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『何色の薔薇で染めますか?』〜私の白い薔薇を染めるのは〜
第11話 『捧げるもの』
今日からユーハンと過ごす日が始まる。
この一週間が終われば、決めなければいけない。私のこの迷いばかりの、気持ちを。
私は気持ちを入れ替え、ユーハンが迎えに来るまで待つ。
本邸 エントランス
『お迎えに上がりました。主様。』
いつもと同じ燕尾服なのにどこか変な感じがしてしまう。
『あ、ありがとう…』
『今日から1週間よろしくお願い致しますね。』
ユーハンは私に手を差し出す。
『うん。』
その手をぎゅっと握る。
『僭越ながら今日は私が主様をエスコート致します。』
『お、お願いします。』
『では行きましょう、主様。』
ユーハンは私の手を引いて馬を走らせる。
パカラ、パカラ……。
『今日はどこに行くの?』
『ふふ、秘密です。』
『……?』
ユーハンに支えられるがまま馬は走っていく。
東の大地
『…ここって――』
『……はい。サルディス・フブキが焼いた私の生まれ故郷です。』
そこは、焼け野原になったユーハンの故郷だった。
『私の…判断が劣ったせいで家族や、村のみなさんにも…。』
『ユーハン…。』
『救えたはずなのに、救えなかった。
あの時もっとちゃんと計画練っていれば…こうなることはなかった。』
『違う…。ユーハン…。』
違うよ、ユーハン……。ユーハンのせいじゃない。悪いのはサルディス・フブキ。冷酷非道なあいつのせい。
『…本来なら死のうと考えました。あの時、素直に処刑されることを臨みました。でも。』
ユーハンは私の方を向く。
『貴方という聡明で勇気のある方が助けに来てくれた。』
『ユーハン…。』
『あの時貴方に救われたこの命は……貴方を守り、死ぬために捧げると決めました。』
ユーハンは私の前に跪き、胸に手を当てる。
『貴方を守って…死ねるのならこれ以上の幸せはありません。どうか……最期の時までお傍に居させてくださいね。』
『……。』
なんてずるい人。貴方は不老の身。かくして私は違う。少なくとも私より先には死なない。
きっと…その綺麗な手でサルディス・フブキを殺めるまで、貴方は死なないんでしょう。
例え私を守って死ぬとしても死にきれない。
ずるい人…本当に。私は…貴方より先に死んでしまうのに。
私は込み上げてくる何かを我慢するように力強く頷き…。
『あの時…ユーハンを救えて本当に良かったよ。もし、救えなかったら私の中でずっと…後悔することになってた。ユーハン。ありがとう。私と生きることを選んでくれて。』
『主様……。はい。これからもどうかお傍で。お仕え続けます。私の主様。』
ユーハンは私の手を握る。
その手は…微かに震えていた。
次回
第12話 『2人だけの隠し事』
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