回の会議にも出席したムキムキマッチョメン。
パッと見ゲーマーって感じはしなかったし、多分“リアルの実績”の方から引っ張って来られたタイプの人なのだろう。
見た目は日本人だけど、名前からして他国籍の人っぽいし。
まぁ~深く探るつもりなどないが、私から見た感じは元々の本業が“そっち系”だったのかなーって。
礼儀正しいし、凄く落ち着いているから、多分戦う事を仕事にしてた兵隊さんってところだと思う。
「どうもどうも、小鳥遊でーす。あ、私達的には“seven”って名乗った方が良いですかね? それでそれで? 今回改名申請を出したアウランドさんは、次はどんなお名前に? 改めて自己紹介しましょうよ~」
イベント後でテンションがおかしくなっているのもあるが、私こういうの大好き。
仕事としてゲームしています、ならちゃんと結果は残す。
けど私達もプレイヤーである以上、楽しむ事は凄く大事なのだ。
だからこそ変な所に拘らず、周りの反応とか気にしないで「名前変えます!」は結構な行動力だと思うんだ。
良いよぉ、良いよぉ?
アウランドさんも結構な実績を残してる上に、ガチ戦場のプロっぽいし。
も~楽しくて仕方ない。
やっぱこういう業界に居ると、ちょっと変わった人がいっぱい来て楽しい。
などと思っていると、相手はちょっと口籠ってから。
『今度は……“4card”という名前にしたいと、お願いした。こっちだと、ポーカーの“Four of a kind”はそう呼ぶんだろう? おかしい、だろうか?』
え、え、え!?
もしかして、もしかすると。
この人、私の同類というか。
結構周りに影響されやすいタイプだったりするのだろうか!?
「こっちの勘違いじゃなければ……私やシックスに合わせて改名してくれようとしてます!? 7が私で6が夢月ちゃん、そんでもって4がアウランドさんって事ですよね!?」
『あ、改めて言葉にされると……少し、恥ずかしいが。そう、してみようかなと。その……俺はこちらのアニメやゲームが好きで、こっちで仕事がしたかったから。このゲームの賞金首が、ちょっと臭わせる表記だったら……格好良いなぁ、と』
「わっかる! 超分かります! 大賛成! ナンバーズって感じで、より一層格好良い! あとは~“ナイン・ケー”さんが居るから、4679と来てますね。他に居ましたっけ? 他の人もナンバーネームにしないかなぁぁぁ!」
『俺をきっかけに、皆もノッてくれたら……凄く、嬉しい』
ヤバイ、この人も“分かる人”だ。
キャー! 楽しいぃー!
やっぱ本気でゲームを楽しむなら、ロールプレイは必須でしょうってなもので。
しかもポーカーの役で強い4cardを選んでおいて、最強の手札じゃない所がまた渋い!
この調子で賞金首の皆がオフ会するくらい仲良くなったら、私としても滅茶苦茶面白い訳で。
いいよぉ~、楽しくなって来た。
『それで……その、相談なのだが』
「あ、はいはい。そういえば何か話があるって言ってましたもんね。どうしましたー?」
これまたちょっと渋い様子で声を上げるアウランドさんだったが。
こっちはテンション上がりっぱなしで、パソコンの前で椅子をクルクル。
もうこのテンションのまま、賞金首皆に通話を飛ばして仲良くなれたらなぁ~なんて、思っていれば。
『その……前回の顔会わせて、シックス以外に女性プレイヤーが……セブンだけだったので』
「ですねぇ? 参加して無い人は、未だ不明ですけど」
『もしかして、なのだが……二人は、もう仲が良くなっていたりするのだろうか?』
うん? 急に変な質問だな。
流石に運営まで通してナンパして来た訳じゃないだろうし、どんな要件だろう?
私とシックスが仲良くしているかどうか、なんて。
それこそ彼に対しては関係ない事に思えるのだが……。
『勘違いしないで欲しいんだが、変な意図は無い。ただ……普段二人が一緒に、別のアカウントでゲームをしているのなら……混ぜて欲しいな、と。俺は現実の戦い方なら知っているが、ゲームだとちょっと慣れない。でも二人の戦い方は、“ゲームだからこそ強い”様に感じられて』
あぁ、なるほど。
この人、向上心まで完備しているらしい。
やっば……シックスの次に、面白そうな人を見つけてしまったかもしれない。
「アウランドさん……ではなく、“4card”から見て私達ってどうですか?」
『凄く強い、コレは間違いない。けどそれはゲームだからこそ、特に君は。あんな動き、実際の戦場で出来る人間はまず居ないだろう。それをVRで出来ているのは……とても、尊敬する。凄く、格好良い。多分頭の回転が俺の様な者とは違う、現実で出来ない事を制限して考えていない、その証拠だと思うんだ』
おっと、食い気味に即答。
そんでもって、実戦を知っている人だからこその感想って感じだねぇ~。
こればっかりは、私が実戦を経験しない以上何とも言えないだろうけど。
VRに関しては結構ガツガツ褒めてくれるじゃないの。
私、この人結構好みかも。
「ありがとうございます! 超~嬉しい! それでそれで? シックスの方は?」
ズイッと身を乗り出しながら、今度はこっちが食い気味に質問してみると。
相手は、しばらく沈黙した後。
『凄く……不思議だ。とても綺麗に動いていて、身体の使い方をとても理解している。けど、動きが“教本通り”というか。まるで一つの教本だけを徹底的に覚えて、それ以外は知らない……みたいな、そんな動きに見える』
「あ~、確かに? 結構派手に動き回ってますけど、トリッキーな動きとかあんまりしませんもんね。何かもう凄く強い軍人さんが、一般人に紛れ込んで戦ってる様な印象ですけど。本業の方から見ると、また違和感がある動きなんですねぇ?」
シックスの動きは、言われてみると私も違和感を覚える。
とても綺麗に、とても柔軟に動いているのは確か。
何より、とんでもなく強い。
けど私みたいに、“ゲームだ”と思わせる様なトリッキーな行動に出ない。
他のゲームをやっていれば、それこそ強キャラしか出来ない様な動きとかを真似しようとするのがプレイヤーだろうに。
彼の……いや、中身は彼女か。
夢月ちゃんの動きは、とにかく“お手本”の様なのだ。
だからこそ誰の目に映った時にでも、“自分にも出来そう”って思ってしまう行動。
実際シックスの映像が公開されてから、やけにハンドガンと近接戦を練習しているプレイヤーも多くなったと聞いているし。
それこそゲーム内の特殊施設なんかでも授けられる、戦闘のチュートリアルとかを徹底的に覚えたみたいな……。
「あ、そういう事か」
『うん? どうかしたのか?』
多分あの子、ガンサバそのもので“あの戦い方”を学んだんじゃないか?
普通の人ならすぐに他の武器に走るところを、徹底的にハンドガンに拘って全てのチュートリアル……というか、専門のゲーム内講習を受けたんじゃないだろうか?
その結果とても綺麗で、とても普通で、それでいて“普通じゃない”動きを叩き出す。
つまり、このゲーム内にある教本を全て丸暗記した様なもの。
だからプレイヤーからは“普通なのに強い”と感じるし、フォーの様な元軍人みたいな人からすれば“綺麗過ぎる”動きをしていると感じるのでは?
という、今思い付いた内容を早口で相手に説明してみると。
『だとしたら……より一層、こちらからお願いしやすくなるというものだ』
「と、言いますと?」
『俺が“実戦”で培った技術や、ガンサバイブオンラインの教本には無い戦い方を、二人に教える。だから二人は……俺に、“ゲームとしての戦い方”を教えて欲しい。要は一緒に練習がしたい、ゲームがやりたい。という相談なんだが……』
ちょっとだけ気まずそうにしながらも、そう言葉にした“4card”。
いやもうこれは、これは……最高か!?
「やりましょう! 絶対やりましょう! 私が何とかして、シックスと繋ぎますから! 女の子同士で話を付けますから、その後フォーにも声を掛ける形で、是非一緒にやりましょう! “現場のプロ”の教育、受けてみたい!」
『そう言ってくれるなら……とても、嬉しい。いや、本当に安心した……こういうの、“チャラ男”というヤツに見られる事があるんだろう? そうじゃないと信じてくれて、嬉しい』
なんて言いながら、物凄く安堵した様なため息が向こうから聞えて来た。
ぶはははっ! 冷静そうなマッチョメンだけど、かなりドキドキしながら今回のお誘いを掛けて来たのか。
いやはや、賞金首はやっぱ皆面白いねぇ~。
「そんじゃ一旦私からシックスに交渉しますから! フォーの個人的な連絡先も教えてください! 今度から運営側通さなくてもOKですよ! いっつでも連絡しちゃって下さい!」
『た、助かる……毎度担当のサポーターに声を掛けていたら、それこそナンパ男に思われてしまいそうで。ゲームとは違う所で、解雇されたくはない……』
「男女だと色々ありますからねぇ~。とりあえずPCとスマホ、両方とも連絡取れる様にしときましょ~」
そんな訳で本日、とんでもないイベントが終了したすぐ後。
まずは一人目、ナンバー4の名前を獲得したプレイヤーと仲良くなる事に成功したのであった。
さぁて次は、本命のシックスをナンパしちゃいますかねぇ~!