「……ーい!」
「……てよ!!」
どこからか声が聞こえてくる。
徐々に視界が開けてきた。
「あっ、やっと起きた」
……え?
「君大丈夫?もう会場閉まっちゃってるんだけど……」
『……え?』
「スタッフさんとかがちゃんとチェックしてくれたはずなんだけどなあ……」
会場……?閉まってる?
「ほら、さっきまでライブやってたじゃん」
あぁ……。あぁ!
『ノ、ノアの方舟……?』
「そうそう」
あぁ……そうだ。
さっきまで現実逃避してライブ楽しんでたんだ。
とにかくあいつから逃げたくて逃げたくて、一か八か応募してみたんだっけ。
てか、
『か、かか確認なんですけど……ミ、ミセ……ミセスグリーンアップルの……みな……さんですよね?』
噛みまくった。
「そうだけど……」
私から見て目の前にいるのが、ボーカル〝大森元貴〟さんで、左右にはギターの〝若井滉斗〟さんとキーボードの〝藤澤涼架〟さんが並んでいる。
これは夢か?いや夢だ。生きる勇気をくれた〝Mrs. GREEN APPLE〟と直接話している。こんなことが私の人生にまず起こるわけがない。
思わず頬を引っ張る。痛い。
も「な、何してるの?」
相手にとっては意味不明な行動だったらしい。大森さんが戸惑いながら聞く。
『い、いや……これ、現実……ですか……?』
ひ「……え?……うん?」
また意味不明な発言だったらしい。今度は若井さんが戸惑いながら答えてくれた。
周りを見渡す。目の前にはミセスの3人がいて、その後ろには大きなステージがあった。そのステージの明かりに照らされ、客席が薄暗くなっている。私はとても運良く、こっそりファンクラブにも入っていたため、一番前の席が取れた。これも夢と疑った。
私はその席に蹲るようにして寝ていたらしい。崩れていない体制が教えてくれる。
『あ、あの……ちなみに今、な、何時……ですか?』
り「えっと……18時!」
ヤバ……流石にこれはヤバイ。
……でも、こうなる覚悟を持って一か八か応募したんだもんな。あいつにどんなことされようとも文句は言えない……。
『本っ当にすいませんでした』
深深と頭を下げ、荷物を持ち、走って出口へと急ぐ。
も「え……あ、ちょ!」
そんな声が背中に響いた。
大森side
『本っ当にすいませんでした』
目の前の彼女はそう深深と頭を下げた。と、思うと、すぐに荷物を持って出口へ走って行ってしまった。
「え……あ、ちょ!」
ひ「行っちゃった」
リ「……てかあの子人で来てたよね?」
「あっ……確かに!!」
この時間に1人かあ……
ひ「……大……丈夫かな?」
若井が恐る恐る言う。
り「ちょっと心配だよね」
ライブ後でめっちゃ疲れた。けどしょうがない
「じゃあ……」
「「「ついて行ってみる?」」」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!