銀次郎さんが寝室に入ってから30分くらい経っただろうか。
かなり微量とはいえやはりあの薬を飲んだ銀次郎さんの様子が気になる。
銀次郎さんを起こさないようにそっと寝室の扉を開けてみる…
カチャ………。
ベッドの方へ目をやる…
銀次郎「スー、スー……。」
私の不安をよそに彼はスヤスヤと気持ちよさそうに眠りについていた。
何事も無いのが良いのか悪いのか分からないけれど、特段変化はみられない事が分かり再び寝室の扉をそっと閉めた。
桜子「ふぅ……。やっぱりあんな少量じゃ効果ないよね。まぁ具合も悪くなったりしてなさそうやしそれはそれで良いか…。」
中々会えないという理由があれど、自分の欲望のために得体の知れない怪しい薬を大切な人に使って頼ってしまった事を今更ながら反省した。
桜子「何やってんだか私は…。」
ふと時計に目をやる。
桜子「やば!もうこんな時間!」
銀次郎さんが家に帰ってきて時間の使い方がいつもと違う事をすっかり忘れていた。 急いで出勤前のシャワーを浴びにお風呂に入る。
シャー…
キュッ
ガタッ
シャワーを浴び終わり体を拭き急いでドライヤーで髪を乾かす。
ブォーーーーーン…!
ガチャッ…
桜子「ん……?」
ドライヤーの音で聞こえづらかったが、かすかに廊下の向こうから寝室の扉を開ける音がした気がする…。
銀次郎さんが起きたのか?
さっきぐっすり眠っていた様に見えたけど…
急いで髪を乾かしバスローブを羽織りリビングに様子を見に行ってみる。
タタタッ
リビングに入るとソファーで力無さげにうなだれている銀次郎さんの姿が目に飛び込んできた。
桜子「え!?銀次郎さん!大丈夫?」
銀次郎「何か…急に熱っぽくなってきてな…水もろてええか。」
……!
「分かった!ちょっと待ってて。」
これは…もしかして…
あの薬の影響?
銀次郎さんの顔を見ると目がトロンとしていて、頬は少し赤くなり、息も荒くなっている様に感じる…
ビールを2杯飲んだだけでこんな風になるほどお酒に酔いやすい人では無いはず…
本当に体調が悪くて熱があるのか、 それともあの薬の影響か… 分からないけどいつもと様子が違うのは明らかだ。
桜子「はい、お水。」
銀次郎「おう…すまんな…。」
ゴク……。
水を一気に飲み干した銀次郎さん。
少し苦しそうだ…。
銀次郎「はぁ……。何か家の中暑ないか?」
桜子「え?そ、そうかな?いつもこんな感じやし。私は暑くないけど…。」
季節は春に入ったばかり。
暖かくなってきたといってもまだ少し肌寒さが残っている気候、特段そこまでの暑さは感じない気温のはず…。
銀次郎「そうか…。おかしいな…熱でも出たか。」
桜子「うん…。お水もう一杯持ってくる。あと氷枕持っていくから寝室に戻って休んでて?」
銀次郎「すまんな…。」
そう言って、立ち上がったものの上手く体に力が入らないのかふらついてしまう銀次郎さん。
桜子「危ない!」
ふらつく銀次郎さんの肩を咄嗟に支えた。
銀次郎「…………ん!」
ビクっ!
桜子「ん?」
私が咄嗟に体を支えようと肩に触れた瞬間、ビクっと銀次郎さんの体が何かに反応したように感じた。
銀次郎「だ、大丈夫や!とりあえず…水と氷枕寝室に持ってきてくれるか。」
そう言って私の手を振り払うように寝室に戻っていく銀次郎さん。
肩で息をしていて見るからに苦しそう、そして肩に手を触れた時のあの反応の仕方…
あの薬の影響としか考えられない。
薬が効いて私が望んだ結果になった。
でも、とても苦しそうにしている銀次郎さんの姿になんて事をしてしまったのだろうと罪悪感に苛まれた。
すぐに水と氷枕を持って寝室に向かう。
ガチャッ
桜子「銀次郎さん。大丈夫?」
銀次郎「はぁはぁ…。あぁ、多分…大丈夫や。」
苦しそうにそう答える銀次郎さん。めちゃくちゃ不謹慎な事だとは分かっているけど、息も絶えだえにトロンとした表情でそう答える銀次郎さんの姿がとんでもなく色っぽく感じてしまった…。
桜子「苦しい?」
銀次郎「……なんか…分からんけど暑いんや…。」
桜子「暑い?ビールのせいかな?」
その理由がわかっているのにそう白々しく聞く私は本当に悪い女だと思う…
銀次郎「あんだけでこんな風になるわけない…。はぁ……。」
桜子「確かに。熱かな?」
私はそう意地悪に問いかけて、銀次郎さんのおでこに手を当ててみた。
ピタッ
銀次郎「………ぁ。」ビクッ
桜子「銀次郎さん?大丈夫?」
銀次郎「…ん、なんでもない。大丈夫や。」
この反応の仕方…
あの薬が効いていて全身の感覚がかなり敏感になっているからだと察する。
そうだとすると
もっと意地悪をしたくなってしまう…
桜子「そうかな?汗とかかいてない?」
そう言って今度は銀次郎さんの首筋に触れてみた
銀次郎「……ん。」ビクッ!
桜子「銀次郎さん痛かった?」
銀次郎「い、いや、痛くはない…。くそ…なんでこんな。」
桜子「体…何か変?」
銀次郎「変というか…。ま、まぁとりあえず寝たら治るやろ。わしのことは気にせんでもええぞ。」
桜子「ほんとに…?銀次郎さん苦しそうやよ?」
そう言って今度は胸元あたりをさすってみる。
サッサッ…
銀次郎「う……!はぁはぁ…。」
再び体をびくっと反応させる銀次郎さん…自分の体に何が起こっているのか分からずその表情は困惑している。
かたや私はそんな彼の反応を見て心の中で喜んでいる…我ながらド変態だと思う。
銀次郎「し、仕事の準備せなあかんのやろ?わしの事は気にせんでええぞ…すまんかったな。」
桜子「ううん、仕事の準備は大丈夫。それより…銀次郎さん変やよ?体疲れてるんかな?」
銀次郎「は…?」
そう言って私は銀次郎さんの足首から太ももにかけてほぐすようにマッサージと称した意地悪を仕掛ける…
モミモミ…
銀次郎「んん…。さ、桜子そんなことせんでも…。」
ビクッビクッ
手を動かす度に反応する銀次郎さんの暑くなった体。
最高に色っぽい…
もっともっと見たい…
桜子「銀次郎さん体ビクビクしてるけど寒い…?」
銀次郎「違う…逆に暑いんや…んあ……!」
私はもう我慢出来ずたたみかけるように太ももの付け根の部分をゆっくりと揉みしだいていく…。
銀次郎「な……。桜子……お前もしかして…。」
ヤバイ。
銀次郎さんだってそこまで鈍感じゃない、 さすがに勘付かれたかな… 。
桜子「………。」
銀次郎「ん……!はぁはぁ…。わ、わしになんかしたな?」
明らかにおかしい自分の体といつもと違う私の様子から鋭い眼光で銀次郎さんはそう問い詰めてきた。
遂に気付かれてしまった。
ならばこんな白々しい態度で接する必要もない……
桜子「………バレちゃった?」
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