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放課後、人気のない教室。ふたり並んで座らされ、机の上には白紙の反省文用紙。
『…なんかさ、これって小学生の罰みたいだよね』
ナマエがぷくっと頬をふくらませながら、シャーペンをくるくる。
「まあ、寄り道したのは事実だからねー。先生も容赦ないなぁ」
『……でもさ?悪いの、先輩だよね?私を誘惑したの、出水先輩だもん』
「はぁ!?誘惑って何だよ!」
『“寄ろうぜ〜”って言ってきたじゃん。あれは完全に悪の囁きだったよ』
「ナマエの“アイス食べたい〜”がトドメだったけどなー」
『いいもん、私の反省文、ちゃんと真実を書くから』
そう言って、ナマエはシャーペンを走らせる。
『えっと、ごめんなさーい。寄り道してすみませんでしたー。
でも出水先輩が悪いので私は悪くありませーん。おしまい♡』
「いやお前なんだよそのふざけた文www」
『いや、ちゃんと“ごめんなさーい”って言ったもん!』
「じゃあ俺も書くわ」
出水もカリカリとシャーペンを動かす。
「寄り道して怒られました。こいつが“アイス食べたい〜”って言うから仕方なく付き合っただけです。
俺は悪くありませーん。反省してまーす。はい」
『ちょっと!私の真似しないでよ!』
「いや、そっちが真似されるような書き方してたからなー」
『これ、出したら怒られるかな?』
「確実にブチ切れられるね」
ふたりで顔を見合わせて、ぷっ、と笑い声がもれる。
『……でも、こうやってバカできるの、ちょっと楽しいかも』
「それな。怒られるのも、ナマエと一緒ならまあいいかなって」
『えっ、それって告白か何か?』
「違う。例の反省文です」
『ちぇーっ、つまんなーい!』
「そっちはすぐ茶化すくせに〜」